みかん小説
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"柿の木の下、三十年の帰郷" 第30話

漬物と緒にたっぷりべると体がポカポカと温まった。母はしずつべ、器からち昇る湯気が母の顔を優しく包んでいた。これが私と母のいつもの夕だ。これからもこんな穏やかな夜が何度も続いていく。

ご飯をべ、々が穏やかに過ぎていく。柿のはまたに芽吹き、田畑の米はまた実る。私は毎週バイクでこのり、母はで私の帰りを待ってくれている。母は器を置き、の甲で元を拭って言った。

洗い物をしておれ。私は器を台所へ運び、蛇をひねる。たいに当たる。台所の温かい気のが私の部を照らしていた。は静まり、犬も吠えなくなった。くのからテレビの音が微かに聞こえる。

私は台所で器を洗い、母は布団ので古い民謡をい始めた。昔芝居で聞いた曲らしいが、音程はれている。私は何も言わず洗い物を続けた。台所のストーブのが揺れ、炉の奥にはまだ真っ赤な炭さくっていた。

そのく、の初めにった。朝起きると庭の桶にく氷が張っている。母はく起きてストーブにを起こしてくれた。私は布団ので母の咳き込む声を聞いた。母さん、町の病院にこう。その咳がずっと続いてるじゃないか。

ちょっとえただけさ。

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姜湯でもめば治るよ。私は無理に連れてくことはせず、自分でバイクに乗って町の診療所へき薬をもらってきた。母が薬をむのを見届けた。もすれば咳は止まり、母はまた台所で忙しく働き始めた。休んでてくれと言ってもじっとしていられないなんだよと笑った。

に入り、ひろしからが届いた。のおじいさんの息子が町の郵便局から届けてくれたのだ。封筒には切が貼られ、駐屯の消印が押されていた。字はまだぎこちない。母にを渡し、読んでみてと言われたので声にして読みげた。

ひろしは兵の訓練が厳しく、キロ度も転んだといていた。でも班からは基礎作がしっかりしているから丈夫だと褒められたらしい。堂のご飯でお腹いっぱいになってし太りましたともいてあった。

の最には鈴によろしくお伝えくださいと記されていた。それを聞いて母は本当にいい子だねと目を細めた。返事をくかい?いいと聞くと、あんたがきな。しっかり頑張れ、のことは配するなってね。

私はとペンを取り、しっかり訓練に励め。があるはこまめにけ、お袋さんが待っているぞと返事をいた。通目のが届いた。今度は駐屯の正式な便箋だ。

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ひろしは偵察部隊に配属されたといてあった。私と同じ部隊だ。

く握りしめ、度読み返した。何とも言えない胸がくなるようなが込みげた。、私は勤務シフトを調してへ帰った。台所には湯気がち込め、母が調理をしていた。

まな板には鍋料理の具材、越しそば用のぷら、豚肉の切りが並んでいる。母はエプロン姿でストーブのき回り、取りは軽く、首を怪した響は微じられなかった。

こんなにたくさん作ってもじゃべきれないよ。余ったら元のお正べればいいさ。夕飯の具材がテーブルに並ぶと母は珍しくお酒をしてきた。町で買った本酒だ。私のグラスに注ぎ、自分にも半分ほど注いだ。

いつからお酒をむようになったんだ。たまにむと体が温まるからね。私たちは乾杯した。母はむとすぐに顔をしかめ、やっぱり慣れないねと言った。無理してまなくていいよ。母はグラスを横に押しやり、鍋料理をべ始めた。

テレビではの特番が流れていて、や踊りで賑やかだった。母はしばらく画面を見てから言った。もこの番組を見たね。演者はし変わったけど、が変わってもべるものは変わらないさ。

母はふっと笑った。

、母は壁にもたれかかって編み物を始めた。あのグレーの毛糸のセーターで半分まで編んだまましばらく放置していたものをまた引っ張りしてきたのだ。

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