"中卒嫁の逆転婚礼" 第2話
「私、慎吾さんと結婚しようとうの」
そのの空気が瞬止まり、次の瞬、お義母さんがぱっと顔をるくした。
「まあ、本当に?」
お義父さんも嬉しそうに鏡をし、目元をぬぐった。
美悟はし照れたように腕を組み、私と目をわせて笑った。
「よかったな、奈々」
奈々ちゃんは恥ずかしそうに頷いた。
「彼から正式にプロポーズされたの。それで、今度、慎吾さんとご両親が結婚の挨拶に来たいって言ってくれてるんだけど……いいかな?」
「もちろんよ」
お義母さんは即答した。
それからの義実は、ちょっとしたお祭りのようだった。
お義母さんは、お茶菓子は何がいいか、菓子がいいか菓子がいいかと悩み続けた。お義父さんは、慎吾さんのお父さんがお酒をむなのかを奈々ちゃんにしつこく聞いた。
「好みが分かれば、し良いものを用しておくんだが」
その様子を、私と美悟は目を細めて眺めていた。
このに、しい族が増える。
そううと、私まで胸が温かくなった。
けれど、結婚の挨拶の。
楽しみにしていた気持ちは、しずつ違へと変わっていった。
慎吾さんとその両親が義実のリビングに並んで座ったのは、奈々ちゃんがプロポーズを報告してくれたから1かのことだった。
慎吾さんのお父さんは背がく、スーツを隙なく着こなしていた。
広告
背筋は伸び、話し方も丁寧だったが、どこか相を値踏みするような雰囲気があった。
お母さんもフォーマルなスーツ姿で、元には笑みを浮かべていた。けれど目の奥はたく、部にいるをずつ採点しているように見えた。
もちろん、それは私の第印象に過ぎない。
実際にはきっと良いたちなのだろう。
私はそうおうとした。
最初のうちは、会話もやかだった。好きなべ物、仕事の忙しさ、結婚式の希望。そんな無難な話題が続いていた。
しかし雑談がくなるにつれ、きが怪しくなっていった。
「うちの息子はご覧の通り、難関学をておりましてね」
突然、慎吾さんのお父さんがそう切りした。
の話題は、好きな料理の話だった。
どうしていきなり学歴の話になったのか、私は瞬理解できなかった。
「学代から成績優秀で、今の会社にも推薦で入ったんです。の頃から模試では全国位でしてね」
慎吾さんのお母さんは、なんでもないことのように微笑んでいた。
お義父さんはし困った顔をしながらも、「それは派ですね」と穏やかに返した。
慎吾さんのお父さんは満そうに頷いた。
「がは代々、社会で活躍する材を育ててきたです。学歴というのは努力の積みねですから、そこをとても切にしているんですよ。
広告
もちろんの価値がそれだけで決まるわけではないとはっていますが、学歴のあるはやはり価値が違う。私はそうじています」
私は膝のでそっとを握った。
結婚の挨拶ので、なぜこんな話をするのだろう。
じが悪い。
そうったが、奈々ちゃんのれのにを差したくなかった。
私は元に笑顔を貼りつけ、ただ黙っていた。
慎吾さんのお母さんは、今度は奈々ちゃんに向かって微笑んだ。
「奈々さんもそれなりの学歴をお持ちだと伺って、正直したんです。息子にふさわしいお嫁さんでよかったと。やはりのレベルがわないと、夫婦としてうまくいきませんからね」
その言葉を聞いた、私はので歩引いた。
夫婦のうち、どちらか方が学歴にこだわっているだけならまだ分かる。けれどこの2は、同じ価値観を共しているようだった。
しかも、慎吾さん本は何も言わない。
否定もしない。
奈々ちゃんは、こんなに嫁いで丈夫なのだろうか。
そんな配が胸をよぎった、慎吾さんのお父さんの線が私に向けられた。
「ところで、お姉さんはどちらの学ですか?」
嫌な質問だった。
私は瞬、答えるべきか迷った。隣に座っていた美悟と目をわせる。美悟は配そうに私を見ていた。
お義父さんとお義母さんも、しだけ表を固くした。
私はさく息を吸い、覚悟を決めて答えた。
「私は学にはっていません」
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
捨てられた妻の逆転相続
十年間、義母の介護を一人で背負い続けた妻・恵子。 しかし、四十九日の法要が終わった直後、夫から告げられたのは「もう君の役目は終わった」という冷たい離婚宣告だった。 家族のために尽くしてきた年月を、ただの「役目」としか見ていなかった夫と息子。 何も言い返さず家を出た恵子だったが、翌日、誰も知らなかった一通の封筒が加納家で見つかる。 そこに記されていた亡き義母の最後の意思が、家族の運命を大きく変えていく――。嫁姑|夫婦|介護1.4萬字5 257 -
完結第9話
捨てられた妻の逆転人生
30年間家族を支え続けた妻・美智子に、夫は突然「もうお前は必要ない」と離婚届を突きつけた。 専業主婦として何も生み出していないと思われていた美智子は、何も言い返さず家を去る。 しかし翌朝、夫が残された古いファイルを開いた瞬間、30年間隠されていた衝撃の真実が明らかになる。 会社を支えていた取引先、危機を救った技術、築き上げた成功――そのすべての裏側には、誰にも知られず夫を支え続けた美智子の存在があった。 「家政婦」と呼ばれた妻が、本当は誰よりも会社と家族を守っていた理由とは。 そして、すべてを失った夫が初めて気づいた、取り返せない30年間の後悔とは――。因果応報|夫婦|熟年離婚1.4萬字5 593 -
完結第10話
退職祝いは離婚届
38年間、仕事一筋で家族を支えてきた黒田俊夫。 退職祝いの夜、彼は妻・真由美に言った。 「これからは、二人でゆっくりしよう」 しかし、その言葉を聞いた真由美は笑わなかった。彼女が静かに差し出したのは、白い封筒に入った離婚届だった。 若い頃に交わした旅行の約束。何度も後回しにされた夫婦の時間。「退職したら」「落ち着いたら」「今度こそ」と言われ続けた38年。 俊夫にとっては、これから始まるはずの老後だった。けれど真由美にとっては、もう待ち続ける時間の終わりだった。 妻はなぜ、夫の退職の日を選んで家を出たのか。 そして俊夫は、妻がいなくなった家で初めて、自分が見てこなかったものに気づいていく――。夫婦|第二の人生|熟年離婚1.5萬字5 579 -
完結第12話
不機嫌夫の末路
夫の大地は、気に入らないことがあると黙り込む人だった。 怒鳴るわけでも、手を上げるわけでもない。ただ返事をしない。目を合わせない。家の中を冷たい沈黙で満たし、妻の望美が謝るまで何事もなかったように振る舞う。 望美はそれを、夫婦ならよくあることだと思い込んでいた。 しかしある日、大地の沈黙は4歳の娘・ひなにまで向けられる。父親に無視された娘は、布団の中で小さくつぶやいた。 「パパ、ひなのこと嫌いになっちゃったの?」 その一言で、望美は自分の幼い頃を思い出す。父の機嫌を読み、母が謝る姿を見ながら育ったあの日々。そして今、自分も同じことを娘に繰り返させようとしていることに気づいてしまう。 夫と向き合おうとした望美に、大地は言い放つ。 「そっちの方こそモラハラだろ?」 届かない言葉。変わらない沈黙。けれど、4歳の娘が口にしたある一言が、望美の中で長く続いてきた連鎖を断ち切る決意へと変わっていく。夫婦|親子関係1.7萬字5 728 -
完結第15話
300万円の口止め料
義父が倒れた日、夫は私の口座に突然300万円を振り込み、「病院には絶対に来るな」と命じた。 22年間、義父の通院や介護の手続きを支えてきたのは私だった。だからこそ、夫の不自然な言葉に胸騒ぎを覚え、私は命令を破って病院へ向かう。 個室の扉の前で聞こえてきたのは、弱った義父に書類へ署名させようとする夫の声だった。 「雪には300万円を渡した。もう納得している」 その瞬間、私は悟る。あの300万円は感謝の金ではなく、私を義父から遠ざけるための口止め料だったのだ。 夫が隠していた4500万円の借金。義父の家と土地を狙う計画。そして、病室に持ち込まれた分厚い書類。 けれど夫はまだ知らなかった。 義父が数年前から、自分の意思と大切な人を守るために、ある“本物の備え”を残していたことを――。夫婦|金銭問題2.3萬字5 562 -
完結第13話
消えた託児代7万円
2001年、東京の外れにある義実家で暮らす保育士のゆいは、夫の妹・安奈から何度も娘の子守りを押しつけられていた。 「保育士でしょ?」 「家族なんだから」 「今日だけお願い」 そう言われるたび、ゆいは仕事帰りに1歳のクレアを風呂に入れ、寝かしつけ、夜泣きにも起きてきた。けれど夫も義母も、それを“当然の手伝い”としか見ていなかった。 ある朝5時半、安奈は39度の熱を出したクレアを抱えて現れる。 「娘の子守りよろしく」 仕事を理由に断ろうとするゆいへ、夫は笑って言った。 「保育士なんだから慣れてるだろ。ケチくさいこと言うなよ」 その一言で、ゆいの中で何かが切れた。 なぜ安奈は、そこまで頻繁に娘を預けていたのか。 なぜ“仕事”と言って家を空ける日が増えていたのか。 そして、クレアの父親だけが知らなかった事実とは――。 便利な保育士として扱われ続けた嫁が、初めて「無理です」と告げた日、義家族の隠された嘘が静かに崩れ始める。兄弟姉妹|夫婦1.9萬字5 847 -
完結第13話
100億の身代わり花嫁
貧しさに追い詰められた28歳の美咲は、妹の命を救うため、68歳の不動産王・大鳥幻蔵との結婚を受け入れた。 5000万円の借金は消え、妹の手術費用も用意される。そう信じて臨んだ結婚式で、美咲は親族たちから「金目当ての女」と嘲られながらも、ただ耐え続けた。 だが初夜、幻蔵は優しい夫の顔を捨て、恐ろしい真実を告げる。 美咲は妻として迎えられたのではなかった。100億円の借金と危険な会社を押しつけられる“身代わり”として選ばれたのだ。 妹を人質に取られ、逃げ道を失った美咲。夫、親族、裏社会、病院までもが敵に回る中、彼女は静かに涙を拭う。 誰も知らなかった。 彼らが「底辺の女」と笑った美咲こそ、10年間、父の死の真相を追い続けてきた人物だったことを――。夫婦|金銭問題1.9萬字5 1742 -
完結第13話
福嫁の逆転茶屋
江戸の日本橋にある茶屋「泡雪屋」の若旦那・宗介は、店の立て直しのため、評判の商人・泉屋五兵衛の娘を妻に迎えることになる。 宗介が望んでいたのは、江戸でも噂になるほど美しい姉・お花だった。美しい女将がいれば、傾きかけた店にも客が戻る。そう信じていたからだ。 しかし、五兵衛が宗介に差し出したのは、お花ではなく、ふくよかで目立たない妹・福だった。 祝言の日、客たちは陰で笑い、宗介自身も心のどこかで落胆を隠せなかった。だが、福が作る菓子と入れる茶は、少しずつ泡雪屋の空気を変えていく。 派手ではないのに忘れられない味。人の心の奥にしまわれた記憶を呼び起こす菓子。福は、宗介が見落としていた“商いで本当に大切なもの”を静かに見せていく。 やがて泡雪屋は、思いがけない形で評判を取り戻していく。 なぜ、泉屋五兵衛は美しい姉ではなく、福を宗介に嫁がせたのか。 そして若旦那が、かつて落胆した嫁に深く頭を下げることになった理由とは――。嫁姑|夫婦1.9萬字5 109 -
完結第14話
35万円の空冷蔵庫
大晦日、妻の弓が35万円かけて用意した正月料理が、冷蔵庫から一つ残らず消えていた。 持ち去ったのは、夫・健一の母と弟。松阪牛、タラバガニ、有名料亭のおせちまで奪いながら、彼らは笑ってこう言い残す。 「明日はカップ麺でも食べてなさい」 20年間、“長男の嫁”として姑に尽くし続けてきた弓。いつか本当の家族として認めてもらえると信じ、理不尽な仕打ちにも耐えてきた。 しかし、その夜、健一は知ってしまう。食材を奪っただけでは終わらない、母と弟が5年前から隠し続けていた金の秘密を。 元日の新年会。食卓に並んだのは、豪華な料理ではなく一箱のうどんだけ。 だが、襖の向こうには親戚たちが集まり、20年間隠されてきた佐藤家の本性を静かに聞いていた――。兄弟姉妹|夫婦2.1萬字5 2570 -
完結第13話
十六歳の毒薬花嫁
江戸中期、奥州郡山の大店・高野家には、余命三月と告げられた若旦那・湊がいた。 歩くこともままならず、医者からは「春までもたぬ」と見放された男。誰も嫁ぎ手など現れないと思われたその家の門を、ある冬の朝、十六歳の娘・凛が一人で叩く。 「三月なら三月、三日なら三日でも構いません」 そう言って自ら若旦那の嫁になった凛だったが、彼女には誰にも明かしていない目的があった。 苦くないはずのない薬。帳簿に増え続ける不自然な数字。井戸へ捨てられた父の形見。 病とされていた若旦那の命、罪人にされた父の名、そして大店に二十一年隠されてきた嘘。 十六歳の娘が嫁いだ本当の理由が明らかになる時、高野家の運命は大きく変わり始める。夫婦2.0萬字5 81