みかん小説
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"柿の木の下、三十年の帰郷" 第18話

ゆっくりをかければいい。そのの昼過ぎ、私ははしごをかけて台所の根に登り緩んだ瓦を直した。作業を終えてりると母がお茶を差ししてくれた。今回は今までとし違うね。お茶をみながらどこが違うと聞いた。はいつもそわそわしててですぐ帰っちゃった。でも今回はどっしり落ち着いてる。それはもうどこへもかないからさ。母は頷いた。そうかい。

じゃあじゃがいもをたくさん掘ってこよう。あんた肉じゃが好きだろう。俺が掘るから母さんは休んでてよ。母はを振り鍬を持って歩きした。陽射しを浴びた母の髪がし眩しく見えた。私は湯呑みを置きを追って鍬を受け取った。母さんはここで見ててくれ。私は鍬を面にく踏み込み、ザクっとを起こした。のついた丸々としたじゃがいもが顔をす。母は畑の畦にしゃがみ込み、籠を受け皿にしてつずつを払いながら拾い集めた。私たち親子は丸畑で汗を流した。太陽がからしずつの向こうへ傾き、く伸びていく。暗くなってきた頃、腰を伸ばすと母が最のじゃがいもを拾い終えようとしていた。がろうとしてしふらついた。私はとっさに腕を伸ばして支えた。母はち直り、を払いながら言った。

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よし、これだけあれば何べられるね。台所では鍋から湯気ががっている。私は縁側に座ってじゃがいもの皮を剥き、母は炉ので肉を切っていた。ではまたが吹き、柿の葉がヒラヒラとい落ちる。このにはきる気配がある。私のは穏やかだった。内示が届いたっていた。私が庭で焚きを割っていると郵便のバイクがに入ってきた。ズボンの裾をだらけにしながら鞄から茶い封筒を取りして私に渡した。を拭いて受け取り封を切ると県内駐屯からの内示だった。赤い印が押され以内に駐屯へ異することとかれていた。母が台所から顔をした。たよ。母はを拭きながらてきて軒った。私が内示をポケットにしまうのを見つめている。が顔に当たるのも気にせず目を細めていった。いつ発するんだい?急がないよ。母はそれだけ言い台所に戻って料理を続けた。お玉が鍋にぶつかる音が音に混じって響いた。はやんでいた。私は縁側に座り、佐藤さんに話をかけた。内示がました。数にはそっちへきます。彼は話の向こうでとてもんでいた。それはいい。こっちに着いたら飯でも奢るぞ。お母さんは元気か?ええ、元気です。し悪いですが、これからはお袋さんのそばにいてやれ。

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今まで寂しいいをさせたわけ。恩返しするんだぞ。はい、私はしばらくぼんやりと座っていた。恩返し、佐藤さんの言う通りだ。返しきれないほどの恩がある。県内の駐屯へ向かう入れを済ませておきたかった。焚き分にある。塀のひび割れも補修した。庭の柿のの枝も剪定しなければ。柿のなんて放っておきなさい。に切ったら来実がならないよと母は言った。じゃあ俺はやらないから母さんがやってくれよ。私がやるさ。私に任せな。そのの夜、母は古い剪定ハサミを持ちし、柿のに座って枝を切り始めた。私が懐灯で照らすと、母はを向き、チョキチョキと枯れ枝を切り落とした。枝が面にパラパラと落ちる。が母の横をきく照らし、く刻まれたシワと首元の筋が浮きがって見えた。母は枝を切りながら言った。このはあんたの父さんが植えたんだ。私よりなんだよ。ってるよ。子供の頃登って実を取ろうとして落ちたからね。母は笑った。落ちてたんこぶ作って半泣いてたね。私はそこにち、懐灯を持ったまま母の急がず焦らないつきを見ていた。が暗で揺れが塀に移る。が吹くとがゆらゆらと揺れた。

発当の午私は荷物をまとめた。

荷物はなく駐屯のキャンバスの鞄に着替えを数着入れただけだ。母は鞄の好きな漬け物の瓶、そしてあの作りの布団を押し込んだ。

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