みかん小説
本棚

"食卓追放の1億3000万" 第8話

自分の経験が、誰かの力になっている。

それはおでは買えないびでした。

夕方、義姉が様子を見に来ました。

子ちゃん、本当にきしているわね」

私は笑いました。

「ありがとう。やっと自分の居所を見つけた気がするわ」

その徒の1が慌てて戻ってきました。

「先聞の取材が来ていますよ」

「え?」

「元流ホテル料理が故郷でく本格料理教って、特集を組みたいそうです」

な展に驚きました。

けれど、これも私の第2のくのってもらえる会です。

私はエプロンをえ、背筋を伸ばしました。

かつて族に卓からされた私が、今では料理を通じてをつないでいる。

は、どこで終わるか分からない。

けれど、自分で歩きせば、必ずしいけるのだとじました。

その夜、私はひとりで卓に向かいました。

けれど、もう寂しくはありませんでした。

テーブルには、翌の授業で試作した料理が並んでいました。丁寧に焼いた魚のポワレ、季節野菜のスープ、軽いサラダ。誰かに評価されるためではなく、自分のために作った事です。

事を終え、のレシピを確認していると、携帯話にらない番号から着信がありました。

私はませんでした。

しばらくして、留守番話にメッセージが残りました。

広告

すると、真美さんの声でした。

「お母さん、真美です」

声は震えていました。

「実は、匠と別れることになりました。あの放すことになって……本当にすみませんでした。お母さんの言う通りでした」

私は黙って聞きました。

真美さんの声には涙が混じっていました。

けれど、私のきませんでした。

今さら謝られても、失ったと尊厳は戻りません。

私はメッセージを削除しました。

そして、の授業準備に戻りました。

しいレシピを考えるは、本当に楽しいものでした。誰かに否定されることなく、自分の技術をかせる。自分の判断で料理を組みてられる。

包丁を研ぎながら、私はふといました。

息子ので受けた屈辱は、私に決断する勇気を与えてくれたのかもしれない。

あのままし続けていたら、本当に施設に入れられ、財産も取られていたかもしれません。

尽には、必ずち向かうべきです。

私は包丁の刃先を布で拭き、静かにつぶやきました。

「もう、誰にも私のを奪わせない」

週末、料理教の発表会を催しました。

徒たちが学んだ料理を族や友に振るうイベントです。会には、笑い声と料理のりが満ちていました。

「佐々のおかげで、夫が料理を褒めてくれるようになりました」

「孫が、おばあちゃんの料理はレストランみたいって言ってくれたんです」

広告

「定の趣が見つかって、が楽しくなりました」

皆の笑顔を見ていると、胸がいっぱいになりました。

私は確かに、誰かの役にっている。

お荷物なんかではない。

発表会の最徒たちからサプライズがありました。

「先への謝を込めて、私たちからです」

渡されたのは、束と寄せきでした。

「最の先

の師匠です」

「先会えて、料理が好きになりました」

たくさんの温かい言葉に、涙が止まりませんでした。

族に捨てられた私を、こんなに必としてくれるたちがいる。

血のつながりがなくても、でつながる本当の族のような

それが、今の私の宝でした。

夜、ひとりになってから、私は束を卓に飾りました。

には、まだ発表会の余韻が残っていました。徒たちの笑顔、拍、料理のり、寄せきの文字。どれも私にとって、かけがえのないものになっていました。

67歳でをやり直すには、確かに勇気が必でした。

族かられること。

み慣れた所をること。

自分の財産を守ること。

そして、自分のを取り戻すこと。

どれも簡単なことではありませんでした。

けれど、齢は関係ありません。

自分を切にし、尊厳を守る権利は、誰にでもあります。

族だからといって、理尽な扱いをする必はありません。

血がつながっているからといって、をお荷物と呼んでいい理由にはならないのです。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: