みかん小説
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"柿の木の下、三十年の帰郷" 第17話

焚きを束に作りりる。肩にずっしりとみをじた。こんな作業をするのは何ぶりだろうか。の頃装備を背負って歩いた覚が蘇った。

に着き焚きを積むと母はすでに鍋で追加のおにぎりを蒸しげていた。湯気がもわっとがる。蓋をけ、箸でおにぎりをつ取って私に渡した。暑いうちにべな。受け取ってつに割るとはふっくらとしていてと同じがした。

その私は縁側に座ってセーターの入れをしていた。母が送ってくれたあの編みのセーターだ。送られてきたから事に着ていて傷みもなかった。ブラシでしずつ付いた埃を優しく払い落とす。

母は縁側に座りインゲンの筋取りをしていた。ポキッと折ってスーっと筋を引きボウルに入れる。本当にこっちに戻ってくるのかい?

本当だよ。

それじゃあせっかくの世が台無しじゃないか。

どこにいたって仕事はできるさ。くにいなきゃいけない理由なんてない。

母は何も言わなくなり、豆を剥くくなった。しばらくしてさな声で言った。母さんが邪魔をしてあんたのを引っ張ってるんじゃないのかい。

私はブラシを持つを止め、顔をあげた。母は俯いたまま私を見ようとしない。でインゲンの殻がパキッと鳴った。

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母さん、何を言ってるんだ?母さんが俺のを引っ張ったことなんて度もないよ。

母は答えなかった。私はそばによりブラシを置いていった。あの俺が勝たんだ。母さんのせいじゃない。若くて世らずで母さんをに残して自分だけ募集所にったんだ。このすたびに悔してたよ。

母はインゲンを置き、エプロンでを拭いた。私を見て言った。あんたが派になってくれればそれだけで嬉しいんだよ。に望みはない。

母さんが嬉しいなら俺も嬉しいよ。俺がで命がけでやってきたのは母さんをばせたかったからだ。でも母さんがでいじめられてるのに俺の柄なんかに何のがあるんだ。

母の目が赤くなったが、まだ私を見ようとしなかった。インゲンをつつまみ取り、再び筋を取り始めた。ポキッという音が響き、豆がポロポロとボウルに落ちる。

私は元の所に戻り、セーターの入れを終えて袖を通した。着てみるとが柔らかく、体が温かく包まれた。

夜、布団に入ると窓のかりでるかった。母は布団の反対側で規則正しい寝息をてている。私は目をけて井を見つめ、この数のことを振り返った。たけしのこと、移のこと、母のしい、焚き、インゲン、つの来事がつながり、しずつが落ち着いていくのをじた。

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この、どんなにくへっても私の根っこはここにあったのだ。この台所、このの世界のどんないビルもどんなに速いも母が作ってくれたおにぎりには叶わない。

翌朝また駐屯話を入れた。内示は来週にはりるはずです、と司が言った。

わかった。急がないからもうでゆっくりするよ。

へ帰るすらたけしにあった。彼は荷に肥料を積んで運んでいた。くから私に気づくとを譲るように荷を脇に寄せた。私がづくと彼は俯いたままだった。

せぎつけるなと声をかけるとああとく答え荷を引いてっていった。

彼の背を見送る。荷輪がをきしませてむ音を聞きながら私はった。この男もれななのだ。くに妻をなくし、酒に溺れて流されるようにきている。だが母さんをいじめることだけは許さない。昨あれだけ言っておけば分だろう。彼がししない限り私も事を荒てるつもりはなかった。

に戻り母に告げた。来週には内示がる。これからは県内の駐屯の方で働くからばせばで帰って来るよ。

県内の駐屯なんてきな町。どこにむんだい?

駐屯の宿舎がある。落ち着いたら母さんも呼ぶよ。

母は首を振った。私はどこへもかないよ。

この庭で暮らしたんだから。

無理に連れてくことはできないと悟っていたのでそれ以は言わなかった。

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