"20年目の神隠し夫婦" 第12話
へとき換えられた。
還から数が経ち、2の活はしずつ平穏を取り戻していった。
くのテレビ局や版社から、インタビューや記の版依頼がい込んだ。だが俊介としおりは、それらをすべて丁寧に断った。
過の凄惨な苦痛を世に消費されるよりも、今はただ静かにきていくことを望んだのだ。
それでも、彼らは自分たちの経験を社会へ還元することからは逃げなかった。
しおりは、かつて結と母親が通っていた方者族の会に参加し、自の体験を語り始めた。
先の見えないい待。
社会から孤する。
それにどう向きうべきか。
同じ境遇の々に寄り添い、理なサポートをうボランティアに力を注いだ。
俊介もまた、かつての会社員としての経験と、異国での過酷なサバイバル活をもとに、元の若者たちへ向けた相談や、NPO法を通じた国際な犯罪防止の啓発活に取り組むようになった。
しおりは元の図館で、子どもたちに文章のき方を教えるさな教もいた。
2の帰還は、単なる奇跡ではなかった。
諦めずに待ち続けた族の執と、周囲の々の支えがもたらした、いい結末だった。
そしてその事実は、2がこれからのをき抜くための、最もい原力となった。
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奄美島の辺には、今も古い製のベンチが1つ置かれている。
その横には、「俊介・伊藤しおり失踪現」と記されたさな属のプレートがはめ込まれていた。
かつては劇の象徴だったその所は、今では還と希望の象徴へと変わっている。
観客のくは気にも留めずに通り過ぎていく。
けれど折、そのベンチにしい1輪のが供えられていることを、族だけはっていた。
俊介の母親は、毎朝仏壇に向かう習慣を今も続けている。
しかし、以のように涙を流して息子の名を叫ぶことはなくなった。
「今も元気でやっている?」
その言葉は、きへの祈りではなく、きている息子への温かい挨拶に変わった。
しおりの姉・結は、数かに1度、2と緒にあの辺を訪れるようになった。
20というい歳が残した傷跡は、そう簡単には消えない。
けれど今は、互いの顔を見つめい、から笑いうことができる。
警察署の暗い倉庫の片隅には、当の捜査資料や証拠品が今も保管されている。
あせた茶い鞄。
古い写真。
分い現報告。
それらはすっかり埃をかぶっているが、事件ファイルの表には、はっきりとした赤い文字でこう刻まれている。
「確認」
捜査は終わった。
けれど彼らの記録は、今も同じような事件を防ぐための貴な資料としてき続ける。
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ある族の集まりで、しおりは静かにこう語った。
「するが突然いなくなるということは、残された者に解けない問いを突きつけるようなものです。でも、その問いが永に答えをしてくれなかったとしても、決して諦めないが、私たちをきる困難から救ってくれます」
俊介も、その言葉にく頷いた。
「私たちが暗ので迷わずに帰ってこられたのは、誰かが私たちを忘れず、探し続けてくれたからです。その記憶があったからこそ、を見失わずに済みました」
奄美島の波は、20と変わらない音をてて、今も岸に打ち寄せている。
景は何も変わらない。
しかし、そこを見つめる々のは、確かに変わっていた。
喪失と回復。
待つことの苦しみと、再会のび。
それらが1つになったみは決して軽いものではない。
けれどそれは、彼らがきているという、何よりの証だった。
には、真実をらないことの方が、ることよりもきな苦痛を伴うことがある。
しかし、するを最まで信じ、記憶し続ける。
そのが作りす奇跡が、確かにするということを、この来事は静かに教えてくれた。
現、俊介としおりの名は、警察の未解決事件リストから完全に消え、還者たちの記録のにしっかりと刻まれている。
そして2の物語は、こう結ばれる。
するを忘れないこそが、どんない暗のでも、帰りを照らす唯の灯台になるのだと。
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