みかん小説
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"父の残した翼" 第12話

 

ゆみ、おは昔からが良すぎるところがあった。

誰かを疑うことをらず、いつも自分のことより周りのの幸せを願っていた。

俺はおの最の美点だが、としておを傷つけるものにもなる。

だからお父さんはずっと配だった。俺がいなくなった、悪い奴がおのその優しさにつけ込んで、おとおの母親をい物にするのではないかと。

直という青とおが付きっていると聞いた、お父さんはの友である本先に頼んで、彼のことを調べてもらった。

ながら黒い噂しか聞こえてこなかった。額の借、派な遊び。

彼は完璧な善を演じるのが実にうまい男のようだった。

反対すればおはきっとく傷つくだろうが、だからと言って黙って見ているわけにはいかない。

悩んだ末にお父さんは、おとおの母さんが最悪の事態に陥ったとしても必ず再起できるだけのお守りを残すことに決めた。

本先に預けた遺言と貸庫の鍵は、そのお守りのつだ。

庫のには、おがこれからのを誰にも頼らず自分ので力きていくための資が入っている。

これは俺がおと母さんのために汗流して稼いだの最の砦だ。絶対にのような男に渡してはならない。

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そしてゆみ、どうしようもなく追い詰められ、方ふさがりになったとじたは、このの仏壇を調べてみなさい。

仏壇のさな引きしの奥に板が隠してある。

その板をした先に、おを助ける次のを隠しておいた。

それはという男の息の根を止める、最の切り札になるはずだ。

忘れるな、ゆみ。おは俺と母さんのたった切な娘だ。

どんなも自分を売りしてはいけない。自分の尊厳を踏みにじらせてはいけない。

泣きたいは泣けばいい。だが、涙を拭いたは必ずを向いて戦うんだ。

国からお父さんはずっとおを見守っている。

父、佐藤健 より

を読み終えた、私のは決まっていた。

父は全てお見通しだったのだ。

そして残される私と母のために、ここまで周到な準備をしてくれていた。

もう、私がめそめそと泣いているはない。父が残してくれた武器をに、私は戦わなければならない。

それから数には奇妙な緊張だけ漂っていた。

私は本先と密に連絡を取りながら、着々と準備をめていた。

母の佐藤け子には父の遺言のこと、そしてこれからの計画を簡単に話した。

母は涙を浮かべながらも私のく握りしめ、

「お父さんの言う通りにしなさい。ゆみ、あなたはもうじゃない」

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と言ってくれた。

方、直の焦りはに募っているようだった。

毎晩のように母の部へと通ってはいるものの、何の成果も得られていないのだろう。

私と顔をわせても、その笑顔はどこか引きつり、目が笑っていなかった。

彼もまた私が何かを疑い始めていることにづいているのかもしれない。

そして運命の夜が訪れた。

その、直さんはいつもよりずっと遅く、酒の匂いを漂わせて帰ってきた。

言もを聞かず、ただ黙々と箸をかしている。

その異様な雰囲気に私は嵐のの静けさをじていた。

事が終わり、私が片付けをしていると、直さんがリビングのテーブルに枚のを叩きつけるように置いた。

「ゆみ、これにサインしろ」

見るとそれは婚届だった。夫の欄にはすでに彼の名が署名され、捺印されている。

「これはどういうこと?」

私の問いに彼はえ切った声で答えた。

「言葉通りのだ。もうの限界なんだよ。君のお母さんの介護はっていた以変だった。僕のをこれ以君たちのために犠牲にはできない」

その言葉に私はりを通り越して呆れてしまった。どのがそれを言うのか。

彼はさも自分が劇のヒーローであるかのように、疲労困憊の表を浮かべて見せた。

「君のことは今でもしているだが、正直に言う、僕は介護獄に疲れ果てたんだ」

彼は続けた。

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