"ニューヨークへ消えた妻" 第11話
は美希の姿を見るなり、子からびりて1枚のしい絵を差ししてきた。
そこには、クレヨンできないと、真っ赤な根、そしてが差し込むきな窓が描かれていた。そののには、微笑む1の女性と、2の子どもが仲良くを繋いでっている。画用のには、幼いの跡ではっきりとこうかれていた。 『Our Home』 私たちの。
美希はその絵を両で持ち、じっと見つめた。 「ママ……気に入らない?」 が美希の顔を窺うように、そうな声を漏らした。 美希はそのにしゃがみ込み、娘の目のさにわせて、絵を切に胸に抱き寄せた。 「ううん、とっても気に入ったわ。本当に素敵な絵ね」 「ここが、これからの、私たちのしいお?」 「そうよ。ここが、これからの私たちの本当のよ」 「じゃあ、ずっと緒? 永に?」 「永っていうのはね、とてもいのことよ。がになるまで、ハルトがきくなるまで、ママがゆっくりおばあちゃんになるまで。ずっと、ここが私たちのよ」 はしの、を傾けて考えた、にっこりと満面の笑顔を浮かべた。 「じゃあね、、このおの壁に、私がクレヨンで全部おの絵を描いてあげる!」 すると、キッチンのコンロのから吉田さんが慌てた声をげた。 「ダメですよ、ちゃん! このおはルポン夫からの借り物なんですから。
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壁に落きなんかしたら、変な賠償を払わなきゃいけなくなりますよ!」 はイタズラっぽくペロリと舌をし、笑いながら自分の卓の子へと戻っていった。
夜、子どもたちがそれぞれのベッドで健やかな寝息をて始めた、美希はリビングをて、静かなバルコニーへとを運んだ。ニューヨークの夜のはどこまでもるく、空を見げてものはほとんど見えなかった。それでも、遮るもののない夜空には、丸いが静かに、そして力く浮かんで周囲を照らしていた。
スマートフォンをくと、本のたちから、田のそのを伝えるメッセージがいくつも届いていた。優斗の経営する会社は事実の自己破産寸に追い込まれ、父親の健は未だに病院の集治療で識が戻らないままだという。林ゆりは各方面からの契約解除と、巨額の違約請求の対応に追われて精神に追い詰められていた。義恵は本へ帰る直、美希の携帯に「優斗は今、自暴自棄になっていて、あなたに対して何をするか分からない子よ」と、脅迫めいた捨て台のメッセージを残していた。 美希はそのテキストのすべてを選択し、ゴミ箱のアイコンをタップして完全に削除した。もう、度とろを振り返る必はなかった。
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田に対する激しい憎しみやりは、美希のを決してくはしてくれなかった。そんな黒いは、切な子どもたちを何つ守ってはくれなかった。この1、自分を支え、夜に必に英語を学ばせてくれたのも、アメリカでのしい役職を見つけさせてくれたのも、座に4000万円ものを確実に貯めさせてくれたのも、田への憎悪などでは決してなかった。それはただ、子どもたちと共に尊厳を持ってき抜くという、彼女自のい「覚悟」の力だった。
美希はリビングへと戻り、の描いてくれたあの絵を、斎のい壁にそっとてかけた。いのに並んでつ、幸せそうな3の姿。その絵のに、優斗の姿はどこにも描かれていなかった。しかし、何かが欠けているようには、美希の目には全く見えなかった。むしろ初めて、そこにあるものだけで、自分たちのは分に満たされているのだと確信することができた。
美希は胸の奥から静かに息を吐きし、リビングの照のスイッチを落として部の灯りをしだけ暗くした。隣の寝からは、とハルトの規則正しい、しきった寝息が優しく聞こえてくる。キッチンでは、吉田さんがのお弁当のための朝の準備を、静かにめていた。
ここにはもう、理尽に鳴り散らす優斗の声も、自分を具のように見す義恵の酷な線も、裏切りのな匂いも、何つしなかった。
あるのは、し古びたアパートの静かな空と、さな温かい卓と、すやすやと眠る2の宝物のような子どもたち、そして、からしく始まる、自分たちの本当の活だけだった。
美希は窓のに浮かぶ、美しいをもう1度見げた。そしてので、完全に過のすべてへと別れを告げた。
私は、あのから惨めに逃げしたのではない。 ようやく、自分が本当に帰るべき温かい所を、自分の志で選んだのだ。
― 完 ―
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