みかん小説
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"柿の木の下、三十年の帰郷" 第24話

クッションにを傾け、規則正しい寝息をてている。私は隣に座ってその姿を見つめ、菅沢の布団で寝ていたと同じだなとった。所が変わってもは変わらない。

経ったから帰るよと母が言った。わかった。送っていく母は緒に材を買った。帰ったら鍋料理を作ってあげるからバイクでまで送る。の鍵はしいままで回すとスムーズにいた。台所の戸をけると分の埃りの匂いがした。母はすぐに袖をまくり掃除を始めた。私がを汲んできて伝う。母はあちこち拭きながらを空けただけで埃がたまるねと文句を言った。

その作ったのは菜入りの鍋料理だった。母が具材を切り、私が麺をこねる。以よりずっと息がっていた。お湯を沸かしながら母が言った。県内の町もいいけど、やっぱり自分の番落ち着くね。両方をき来すればいいじゃないか。母はそれには答えずお玉で具材をすくうのにだった。

事が終わる頃には空が暗くなりかけていた。今は帰らなきゃ。の朝会議があるんだ。母はまで見送りにて、しい扉のって私を見た。バイクのエンジンをかけるとドドドっと音が響く。振り返ってまた来週帰ってくるよと言った。気をつけて帰りな。

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ああ。

バイクがに入る。ミラー越しに見ると青いダウンコートを着た母がのところにっていた。を振るでもなくただそこにじっとっている。が襟元に入り込む。私は首を縮めた。ヘッドライトに照らされたが暗へと伸びていく。両側の黒々としたろへ流れていく。

ふとのあの朝をした。戸籍を持ちして逃げた。空は今のように暗くもこんなにじた。おじさんの自転を必にこぎながら臓がからしそうだった。あの頃は先に何が待っているのかも分からず、ただくへきたいとっていた。でも今は違う。このなら目を閉じていてもれる。の向こうで私を待ってくれているがいるからだ。

バイクのライトがデコボコを照らし、私はその穴をつ避けながら県内駐屯のある町へと向かった。ミラーので菅沢はどんどんさくなり、最には黒い点になっての向こうへと消えていった。

、私は県内駐屯のマンションに戸を割り当てられた。部は広くはないが独の宿舎よりはゆとりがあり、向きのさなベランダがついていた。母に寒くなったらベランダで向ぼっこできるから来なよと言うと向ぼっこなら自分の庭の方がいいよと返した。

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とはいえ、の初めにった、母から話がかかってきた。そっちのはちゃんと効いてるかい?温かいよ。試しに来てみるか。それなら干し柿でも持っていこうかね。ぶらでいいよ。干し柿ならまだ残ってるから。

そのの午バイクで迎えにくと母は呂敷包みをつ持っていた。つは着替えでもうつは漬物の瓶だった。部座席に乗り、私のダウンコートの裾を掴むつきもよりすっかり慣れたものだ。く、母は私の背に顔を伏せて何も言わなかった。途からが私の肩にもたれかかってきたのでうとうと眠っているのだとい速度を落としてゆっくりった。

マンションに着いて声をかけると母は顔をあげて目をこすり、もう着いたのかいと言った。半分くらい寝てただろう。寝てないよ。ちょっと目をつぶってただけさ。

に入ると母は真っ先にベランダへ向かった。窓ガラスが綺麗に拭かれていて、くのビルのが見えた。ここはるくていいね。私は荷物を寝へ運んだ。母もついてきてベッドに触り、布団は分かと聞いた。分だよ。しいのを買ったんだ。母は裏を触ってこんなのにお使わなくていいのにと言った。

最初の数母は昔の宿舎にいたと同じように朝く起きて朝を作ってくれた。

はテレビを見たり編み物をしたりしている。

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