"赤いリボンの手紙" 第8話
『みさ子はもう分に苦しんだ。これ以、変わり果てた娘の姿を見せて傷つけたくない。真実は伏せておいてくれ』と……。私は彼女の精神療法を試みました。彼女は断片な記憶ので、『暗い部、さな窓、ある男たちが来てお姉ちゃんを連れてってしまった。私は1取り残された』と泣いていました。そして、200183の夜、彼女は病から忽然と姿を消したのです」 警察は岸に残された靴から溺と断定したが、伊藤教授は諦めきれず、独自に探偵を雇って彼女を捜索し続けていた。
伊藤は机の引きしから、3に京の野区から届いたという通のをみさ子に渡した。 そこには、の美しい跡でこうかれていた。 『伊藤正弘先へ。私はかつて、いとう桜だった者です。今は別の名で、しいをきています。先の治療には謝していますが、どうか私を探さないでください。過を葬り、静かにきたいのです』 はきていた。京のどこかで、別の名で確かに息をしていたのだ。
みさ子はファイルとを抱きしめ、すぐに渡辺ちえ(咲)に話をかけた。 「咲、妹のがきているわ。京にいるの。緒に探しましょう」 話の向こうで咲の声が激しく震えた。「……私も、伝います。私たちは、族だもの」 その夜、みさ子が横浜の自宅に戻ると、玄関のにまたしても差ししのない黄い封筒が置かれていた。
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には、喫茶の窓際でコーヒーをむ、い髪をした20代半の女性の横顔の写真と、枚のメモが入っていた。 『京浅、さな陶芸「」。彼女は毎午3にそこへ現れます。真実をる者より』
翌朝の始発の幹線で、みさ子と咲は京駅で流し、浅の賑やかなの隅にある「」のへと向かった。 ガラス窓の向こうを覗き込むと、1の女性が静かにろくろを回し、粘を形作っている姿が見えた。 その穏やかな横顔、繊細なつきは、紛れもなく成した次女・の姿だった。 2は彼女を驚かせないよう、くの喫茶で待ち、午3半にをて静かな宅の平の自宅へと歩いていくのを、静かに追跡した。
が自宅の扉をけた瞬、みさ子がインターホンを押した。 部着に着替えたがドアをけ、議そうな顔で2を見つめた。「どなたですか?」 咲が歩にて、静かに言った。「こんにちは、私はあなたの姉の咲です。そして、こちらは私たちの母親のみさ子です」 みさ子が震えるで1994の族写真を差しすと、の表が急激に混乱へと歪んだ。 「私には族はいません、孤児です!」と写真を返そうとするのを、咲がく掴んだ。 「お願い、5分だけでいいから、私たちの話を聴いて」
居の良い作りの陶器が並ぶリビングで、3はさなテーブルを囲んで座った。
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みさ子と咲は、23の失踪の真実、の発見、健の遺、そして伊藤教授の医療記録のすべてを、言言、涙ながらにへと伝えた。 は静かにその話を聴きながら、その目から粒の涙をポロポロと流した。 「……私には、古い記憶がありません。でも、200183の夜、病院を抜けして岸で波の音を聴いていた、突然『暗い部、さな窓、お姉ちゃん』の記憶が蘇って、あまりの苦しさにへ入ろうとしたんです。その、ろから配の男のが私をのから引きずりしました」
は席をち、部の奥から枚の古い封筒を持ってきてみさ子に渡した。 封筒のには、500万円の現と、枚のメモ用が入っていた。 『しいをきろ。過は忘れろ。このでくへき、度と横浜へ戻るな。それがおを守る唯の方法だ』 その跡を見た瞬、みさ子は叫んだ。「これ……健の字だわ! あなたのお兄ちゃんの字よ!」 健は1994にんだはずだった。しかし、このメモは2001にかれている。あの夜、をから救いし、を渡してしいを与えた配の男こそが、を偽装してき延び、から妹たちを守り続けていた健だったのだ。
その、平の玄関のチャイムが鳴り、がドアをけると、子をかぶった配達員が「お届け物です」
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