みかん小説
本棚

"壁の中の合唱団" 第9話

けれど、浩司を殺害した罪は違いました。

2008の事件は、まだ法の届く所にありました。

渡辺茂は、浩司殺害の罪で逮捕、起訴されることになりました。

罪を隠すための罪が、最に彼自を破滅させたのです。

裁判がかれた、法廷にはくのが集まりました。

裕子、田、佐藤恵里の族。浩司の族。かつて唱団に所属していた々。文化会館を信じ、支えてきた民たち。

渡辺茂は被告席に座っていました。

かつて財団の理事として々の尊敬を集めた男の姿は、もうどこにもありませんでした。首をく垂れ、両を膝ので握りしめた、ただの老いた男でした。

裁判で、彼はい刑罰を受けました。残りのを、刑務所のたい壁ので送ることになったのです。

判決がされた瞬、傍聴席からはすすり泣く声が漏れました。

3の女性を殺害した罪は、効のため問うことができませんでした。それは族たちにとって、どうしても受け入れがたい無でした。

けれど、彼が犯したもう1つの殺が、ついに彼を断罪しました。

罪を覆い隠そうとした罪が、彼自を裁きのへ引きずりしたのです。

そのらせは、川崎の町にきな衝撃を与えました。

、尊敬されていた理事の素顔が暴かれたからです。

広告

彼が会館をきくしたと信じていた々は、真実をに言葉を失いました。

奇跡と呼ばれた会館の成の裏には、横領された寄付と、3の女性のがありました。

民たちが信じていた物語は、音をてて崩れました。

しいホールを建てる計画もしばらく止まりました。々は古い建物が取り壊された空きを、まともに見ることができませんでした。そのに、3が20も閉じ込められていたことを、誰もがってしまったからです。

やがて、3の葬儀が執りわれました。

20ぶりに初めて、族がから見送ることのできる葬儀でした。それまでは遺体もなく、墓もなく、法事すらきちんとうことができませんでした。

裕子の2の子どもが、母親の遺を持ちました。

幼い頃、母親を探して泣いていた子どもたちは、いつのにか派なになっていました。母の温もりを覚えているようで、覚えていない。その空の20を抱えたまま、2は静かに祭壇を見つめていました。

老いた両親と弟が、そのに続きました。弟は姉の遺を抱きしめ、声を殺して泣きました。

「姉ちゃん、やっと帰ってきたんだな」

恵里の髪の母親は、娘の棺ので崩れるように座り込みました。

20、1も欠かさず娘の帰りを待ち続けてきた母親でした。

広告

震えるで棺を撫でながら、母親は何度も呟きました。

「やっと見送れるね。よく頑張ったね、私の娘」

その声に、見守る々の目くなりました。

3は、当たりの良い所に並んで埋葬されました。

たいコンクリートの壁のではなく、温かい差しのでした。いつも緒だった3は、旅でも並んで緒でした。

も葬儀のっていました。

若い刑事だった彼は、いつのにか髪にいものが混じる齢になっていました。その、彼はただの1度も3を忘れたことはありませんでした。

は3の墓のち、げました。

「遅くなって、すみません。それでも最には見つけしました」

い声でそう告げました。

お盆や正が来るたび、娘の写真を持って警察署を訪ねてきた母親の顔が浮かびました。何も答えられず、ただげることしかできなかったが、胸の奥を通り過ぎていきました。

が吹き、3の墓のを優しく撫でていきました。

まるで、い眠りから目覚めた3が、ようやくらかに休めるようになったと答えているかのようでした。

20というい歳でした。

いコンクリートのに閉じ込められていた真実は、ついにへ歩みました。

裕子。

佐藤恵里。

たい類のに埋もれていた3の名は、再び々のにのぼるようになりました。

そして々は記憶に刻みました。

どれほどい壁を作っても、どれほどねても、真実だけは永に閉じ込めておくことはできないのだと。

3い暗を抜け、ようやくへ帰ってきたのです。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: