"祝儀袋と消えた花嫁" 第5話
「あら、ちょっと歩いたら迷子になっちゃって。恥ずかしいわ」
「控えにご案内しますよ」
「あら、ありがとう。なんだか私、最ボケちゃったみたいで」
私はわず笑った。
「まさか。まだそんなじゃないでしょう」
「あら、来70歳よ」
伯母はそう言いながら、スマートフォンを私に差しした。
「これ、見てちょうだい」
画面を覗き込んだ瞬、私は言葉を失った。
そこには、先ほど嫁に責められている私の姿が映っていた。ち尽くす私、迷惑そうな顔をしたあかりちゃん、真っ青になったプランナー。すべてがはっきり映っていた。
「ごめんなさいね、京子ちゃん。あのね、ちゃんと見られちゃったみたい」
伯母は静かに言った。
私は何も言えず、画面のの自分を見つめた。
なんともけない顔をしていた。
「京子ちゃん」
伯母は私の目をまっすぐ見た。
「自分を信じて。今まで守ってきた事な弟を、このままにしていいの?」
その言葉に、胸の奥が震えた。
そうだ。
弟のために。
そして、もちろん自分のためにも。
私はきちんと話をしなければならない。
切な弟が選んだ女性だもの。いきなり切り捨てるのではなく、まずは誠を持って正面から向きうべきだ。
分かりう努力は、最までしなければならない。
私はさく息を吐き、背筋を伸ばした。
「ありがとう、おばちゃん」
伯母はとぼけたようににを当てた。
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「あら、何か言った? 最もくてね」
私はわず苦笑した。
その、また鋭い声がんできた。
「ちょっと」
あかりちゃんが再びこちらへ向かってきた。ろには先ほどのプランナーがついてきているが、もう諦めたようにい目をしていた。
「ねえ、あんた、さっきの話聞いてた? さっさと帰れって言ってんの」
私は歩にた。
「あかりちゃん」
「は?」
「私、郎の姉です」
あかりちゃんの眉がわずかにいた。
「へえ」
私はくをげた。
「先ほどは失礼しました。お話できずに今になってしまったので、きちんとご挨拶をとっていました。まさか帰れと言われるとはいませんでしたが」
「あんたが、お姉ちゃん」
あかりちゃんは私の顔をからまで見た。
そして、元を歪めた。
「あたし、郎の嫁です。もうあんたの番はないのよ」
像していなかった態度に、私は驚いた。
「どういうことですか?」
「でしゃばるなって言ってんのよ」
あかりちゃんは腕を組み、当然のように言った。
「優也はこれから私の実の跡取りになるの」
私は眉をひそめた。
「そんなことは聞いていません」
「言えないでしょうね。貧乏で困ってるものね。うちで働かせてあげるのよ。よかったらお姉様も緒に就職されます?」
あまりにも理解できない話だった。
優也がよそ様の跡取りになる。
そんな切な話を、弟が私に黙っているはずがない。
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それに、貧乏で困っているとはどういうことだろう。確かに両親がいなくなって変だった。けれど銭な援助は、伯母をはじめ、くの親族から申し訳ないほどいただいていた。
優也も私も働いている。
借に困っているわけでもない。
「何か勘違いしていませんか?」
私が言うと、あかりちゃんは苛ったようにを鳴らした。
「いいから帰りなさいよ。もうあんたは関係ないのよ」
「そんな無責任なことはできません」
「うるさいのよ、帰れ」
その声がロビーに響いた、スタッフに連れられて優也が現れた。
「体なんの騒ぎ? どうしたの?」
優也は私とあかりちゃん、そして青ざめたプランナーの顔を順に見た。すぐに何かを察したのだろう。表が固くなった。
「あかり、何をしたんだ?」
「何よ。私に向かってその態度」
「俺だってるはるよ。きちんと説しろ」
あかりちゃんは唇を尖らせた。
「何よ。結婚式の費用だってしてないのに偉そうに。あんたん、おないんでしょう? うちの跡取りになって借返すんでしょう?」
優也は本気で困惑した顔をした。
「あかり、何の話をしてるんだ?」
そこで、私より先に伯母がをいた。
「あらねえ、あかりちゃん」
あかりちゃんは伯母を見て、そうに眉を寄せた。
「誰、この寄り?」
「あら、先あなたのお父さんとお母さんにお会いした、結婚式費用はおばちゃんが全部すってお伝えしてありますよ」
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