"十六年目の雪足跡" 第7話
正確なや所については曖昧にした。
遺体の所については、「静かなのく」「きなが見ている所」とだけ述べ、具体な名をさなかった。
黒田は供述を記録し、調への署名を求めた。
斎藤は抵抗なく署名した。
そのは、わずかに震えていた。
424、警察は斎藤匠を逮捕した。
町の々は、その名を聞いた瞬に言葉を失った。
彼は、病院の裏方として働き、子の面倒を見て、所の修繕も伝ってきた物だった。事件当も捜索に加わり、森恵に声をかけて励ましていた。
誰も疑わなかった。
だからこそ、町にった衝撃はきかった。
森恵は黒田から逮捕の連絡を受けた。
張り詰めていたものがほどけるような覚と、娘を奪った相がなだったという現実が、同に押し寄せた。
真実はようやくいた。
だが、終わったわけではなかった。
遺体の所が分からない限り、本当のでの終結は訪れない。
斎藤の取り調べは続いたが、所について具体な名も座標もなかった。黒田は供述の断片から形や利用の変遷を調べ、能性のある所を1つずつ絞り込んでいった。
捜査チームは川沿いやため池、森林へを運び、探査を使って調査を続けた。
だが季節が変わっても、成果はなかった。
田は、報で逮捕をった。
広告
16、自分に向けられていた疑いのが消えることはなかったが、この初めて、そのさからしだけ解放された。
しかし胸に広がったのは堵だけではなかった。
もしあの夜、自分がもっとくいていれば。
もし別のをしていれば。
悔は形を変えて残り続けた。
森恵もまた、現実と向きっていた。
犯が誰か分かっても、娘は戻らない。
残されたのは、答えのない問いと、静かに積みなっただけだった。
それでも、真実にたどり着いたという点だけが、わずかな救いになった。
町ではその、さな集まりがかれた。
参加者はくなかったが、々は彩佳の写真をに、いを語った。護師を目指して努力していたこと。疲れていてもに優しかったこと。域の齢者にも丁寧に声をかけていたこと。
そこにあったのは、事件の経緯よりも、彩佳がどんなで、どのようにきていたかを残したいといういだった。
やがて季節は巡り、町の景はしずつ変わっていった。
けれど、あのの来事はあせなかった。
森恵は毎、娘の命にさな束を持って川辺につ。
その所が正しいのかは分からない。
それでも恵は、面に向かって静かに語りかける。
「帰って来られなくても、あなたはずっとここにいる」
たいがを揺らす。
真実はに、をく傷つける。
それでも目をそらさず見つめ続けることが、未来を守る唯の方法なのだと、町の々は静かに学んでいった。
広告
おすすめ作品
-
完結第12話
消えた水色の妹
2001年、姉の結婚式の日に突然姿を消した24歳の看護師・小百合。 財布も携帯電話も残したまま、非常口へ向かった彼女の最後の姿だけが、防犯カメラに記録されていた。 家族は7年間、必死に彼女を捜し続けた。 そして夫となった男も、誰よりも協力的な家族として小百合を探し続けていた。 しかし、引っ越しを前に開けられたベランダの作業部屋で見つかったのは、誰も予想しなかった7年前の痕跡だった。 壁の中に隠されていた一本の携帯電話と、残されたわずかな言葉。 あの日、結婚式の裏側で何が起きていたのか。 そして、最も信頼されていた人物が隠していた真実とは――。ミステリー|行方不明1.9萬字5 685 -
完結第10話
トウモロコシ畑に消えた母
1999年、長野の静かな村で起きた不可解な事件。 朝のトウモロコシ畑で発見された農家の女性は、周囲から「親孝行な婿」に守られていたはずだった。 しかし、現場に残された小さな痕跡と、15年後に開かれた古い証拠が、誰も疑わなかった男の裏の顔を暴いていく。 家族を支える優しい婿の仮面の裏に隠されていたものとは――。 長い年月を経て、静かな村に埋もれていた真実が、ついに明らかになる。ミステリー|行方不明1.5萬字5 226 -
完結第11話
最後の定期券
30年間、毎朝駅へ向かい続けた父。 定年後、突然姿を消した彼の行き先は、30年前に消えた小さな駅だった。 娘が父の部屋で見つけた一枚の古い切符と、「必ず迎えに行く」という謎の言葉。そこから、父が誰にも話さなかった過去が少しずつ明らかになっていく。 父が30年間守り続けていた約束とは何だったのか。 そして、あの日駅から消えた少女の行方は――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 501 -
完結第11話
飛騨の農家に消えた嫁
1995年、岐阜県飛騨地方の山あいにある和牛農家へ嫁いだ27歳のゆき子。 よく働き、誰にも逆らわず、慣れない村で必死に暮らしていた彼女は、ある冬の日、牛舎へ向かったまま姿を消した。片方だけ残された長靴。消えた青いジャンパー。そして、家族が語った「自分から出て行った」という言葉。 警察は深く調べることなく、失踪は家出として処理された。 それから8年。村では何事もなかったように季節が巡り、義父の幻蔵は“誠実な畜産農家”として周囲から慕われ続けていた。 しかし、牛舎裏の堆肥の山から見つかった人骨が、止まっていた時間を動かす。 長年誰も近づけなかった壺のそば。夜ごと繰り返された寝言。真冬の洗車場で執拗に洗われた軽トラック。 誰も探さなかった若妻は、8年間どこにいたのか。 そして、家の体面を守るために義父が隠し続けたものとは――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 334 -
完結第11話
6秒の着信
2019年10月、紅葉の雪岳山を訪れた若い恋人、ジフンとアリン。 翌年に結婚を控えた2人は、記念写真を残すために山へ向かった。登山口の防犯カメラには、笑い合いながら歩く幸せそうな姿が映っていた。 しかし午後3時過ぎ、2人は分岐点でなぜか正反対の道へ進む。 そして、そのまま山の中から忽然と姿を消した。 大規模な捜索が行われても、足跡も荷物も見つからない。事故なのか、失踪なのか、それとも誰かが2人を誘い込んだのか。真相が分からないまま、3年の月日が流れていく。 やがて2022年、登山道近くの泥の中から、アリンの携帯電話が発見される。 そこに残されていたのは、最後に撮られた1枚の写真と、わずか6秒間の通話記録。 「そのまま来てください。彼も着きました」 その短すぎる声が、3年間“山で消えた”と思われていた恋人たちの、本当の行き先を暴き始める――。ミステリー|行方不明1.6萬字5 358