"赤いリボンの手紙" 第2話
学くの茂みで発見された、無惨に燃えたカバン。そのから、このリボンだけが奇跡に燃え残っていた。 警察は当、それを「何らかの事故に巻き込まれた証拠だ」と断定したが、みさ子だけは子供たちがどこかできていると信じ、そのリボンを守り続けてきた。
みさ子が箱の底から咲の学習ノートを取りし、ページをめくっていた、指先が奇妙な違を捉えた。 ノートの央あたり、ちょうど数ページ分が、何者かによって乱暴に破り取られていたのだ。 綺麗に切り取られたのではなく、急いで引きちぎったようなギザギザの跡が残っている。 みさ子は息を呑んだ。23、何回、何百回と読み返してきたノートなのに、なぜ今になってこの歪な破れ跡に気づいたのか。 これは健が、あるいは夫が、図に破り捨てたものなのだろうか。
混乱するみさ子がノートを箱に戻そうとした瞬、指先が箱の底の布の裏側に触れた。 そこには、もう通、見たことのないい封筒がひっそりと隠されていた。 封筒の表側には、消えかかった鉛の文字で「健へ」とかれていた。 みさ子の臓が再び激しくねがった。健――16歳の若さでトラックにねられてんだ、彼女のする息子。 当、警察は「突発な交通事故」と結論付けたが、みさ子はあの子の最期の3ヶの異様な姿を鮮に覚えていた。
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妹たちが消えてからというもの、健は毎晩のように激しい悪に唸され、部に閉じこもって事も満に取らなかった。
そして事故当の朝、健が玄関をる際、みさ子の目をまっすぐ見つめて残した最期の言葉。 「お母さん、ごめん」 あの、みさ子は息子の震える肩をく抱きしめてやることもできず、ただ「丈夫よ、健」と返すことしかできなかった。 そしてそのの午、健は帰らぬとなった。 みさ子は「健へ」とかれたい封筒をにかざしてみた。にいが1枚入っているのが透けて見える。 しかし、の疲れ果てた差しがありありと脳裏に浮かび、どうしてもその封筒を今すぐける勇気がなかった。
呆然と座り込むみさ子の線の先、箱の底に敷かれた布の隙から、爪ほどのきさのさな古いシールが落ちた。 それを拾いげて表面をライトで照らすと、「G4 」という文字が印刷されていた。 ――その名を見た瞬、みさ子の背筋にゾクゾクとした鳥肌がった。 そこは、かつて児科医だった夫の健が、勤務のにボランティアとして子供たちを無料診察していた、古い児童養護施設のある所だった。 みさ子も何度か夫のに同乗し、その施設へ付き添った記憶があった。
シールの裏面をめくると、そこには鉛の鋭い跡で「94312」
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という数字が殴りきされていた。 1994312。それは、咲とが学へ向かったまま、忽然と姿を消したまさにそのだった。 みさ子は激しく震えるを叱咤し、古い黒話のにい寄ると、埃まみれの話帳をめくった。 彼女の指が止まった所には、「斎藤輔」という名があった。 1994当、娘たちの失踪事件を担当し、みさ子と共に横浜のを駆け回ってくれた元刑事の連絡先だった。
受話器をに当ててダイヤルを回すと、数回の呼びし音の、ガラガラにしゃがんだ老の声が響いた。 「もしもし、どなたですか」 「斎藤刑事さん、私です。みさ子です」 話の向こうで、息を呑むようない沈黙が流れた。やがて、いため息と共に声が返ってきた。 「……奥さん、どうして今頃になって話を。あの事件は、もうとっくに終わっているんですよ」 「が届いたんです。の、あの子の字でかれたが……お願いです、会ってください」 今度は先ほどよりもさらにい沈黙がスピーカーを支配した。老刑事は絞りすように言った。 「……伊勢佐町のくにある、あのさな喫茶で会いましょう」
2、みさ子は喫茶の窓際の席に座り、ガラス窓を激しく叩き始めたたいのを見つめていた。 内のかりは暗く、カウンターの奥で主がうつむいて居眠りをしている。
カランとドアのベルが鳴り、真っな髪をく刈り込んだ、し背の丸まった老が入ってきた。
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