みかん小説
本棚

"母が家を消した日" 第3話

私は本当におかしくなったのかしら。自分に問いかける。確かに最、物を置いた所を忘れることはあった。でもそれはを取れば普通のことではないだろうか。

いいえ、違う。私はまだしっかりしている。は自分に言い聞かせた。しかしは消えない。息子たちの目がはっきりと見えてきたからである。私を病気にして施設に入れる。そしてこのを売る。その計画が今、き始めているのだ。

キッチンの窓からの景が見える。いつもと変わらないの青空だった。でもはどんどん暗くなっていった。リビングから笑い声が聞こえてくる。健と美紀とりの声。こんなにくにいるのに、こんなにい。さく呟いた。

器を洗い終えてふとカレンダーを見る。、健たちは自宅へ戻る予定だった。にはまた1になる。そのまた寂しさとが押し寄せてくる。でも、今は1になりたい気持ちもあった。この緊張に耐えられなくなっていたのである。

は自分の部へ戻った。ベッドに座り、窓のを眺める。これからどうなるのだろう。答えはまだ見えなかった。ただきなだけがを覆っていた。部は静かである。でもは嵐のように荒れていた。

17の午、お盆の最終だった。リビングで健がる。

広告

「じゃあ、ちょっと駅まで買い物にってくるね」

美紀とりも緒にかける準備を始めた。

「お母さん、お留守番お願いできますか?」

美紀が笑顔で言う。

「ええ、ゆっくりってらっしゃい」

はできるだけ普通に答えた。玄関のドアが閉まる音が聞こえる。そしてのエンジン音がざかっていった。

はリビングの窓からその様子を見送る。が角を曲がって見えなくなった。静かなマンションのに1残される。の胸が鐘を打ち始めた。今しかない、本当のことをらなければ。

そうい、がる。し震えていた。向かったのは客として使っている部。健たち族がこの3泊まっていた部である。はそのドアのった。をドアノブにかけるが、すぐにはけられない。

これは悪いことなのかしら、で自問する。でも昨夜からのが背を押した。は静かにドアをける。

はきちんと片付けられていた。布団が畳まれ、荷物がスーツケースのに入っている。窓から差し込むが部るく照らしていた。は部に入る。胸の鼓が自分でも聞こえるほどきくなっていた。

どこかに何かあるはず。そういながら周りを見回す。テーブルのには何もなかった。スーツケースには鍵がかかっている。

広告

の目がサイドテーブルの引きしに向いた。ここは美紀がいつも使っている所だ。を伸ばし引きしをける。には化粧品やティッシュが入っていた。ここじゃない。

次にクローゼットの引きしをけてみる。類が綺麗に畳まれていた。その類のに折りたたまれたが挟まっているのに気づく。はそっとそれを取りした。何枚かのレポート用だ。ゆっくりとくと、そこにはきのメモがあった。

最初のページに目が釘付けになる。

『お母さんの今について』

そうかれただった。の指先が張る。次のページをめくった。

『施設リスト』

都内のいくつかの老ホームの名がリストアップされている。そして、最もい施設に赤い丸がついていた。額15万円。その数字が目にび込んでくる。くの子に座り込んだ。っていられなくなったのである。

次のページはさらに衝撃だった。

『マンション売却の予定』

そうかれたメモだ。このマンションの査定額、約8000万円。使いとして、宅ローン返済2000万円、残り教育費、活費と全て細かくかれていた。の目から涙が溢れそうになる。でも必にこらえた。まだ見なければ。

のページをく。そこには健の字でかれたメモがあった。

『母の施設入所について美紀と相談済み。

から準備を始める』

付は3ヶである。3ヶから話しっていたんだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: