"赤いリボンの手紙" 第4話
しかし、廊の突き当たりにある5番目のドアので、みさ子のが止まった。 ドアの表面に貼られた、あせたプラスチックのプレート。ライトのを当てると、「G24」という文字が浮かびがった。 それは、あの靴の箱の底にあった古いシールの番号と完全に致していた。 みさ子は息を殺し、ドアノブをゆっくりと回して部のへとを踏み入れた。
その部の壁には、子供たちが描いたとわれるや蝶、太陽の絵が、壁の隙に無数に残されていた。 ライトのを壁のの方へとかしていくと、そこには様々な子供たちの名がクレヨンで刻まれていた。 そして、側の隅のさらに奥、赤いクレヨンでさくかれた文字を見つけた瞬、みさ子はの力が完全に抜け、そのに激しく崩れ落ちた。 『さき あい は ここにいるよ』
23、すら分からないまま探し続けていた娘たちの名が、確かにそこに刻まれていた。 みさ子が壁の文字を指先でなぞりながら声を詰まらせていると、背の廊から、コツン、コツンと静かな音がづいてきた。 彼女がハッと振り返ると、ドアの隙に、20代半に見える、護師の制を着た若い女性が静かにっていた。 「どなたですか……?」 みさ子が震える声で尋ねると、女性はに持ったさなライトをに向け、ゆっくりと部のへ歩をめた。
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「私は田ゆみと申します。……ここで清掃員として働いていた、祖母の遺品を理していて、ここへ辿り着いたんです」
田ゆみはカバンから、隅の擦り切れた古い写真を1枚取りし、みさ子のに渡した。 ぼやけたその写真には、このG24の暗い壁を背景に、に赤いリボンをつけた2のさな女の子が、怯えたように隅でを寄せっている姿が写っていた。 顔の細部は判別できなかったが、母親であるみさ子には目で分かった。咲とだった。 写真を裏返すと、そこには鉛で「1994.3.15」と殴りきされていた。娘たちが消えてからわずか3の付だった。 「ここに、はありますか?」 みさ子が写真をく握りしめて尋ねると、ゆみは苦しく頷いた。 「建物の裏に、へりる錆びた鉄の扉があります。きましょう」
2は廊を戻り、建物の裏にある雑に埋もれた鉄の扉のにった。 古い京錠はすでに壊れており、ゆみが力を込めて引くと、ガガガと鈍い音をてて扉がいた。 からいがってくる、湿気とカビの烈な匂い。 ライトので急で狭いコンクリートの階段を照らしながら、2は歩ずつ慎にへとりていった。 廊の突き当たりにあるい製のドアの隙に、さな切れが挟まっているのを、みさ子の目が捉えた。
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彼女がそれを拾いげると、それは子供のノートの破片で、掠れた鉛の文字が残されていた。 『お母さん わたしたち ここ……』 その先は千切れていて読めない。みさ子は涙を流しながらドアを押しけた。 部のは、井がく、窓がつもないコンクリート壁の狭い空だった。 しかし、壁の部を見げた瞬、みさ子は息を呑んだ。そこには、あのの絵に描かれていたのとまったく同じ、さくて丸い換気窓がポツンと設置されていた。
みさ子はたいに膝をつき、のひらでコンクリートの触を確かめた。 指先がのタイルの隙に引っかかり、慎につまみすと、それはあせたさな「赤い布切れ」だった。 あの、咲のに結んでやったリボンの部だった。 「ここを見てください」というゆみの鋭い声に、みさ子が顔をげると、ゆみは壁の最部をライトで照らしていた。 そこには、爪で必に引っ掻いたような傷で、文字が刻まれていた。 『あい 1994 ママにあいたい』
みさ子がその文字に額を押し当てていると、突如としての階から、ドン、というい靴音が響き渡った。 の空に、誰かが階段をりてくる規則正しい音がづいてくる。 みさ子は素く自分の携帯話のライトを消し、ゆみもそれに倣った。部は瞬にして完全な漆黒のに包まれた。
音はドアので止まり、キィ、と錆びた蝶番の音をててドアがいた。
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