みかん小説
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"柿の木の下、三十年の帰郷" 第20話

いくらかかっても帰るさ。母はそれ以何も言わず黙ってお茶をすすった。湯呑みからがる湯気が母の顎を温かく包み込んでいた。

そんな々が過ぎていった。私は県内駐屯で働き、週末にはバイクで菅沢に帰った。曜の仕事が終わってすぐに発するとに着く頃にはが暮れていた。台所にはかりがつき、鍋には温かいご飯が用されている。曜の朝に発すると、ちょうど母がうどんを打っているった。

の寒いの効いたバスを利用した。窓から裸の々を眺めながらこの程などしたことはないとえた。

たけしはあれ以来母のところへ来ることはなくなった。彼のを通った端で刈りをしていた彼と目があった。彼は軽く頷き、私も頷き返して通りすぎた。

のおじいさんの話では彼は畑をに任せ町で警備員の仕事を見つけたそうだ。収入はないが酒をむには分らしい。彼もしは落ち着いたのだろう。

、柿のにはたくさん実がなった。赤やの柿が枝杯にぶらがっている。私ははしごをかけて登り、きなかごつ分の柿を収穫した。母はでそれを受け取りながらエプロンで何度も元を拭って笑っていた。

収穫が終わると番良い柿をのおじいさんに持っていきなと言われた。

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残りの柿は綺麗に洗いざるに並べて干しにした。干し柿にしてにお茶請けにしようね。

干し柿を作るその数、私はちょうど休みを取ってしていた。朝く起きて母と畑を見回り、朝べた、庭に座って干し柿をひっくり返したり、インゲンの殻を剥いたりした。漏れしずつ傾くようにゆっくりと流れていった。

夜、私が布団ので本を読んでいると母が部に入ってきた。には湯呑みを持っている。は温かい干し柿のお茶だった。母は湯呑みをテーブルに置き、布団の端に座って私を見た。

母さん、どうして寝ないの?なんだか眠れなくてね。し話そうとって。私は本を閉じ、湯呑みを取ってお茶をんだ。ほんのりと甘い。

私から言いたいことがあるんだ。何?母はをこすりわせながら言った。あんたが戻ってきてもうすぐになるね。よりずっと落ち着いた顔をしてる。

そりゃまたを取ったからな。齢の話じゃないよ。がどっしり構えてるってことさ。私は湯呑みを持ったまま黙って聞いていた。は帰ってきてもどこかの空でここでお茶をんでてもはここになかった。私には目で分かったよ。でも今は違う。本当にここにいるんだね。

私は湯呑みを置き言った。

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母さん、俺は昔くへけばくほどいい活が待ってるとってた。でもの世界でく過ごして気づいたんだ。どこにいたって同じだ。ただ母さんかられすぎちゃいけないって。

母は俯き元を見つめた。ランプのかりに照らされたそのは太くく爪はく切り揃えられのひらにはたこがたくさんあった。

あんたのお父さんがんだ、あんたはまだ歳だった。私はこの先どうやってきていこうかとった。あんたを育てるだけで精杯だったよ。

そのあんたが戸籍を持ちしてていった、私は半も泣き続けて目が桃のように腫れがったんだ。母が自分からこの話をするのは初めてだった。胸がちくっと痛み、私はすかさず言った。ってるよ。おじさんから聞いた。

あんたを責めてるんじゃないよ。あんたがていったのは正解だった。あのままにいたら今のあんたはなかったんだから。私が言いたいのは母さんはこれといった取り柄もないけどあんたに温かいご飯を作ってうどんを打つことくらいはできるってことさ。もし嫌じゃなければもっと帰ってきて傍においで。

喉の奥がぐっと詰まった。私は湯呑みを持ちげ干し柿のお茶を気にみ干した。くて甘かった。嫌なわけないだろう。

母さんのうどんが恋しくてもたまらなかったんだから。

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