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"祝儀袋と消えた花嫁" 第9話

私は箸を止めた。

「そうね」

「見た目とか条件とかよりさ、と裏で態度が変わらないがいい」

「それは事だね」

「あと、姉ちゃんを事にしてくれる

私はわず笑った。

「そこまで条件に入れなくていいわよ」

「入れるよ。俺の族なんだから」

その言葉に、胸がくなった。

優也はち直り始めていた。

もともとるくて向きな子だ。今回のことでく傷ついたけれど、きっとくを学んだのだろう。

私は、しばらくはまた母親代わりとして見守ってあげようとった。

方で、私自活にもわぬ変化が起きた。

あの以来、なぜか優也の友たちから事やドライブの誘いが絶えなくなったのだ。

「京子姉ちゃん、今度みんなでご飯かない?」

「ドライブきません? 気らしに」

最初は慰めのつもりだとっていた。

けれどには、らかに私を女性として見ているようなもいて、私はどう反応していいか分からなかった。

伯母からも連絡が来た。

「京子ちゃん、気らしにコンしない?」

「おばちゃん、コンって」

「あら、何事も経験よ。まだまだこれからなんだから」

私はで笑った。

もしかして、弟より私の方が先に結婚してしまうかもしれない。

そんな冗談を言えるくらいには、私のにも余裕が戻っていた。

ひとつだけ確かに言えることがある。

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伯母は、絶対にボケていない。

画を撮ったのも、送ったのも、タイミングを見計らって親族と友を呼んだのも、すべて計算していたのだとう。

けれど私は、それを問い詰めるつもりはなかった。

「ありがとう、おばちゃん。おばちゃんがいてくれてよかった」

そう言うと、伯母はいつものようにとぼけた。

「あら、何のこと? 私、最物忘れがひどくてね」

「はいはい」

私たちは笑った。

そしては流れていった。

あれから2が過ぎた。

お正の朝、私は実の台所でお雑煮の支度をしていた。鍋から湯気ががり、鰹だしのりが部いっぱいに広がっている。

優也はあれ以来、1暮らしを始めていた。

もう私と2暮らしではない。

し寂しさはあったが、それでいいのだとった。弟は弟のを歩いている。私はそれを見守るになった。

玄関のチャイムが鳴った。

「来たかな」

私はを拭き、玄関へ向かった。

ドアをけると、そこに優也がっていた。以よりびた顔をしている。そのろに、はにかんだ笑顔を見せるらしい女性がいた。

「姉ちゃん、けましておめでとう」

「おめでとう。そちらの方は?」

優也はし照れたように笑った。

「紹介したいがいるんだ」

女性は丁寧にげた。

「初めまして。いつも優也さんからお話を聞いています」

その声は穏やかで、まっすぐだった。

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私は自然と笑顔になった。

玄関先でのほんのいやり取りだけで、すべてが分かるわけではない。けれど、彼女は私を見る目をそらさなかった。優也の隣で、背伸びすることもなく、卑屈になることもなく、きちんと自分の言葉で挨拶をしてくれた。

「寒かったでしょう。に入って」

私が声をかけると、彼女はほっとしたように微笑んだ。

「ありがとうございます」

優也が靴を脱ぎながら、さな声で言った。

「姉ちゃん」

「何?」

「今度は、ちゃんと紹介したかったんだ」

私はその言だけで、胸がいっぱいになった。

あの、式で破談になったことは、優也にとってきな傷だった。

けれど同に、切な学びにもなったのだろう。

族に紹介すること。

ってもらうこと。

祝ってくれるたちを切にすること。

それらを、優也はちゃんと分かってくれたのだ。

リビングには伯母も来ていた。

優也のろにいる彼女を見つけると、伯母は目を細めた。

「あら、らしいお嬢さんね」

彼女は緊張した様子でげた。

「初めまして」

伯母はにこにこと笑った。

丈夫よ。怖くないから。ちょっとボケてるだけで」

私はすかさず言った。

「おばちゃんはボケてません」

優也も笑った。

そのに、やわらかな空気が流れた。

台所からお雑煮のりが漂い、窓のではの陽射しが静かに庭を照らしていた。

私は彼女の笑顔を見ながらった。

この子なら、きっと丈夫。

もちろん、をかけてっていくものだ。

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