"祝儀袋と消えた花嫁" 第8話
それらの映像は、式側に証拠として渡された。
結果、あかりちゃん側には式のキャンセル料とは別に、備品や備え付け品の弁償も請求されたらしい。
スタッフからは伯母に謝の言葉が届いた。
「証拠があって本当に助かりました」
伯母は話で、いつもの調子で笑った。
「あら、偶然ですのよ。私、ボケてるから」
絶対にわざとだ。
私はそうった。
そのの私たちは、式からた、親族や優也の友たちと緒にくのへ向かった。
本来なら披宴で事をするはずだった。
けれど、誰も文句を言わなかった。
むしろ、みんな優也の肩を叩き、励ましてくれた。
「式のに分かってよかった」
「優也、おは悪くない」
「京子姉ちゃんも変だったな」
優也は最初、ずっと黙っていた。
の奥の席で、ネクタイをし緩め、目を伏せたままの入ったグラスを見つめていた。
私は隣に座り、そっと声をかけた。
「優也」
「ごめん、姉ちゃん」
「何を謝るの」
「俺、見る目がなかった」
その言葉は、弟にとってかっただろう。
私は優也の横顔を見つめた。
「を見る目って、違えることもあるよ。私だって、最初からちゃんと分かっていたわけじゃない」
「でも、姉ちゃんにあんなこと言わせて」
「言わせたのはあかりちゃんよ。あなたじゃない」
優也はしばらく黙っていた。
それから、さく息を吐いた。
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「俺、けないな」
「けなくないよ。最にちゃんと止まれたじゃない」
私はそう言った。
のでは、優也がどれほど傷ついているか分かっていた。結婚式のに破談になるなど、簡単に受け止められることではない。
けれど、あのまま結婚してしまっていたら、もっとく傷ついていたかもしれない。
伯母も静かに優也のへ座った。
「優也君」
「おばちゃん……今は本当にすみません」
「謝るのはあなたじゃないわ」
伯母はやさしく微笑んだ。
「でもね、結婚は相だけじゃなく、そのの言葉遣いや、への接し方まで緒に背負うことなの。今それが分かったなら、分よ」
優也はゆっくり頷いた。
その目には、悔しさと堵が混ざっていた。
事が始まると、しずつ空気はらいでいった。
優也の友たちはいつものようにるく話し、親族たちは昔話を始めた。誰かが「京子ちゃん、今のドレス素敵よ」と言ってくれて、私はし照れた。
その言葉を聞いた優也が、ようやくさく笑った。
「だろ。俺が選んだんだ」
「選んだわけじゃないでしょう。似うって言っただけ」
「同じだよ」
その笑顔を見て、私はしだけした。
結婚式はなくなった。
けれど、弟は1ではなかった。
私たちには、これだけたくさんの方がいたのだ。
その、あかりちゃん側から直接私たちへ連絡が来ることはなかった。
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優也の言葉通り、連絡はすべてあちらの両親を通すことになった。あかりちゃんの両親は、何度もをげて謝罪してきたという。
「娘が本当に申し訳ないことをしました」
「式への支払いはこちらで責任を持ちます」
の良さそうな夫婦だっただけに、私はし複雑な気持ちになった。
ただ、伯母が言った通り、困っているのはこちらでもあった。
結婚式を止にしたの続きは簡単ではなかった。招待客への謝罪、引き物の扱い、式との確認、関係各所への連絡。優也はしばらくの、休もそれに追われた。
私は横で伝いながら、あらためてった。
結婚式とは、ただ幸せなではない。
そこにはくののとおと気持ちが関わっている。だからこそ、相を軽く扱うと緒にめてはいけないのだ。
優也はしばらく落ち込んでいた。
仕事から帰ってきても、以のようにすぐ笑わないが続いた。夕の席で黙っていることもくなった。
私は無理に励まさなかった。
ただ、いつものように事を用し、話したければ聞き、黙りたければそばにいた。
母親代わりとして過ごしてきたがすぎて、こういう、つい何かをしてあげたくなる。
けれど優也はもうだ。
自分のでち直るも必なのだと、私は自分に言い聞かせた。
ある夜、優也は噌汁をみながらぽつりと言った。
「俺、結婚するなら裏表のないがいいな」
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