"追放嫁と姑の鍵" 第7話
芳さんは、リナを睨みつけていました。
はきません。
しかしその差しが、私の目に止まりました。
脳卒の遺症でぼんやりとして焦点のわない目ではありません。相を見透かすような、鋭い目でした。
私だけが、その違に気づきました。
廊でを止め、部のを覗き込んでいた私と、芳さんの線がいました。
芳さんはすぐに線をそらしました。
リナは返事を待っていましたが、やがて1で部をていきました。
夜が更けました。
子どもたちが眠った、私は部で婚届を広げました。に印刷された文字が、蛍灯のので鮮に見えます。
8んだでした。
しかし、すでにこのに私の居所はありません。
がらんとしたベランダ。
空っぽになった壁。
それらが、類よりも先に、私をこのから追いそうとしていました。
私は類を畳むと、ちがりました。
廊を歩き、子ども部のにちます。ドアがしだけいていました。
を覗き込むと、と優太が並んで眠っていました。
優太の頬には枕の跡がついています。は寝返りを打って布団を蹴ばしていました。
私はに入って、布団をかけ直してあげたかった。
けれどドアの枠をつかんだまま、入れませんでした。
この子たちを置いて、私がていかなきゃいけないの。
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私はしばらくっていました。
片には婚届が握られ、ドアの内側には眠る子どもたちがいます。
そのの距が、暗ので果てしなくじられました。
結局、私はそのからけませんでした。
翌朝、私は卓に座り、婚届を広げました。
判子を取りします。
健が向かいに座っていました。私を見てはいません。俯いたまま、卓のだけを見ていました。
私は判子をのに押しました。
さな音が響きます。
本当にさな音でした。
けれど私には、8というが判子1つで断ち切られる音に聞こえました。
判を押した指が震えています。
健が類を持っていきました。
2のに言葉はありませんでした。
私はちがり、部へ戻りました。スーツケースを取りし、ベッドのに置きます。
を詰めました。
洗面具を入れました。
8んだのに、スーツケース1つが埋まりません。このには、もともと私の名がついたものがなかったのだと、荷造りをして初めて気づきました。
引きしを理していると、指先にが触れました。
奥くに入っていたさなスケッチでした。
取りしてみると、優太が私に直接渡してくれた絵でした。リビングの壁に飾っていた額縁の絵ではありません。
ある、優太が私だけにそっと差しし、「これはママだけが持ってて」
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と言った絵でした。
鉛で描かれた女性が、を持っています。
がたがたの線。
きさのっていない目。
でも角はがっていました。
私はその絵をしばらく見つめました。
涙で濡れてはいけないとい、急いでスーツケースのにそっと入れます。のに挟み、しわにならないようにしました。
スーツケースのジッパーを閉め、部をようとした瞬でした。
ドアがきました。
芳さんがっていました。
そして、古びた鍵を差ししたのです。
私はスーツケースを持ってをました。
玄関で靴を履く、リビングからリナの荒い声が聞こえました。健と何か話しているようでした。
私は振り返りませんでした。
玄関のドアをけ、へます。
空気はたく、朝のにはまだがありません。スーツケースの輪が面を転がる音だけが、静かに響いていました。
の突き当たりで、私はを止めました。
度だけ振り返りたかった。
8んだだから。
子どもたちが眠っているだから。
けれど私は振り返りませんでした。
鍵を握ったに力を込めます。
のひらので、古びた鍵がしずつ体温を帯びていきました。
私がたどり着いたのは、友の紀の居酒でした。
神戸の商の裏。板の文字が半分あせた、さな鮮居酒です。
私がドアを押して入ると、紀が厨からてきました。私の顔を見ると、何も聞きませんでした。
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