みかん小説
本棚

"虎姑と賢い嫁" 第10話

「お義母様、今まで本当にお疲れ様でございました。これからは変なことは私に任せて、どうぞらかに見守っていてください」

お兼ばあさんは、嫁の温かいに目くしました。

「私が若かった頃の嫁入り修は、それは辛かったよ。姑の顔を伺って、息もきく吸えなかった。たいを浸して泣いたもあった。だから私は、自分の嫁たちをく育てたかったんだ」

お兼ばあさんは初めて、自分の過の傷を語りました。

「だけど、私のやり方は荒っぽすぎたようだね。おを見ていて、くを学んだよ」

は静かに首を振りました。

「お義母様がいらっしゃったからこそ、このが揺るがずに続いたのです。私はお義母様のようにく、けれどしだけ柔らかく、このを守ってまいります」

荒れたと滑らかなが、静かになりました。

その夜、2に埋めておいた薩摩芋を取りし、々の焼き芋を分けってべました。お兼ばあさんはひときれをおの皿に乗せました。

「たくさんおべ。事に精をして、し痩せたようで気がかりだよ」

ぶっきらぼうな言い方でしたが、そこには確かながありました。

が流れ、おは子を産み、母となりました。お兼ばあさんは孫を膝に乗せ、昔話を聞かせる優しい祖母になりました。

広告

孫が尋ねます。

「おばあ様は、昔そんなに怖い虎だったんですか」

お兼ばあさんはおを見て、からからと笑いました。

「そうさ。恐ろしい虎だったよ。けれど、おの母さんが、狐より賢く女よりかったからね。虎は女に懐けられてしまったのさ」

その言葉を聞くおの顔には、穏やかな笑みが広がりました。

戸の瓦根が連なる町には、今も語り継がれる話がございます。

割れた瓶にを溜め、空の法事膳を真で満たした嫁。

そして、その嫁を通じて、自らのを打ち破った姑の物語です。

厳しいも、たいも、やがての陽に溶けていくように、の葛藤も、いつかは理解とで溶けていくのでございましょう。

お兼ばあさんとおが、互いのを取りって同じ敷を守ったように。

このにはもう、恐ろしい鳴り声ではなく、温かい笑い声が塀を越えて響くようになったのでございました。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: