"柿の木の下の守護" 第7話
作業の、2は縁側に並んで腰掛け、のよいを浴びながら、包丁で柿の皮を剥いた。 佐藤健太が、剥きたての果肉を先に、シャきりと気よい音をててかじった。 「今のお母さんの柿は、本当に段と甘いですね。美しいです」 義母は嬉しそうに目を細め、自分の分の柿を受け取った。 「そうかい、健太さんがんでくれるなら、来もたくさん作らなきゃね」
その柿の異常な甘みが、体どこから吸いげられたものなのか。 あの激しいの残るののけ方、あのたいのに、体何がき埋めにされたのか、盲目の老母はにもる由がなかった。 そのわずか30センチメートルの暗ので、佐藤みさは、未だ失われないのピンを握りしめたまま、じっとうずくまっていたのだから。
妻のみさが消えてから1が経過した。 佐藤健太は、法律の専識をフルに活用し、裁判所に対して「失踪宣告」による扱いの法続きを厳格にめ始めた。 失踪から定の期が経過すれば、遺体がなくとも法にしたものとみなされ、遺産相続が能になるという仕組みを、法律を誰よりもよくる彼は完璧に理解していた。
類に署名し、実印を押す彼の先は、ただの度も揺らぎを見せなかった。 庭裁判所の審判官ので、妻を失ったしみを切々と陳述する彼の声も、点の震えすらじなかった。
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総額75億円にのぼる莫な資産が、法律の傘ので、ゆっくりと、しかし法に、佐藤健太という個の名義へと完全に移転し始めた。 京都にある等のオフィスビル2棟、埼玉県内の広な商業、そして巨額の預貯や価証券。 それらはすべて、みさが6の過酷な極貧活を耐え抜いて、夫ののために守り抜いてきた、彼女の実の血の結晶だった。
義母は、その法な続きが淡々とんでいく過程を、ただ信じ切った目で見守り、何つ満をにすることはなかった。 娘がいない状況において、残された優秀な義理の息子がすべての財産を管理し、理するのは、当然の義務であり権利だと盲信していたからである。 むしろ彼女は、若い夫に対し、申し訳なさそうにをげることさえあった。 「健太さん……。私がみさの育て方を違えたせいで、あなたの切な検事としての仕事に、こんな余計な苦労と労をかけてしまって……。母親として、本当に面目ないわ」
佐藤健太はその言葉をにするや、すぐに義母の震えるをぎゅっとく握りしめた。 「お母さん、そんなことは決して言わないでください。みさはいなくなってしまいましたが、これからは僕が本当の息子として、ずっとお母さんのそばにいますから」 その握りしめられたの温もりが、どれほど酷非な計算の果てに演じられているものなのか、老母はる由もなかった。
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3のが流れた。 佐藤健太は、検察内部において着実にその位を築き、世の先を突きんでいた。 「若くして最の妻を運の事件で失いながらも、巨悪にち向かう、劇の検事」という周囲からのイメージは、むしろ彼にい性とストイックな魅力を付け加えていた。 検察の層部の先輩たちは彼をが子のようにがり、優秀な輩検事たちは彼を絶対な目標として慕った。 取調の机を叩き、被疑者の罪を鋭く追及する際、彼の正義を語る声は、法廷全体を震わせるほど堂々としていた。
柿のは、そのも、その次のも、変わらず見事な実を結び続けた。 佐藤健太はお盆や正の期になれば、現職忙のを圧して、必ず妻の実へと律儀にを運んだ。 義母が仏に用したみさの遺ので、彼は静かに線にをつけ、くをげて両をわせた。 ハンカチを取りし、みさの写真のでそっと目元を拭う彼の姿に、義母はいつも涙した。
仏壇の写真ののみさは、あの法務省の任命式のに撮った、のワンピースを着た弾けるような笑顔のまま、静かにこちらを見つめている。 法の事がすべて終わると、彼は決まって、義母と緒に庭にて、柿のの横に置かれた古い縁台に腰掛けた。
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