みかん小説
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"父の残した翼" 第11話

ご祝儀を盗んだのも、おそらく番返済期限が迫っていた借の穴埋めに使ったのだろう。 しかしそんな額は焼けだ。 彼は父が残したであろうまとまった遺産を何としてでもに入れ、この借獄から抜けしたかったのだ。

りでが沸騰しそうになるのをこらえ、私は督促状をスマートフォンで枚ずつ撮し、元の所に戻した。 これもまた、彼の悪を暴くためのな証拠になる。

机のに置かれた冊の通帳が目に入った。 それは母名義の古い通帳だった。 なぜこんなところに母の通帳が? ページをめくってみて私は息をんだ。最のページまでびっしりと取引が記録されている。 それは母が父と結婚してからコツコツと貯めてきたへそくりのようなものらしかった。

しかし異変が起きていたのはここ、父がくなり母が倒れてからのことだ。 毎決まった万円、万円という単位でおが引きされているのだ。 そしてその引きしが始まった期は、私が直さんと付きい始めた期とぴったりとなっていた。

額を計算してみて私は呆然とした。 この百万円以のおが母の座から消えていたのだ。

母は体の自由が効かない。自分でっておろせるはずがない。

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キャッシュカードの暗証番号をっていて、自由におを引きせる物は、このにはしかいない —— 直さんだ。

彼は私と結婚するから母を騙し、その虎の子の預にまでをつけていたのだ。 おそらく「ゆみさんとの結婚資に」「母さんの介護用品を買うために」などと障りの良い嘘を並べ、母からキャッシュカードを預かり、暗証番号を聞きしたのだろう。

私は崩れ落ちそうになる体を壁にをついて支えた。 あの男はどこまで腐っているのか。 病気でっている母の境遇につけ込み、そのけなげな貯まで絞り取っていたとは。

映像ので母が「あのおだけは」と必に守ろうとしていたのは、父が残したきな遺産だけではなかった。

 

# 続き 誤記修正・段落理(原文内容完全保持、誤字脱字のみ補正)

この自分のそのものでもあった通帳のことも指していたのかもしれない。

その玄関のドアがく音がした。

「ただいま」

直さんの声だ。私は慌てて通帳を元の所に戻し、何わぬ顔で机をた。

リビングで彼と顔をわせる。

「お帰りなさい、あなた」

「ああ、ただいま。お母さんの散歩、どうだった?」

「ええ、とてもんでいたわ。し疲れたみたいで、もう休んでいるけど」

私は必で平静を装った。ではりの炎が燃え滾っている。

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目のにいるこの男の顔を、今すぐにでも引っ掻いてやりたい衝に駆られた。

しかし今は耐えなければならない。本先の言葉をす。

「君とお母様の全を確保したで、々は徹底に戦う」

に任せてしては、全てが台無しになってしまう。

この夜も直さんは決まったに母の部へ向かった。

カチリと扉が閉まる音が、まるで私の臓を締めつける図のように響く。

私はもうドアに聞きてることはしなかった。

で何がわれているかは分かりきっているからだ。

代わりに私は自分の部に戻り、本先から預かった父からのをそっといた。

震える指で封を切ると、からてきたのは父の器用だが温かい、見慣れた文字だった。

する娘、ゆみへ』

そのしを見ただけで私の線は涙で霞んだ。

霞む界の、私は父が残してくれた最の言葉を文字文字噛みしめるように読みめていった。

これは私のらない父の本当のいと、これから私がむべきを示す標となるメッセージだった。

父の器用だが温かい文字で埋め尽くされた面を、私は何度も何度も読み返した。

涙で文字が滲んで読めなくなっては、また涙を拭く、その繰り返しだった。

する娘、ゆみへ。

このを見ているということは、きっとお父さんの配が現実になってしまったということなのだろう。

すまない。お残していくこと、どうか許してほしい。

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