"弁当箱の中の復讐" 第10話
私はテニスサークルに通い、お菓子作りを習い、たまに久から送られてくる猫のゆりえの写真を見て笑う。
写真ののベンガルは、気のそうな目でカメラを睨んでいる。久の腕には、またしい引っかき傷が増えていた。
「また噛まれたの?」
私が話で聞くと、久は笑う。
「噛まれてもいんだよ」
「あなた、本当に丈夫?」
「丈夫。俺、今けっこう幸せだから」
その言葉を聞くたび、私はする。
ゆりえという名を持つ猫が、久の活にしいを与えているのなら、それもまた悪くない。
仏壇には、夫と娘の写真が並んでいる。
私は毎朝、そこにをわせる。
「今もってくるわね」
そう声をかけてから、テニスラケットを持ってへることもある。お菓子作りのには、エプロンをバッグに入れてかけることもある。
若い頃のようにはできないことも、まあまあある。
は以より疲れやすいし、階段ではすりが必だ。鏡を見れば、しわも増えた。けれど、それはそれだ。
できることを、目いっぱい楽しむ。
誰もが羨むでなくてもいい。
自分なりに、「楽しかった」とえるを増やしていければ、それでいい。
娘を介護していた々は、私にとって苦労だけではなかった。
確かに苦しかった。眠れない夜もあった。泣きたくなる朝もあった。
けれど、ゆりえのさな反応にび、夫と交代で娘を見守り、久が妹を事にしてくれる姿に救われた々でもあった。
だから私は、そのすべてを否定しない。
美の言葉で、ゆりえのまで汚されることはない。
ゆりえは確かにきた。
懸命にきた。
私たち族ので、ちゃんと切にされていた。
それだけは、誰にも否定させない。
朝のステーキをべ終え、私は皿を片付けた。窓のでは、所の子どもたちの声が聞こえる。どこかで犬が鳴き、がカーテンを揺らした。
私はゆっくり呼吸した。
「さて、今も楽しみましょうか」
第のは、静かに、けれど確かに始まっていた。
に切なのは、チャレンジ精神。
誰もが羨むでなくてもいい。
自分なりの「楽しかった」を得られるように、私はこれからもこのを楽しんでいくつもりだ。
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