"壁の中の合唱団" 第8話
は次に、通話記録をしました。
「が消える直、あなたは何度も彼と通話しています。夜にもです」
渡辺の顔から、しずつ余裕が消えていきました。
最には、1枚の写真を机に置きました。
渡辺の倉庫の裏から発掘された、の遺骨の写真でした。
「浩司を、あなたの倉庫の裏で見つけました」
その瞬、渡辺の顔は真っになりました。
がわずかに震え、唇が何かを言おうとしてきましたが、声はませんでした。
は静かに言いました。
「理事。もうろしてもいいんじゃないですか。20、かったでしょう」
厳しく責めるのではなく、は老いた罪のを叩きました。
取調の計の音だけが、やけにはっきり響きました。
やがて、渡辺の肩ががくりと落ちました。
元の名士の仮面は、その瞬、剥がれました。
彼は疲れ切った老の顔になり、20以胸の奥に埋めていた真実を、ゆっくりと語り始めました。
1991の、渡辺茂は会館の建て替えのために集められた寄付にをつけていました。
貧しい民たちが1円、2円と切り詰めて集めた切なおです。渡辺はそれを、自分の事業資として横領していました。
最初は、し借りるだけのつもりだったのでしょう。すぐに穴埋めすれば誰にも分からない。そう考えたのかもしれません。
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しかし、1度をしたは簡単には戻せませんでした。
そこへ、会計担当の裕子が気づきました。
几帳面な裕子は帳簿の数字の致を突き止め、渡辺のもとへきました。そして、今すぐを戻し、財団に事実を報告するよう求めました。
渡辺は懇願しました。
「数だけ待ってくれ。必ず元に戻す」
しかし裕子は断固としていました。
「皆が汗流して集めたおです。見過ごすことはできません」
そのには、美と恵里もいました。
裕子についてきた2の妹分が、その秘密を緒に聞いてしまったのです。秘密をるが、3つに増えました。
追い詰められた渡辺は、恐ろしい考えを抱きました。
3のを、永に塞ぐこと。
その夜、会館は暗く静まり返っていました。ちょうどしいホールの事の最で、掘りかけの空洞がに残されていました。
渡辺は型枠の浩司を引き込みました。
を握らせ、自分を伝わせたのです。貧しかったは、その誘惑を断ち切れませんでした。
2は3の女性を殺害し、遺体をの空洞に隠しました。そして、そのからコンクリートの壁をて、痕跡を完全に閉じ込めました。
図面にもない、誰もらない壁でした。
夜がけると、会館では何もなかったかのように事が続きました。やがてしいホールが完成し、そので々はをいました。
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3が閉じ込められた壁ので。
やがて唱団の空席は、別の々で埋まっていきました。3を探す声も、とともにさくなっていきました。
渡辺はその、元の名士として世しました。
横領した寄付をきっかけに事業をきくし、財団では鎮として尊敬を集めました。民は彼を「会館を育てた功労者」と呼びました。
しかし、そのの台には、3の女性のが敷き詰められていたのです。
そして、浩司のが、渡辺を苦しめ続けました。
は秘密を握り、い、を受け取り続けました。最初は止め料だったものが、次第に脅迫へ変わりました。
「俺がをけば、おは終わる」
はそう言って、渡辺からを引きしていたのでしょう。
2008、はさらにきな額を求しました。渡辺にとって、それはもう耐えられないものでした。
そして彼は、までも消しりました。
秘密をる最のを、永に塞ごうとしたのです。
渡辺の自によって、すべての構図がらかになりました。
1991、寄付の横領に気づいた裕子、美、恵里を殺害し、に隠したこと。
その作業をに伝わせたこと。
、止め料を支払っていたこと。
そして2008、脅迫に耐えかね、を殺害して自分の倉庫の裏に埋めたこと。
しかし、3の女性を殺害した罪は、効により裁くことができませんでした。
族たちにとって、それはあまりにも残酷な事実でした。
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