"祝儀袋と消えた花嫁" 第10話
たった度の挨拶ですべてを決めることはできない。
けれど、なくとも彼女は、を見す目をしていなかった。
優也の横で、同じさにとうとしているに見えた。
今度こそ、幸せになってほしい。
姉として。
母親代わりとして。
そして、ひとりの族として。
私はからそう願った。
振り返れば、私のはずっと優也とともにあった。
両親をくしたから、私は弟を守ることだけを考えてきてきた。には疲れたし、泣きたくなる夜もあった。けれど、優也が笑ってくれるたびに、私は自分の選んだを悔しなかった。
あの、式で嫁に追いされそうになった、私は瞬、自分のを見失った。
けれど伯母が言ってくれた。
自分を信じて。
今まで守ってきた事な弟を、このままにしていいのか。
あの言葉があったから、私は逃げずに向きえた。
そして今、優也はしいを連れて、きちんと私のにっている。
「京子姉ちゃん、お雑煮まだ?」
優也が昔と変わらない調子で声をかけてきた。
「今できるわよ。伝いなさい」
「はいはい」
「はいは1回」
「はい」
彼女がそのやり取りを見て、さく笑った。
その笑顔を見て、私はした。
族は、ただ血がつながっているだけでは成りたない。
いやりと、礼儀と、相を切にしようとする気持ちがあって、初めて続いていくものなのだ。
あの、私を「ブスなババア」と追いそうとした嫁は、もう私たちのにはいない。
代わりに残ったのは、支えてくれる親族と、成した弟と、相変わらずボケたふりのうまい伯母。
そして、これから始まるかもしれないしい族の気配だった。
私はお椀にお雑煮をよそいながら、静かに微笑んだ。
「今は、いいになりそうね」
伯母がすかさず言った。
「あら、もそう言った気がするわ。私、ボケてるから覚えてないけど」
「だから、ボケてないでしょう」
みんなが笑った。
その笑い声ので、私は胸の奥にあたたかいものが広がるのをじていた。
守ってきたものは、ちゃんと未来につながっている。
そうえたお正だった。
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