"霧葬の山岳会" 第13話
その事実に堵する方、16も待たせてしまったことへの悔しさが消えることはなかった。
井の裁判は、がけた、野方裁判所で始まった。井は起訴された内容をすべて認め、弁護を通じてへ謝罪を繰り返した。
検察は、真美が拒絶したにピッケルで部を打ち、に遺体を岩の隙へ隠した経緯を説した。さらにザックの部と赤いキャップを使い、滑落事故に見せかけた為を指摘した。
弁護側は、当初から命を奪う図はなく、がぶったで起きた突発な来事だったと主張した。方で、そのの隠蔽が遺族へ与えた苦痛については争わなかった。
20154、判決のを迎えた。子は里恵と並んで傍聴席へ座り、娘のをく握っていた。
杖をついて法廷へ入った子は、被告席にいる井を度も避けずに見つめた。16、娘を捜し続けた母親の線を受け、井は何度も俯いた。
裁判は傷害致と体遺棄の罪により、井へ懲役7の実刑判決を言い渡した。法廷にはい沈黙が広がった。
判決の言い渡しが終わると、井は錠をかけられた両をに置き、傍聴席へ向き直った。そして子と里恵へ、くをげた。
度だけではなかった。係官に促されるまで、何度もをげ続けた。
子はその姿をじっと見つめていた。
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やがて、ほんのわずかに頷いたように見えた。
それは許しではなかった。16、終わらせることのできなかったに、ようやく区切りをつけるためのさなきだった。
里恵は母の肩を抱いた。子は声をげず、法廷をるまで静かに涙を流し続けた。
201510、黒岩岳の登へ続く広の片隅に、さな御の慰霊碑が建てられた。碑には、真美の名と命が刻まれた。
費用には、解散した青嶺岳会の残が使われた。役所代の同僚や、事件をった全国の登者からも、しずつ寄付が寄せられた。
除幕の、慰霊碑のには数え切れないほどのが供えられた。子は里恵とその夫に両側から支えられながら、ゆっくりへんだ。
両には、満の犀の枝を持っていた。真美が学の頃に持ち帰り、の庭できく育った、あのの枝だった。
子は慰霊碑のへしゃがみ、震えるで犀を置いた。甘いりがたいに乗り、の方へ流れていった。
「やっと、おに帰れるね」
誰にも聞こえないほどさな声だった。だが隣にいた里恵には、はっきり届いた。
真美の遺骨はその、良内のさな霊園にあるの墓へ納められた。16帰りを待ち続けた父・元蔵の隣に、28歳のままの真美が眠ることになった。
納骨の、子は墓へをかけ、真美が好きだったたい麦茶をさな器に注いだ。
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「お父さん、真美が帰ってきたよ」
が吹き、墓に置かれた犀のが数輪、静かに面へ落ちた。
夕方、へ戻った子は、いつものように仏壇の扉をいた。だがその、真美の写真のに麦茶を置くは、これまでとはし違っていた。
「今はお墓でんだから、こっちはしだけにしておくね」
子は写真へ微笑みかけ、空になった子へ座った。ではきな犀が、いつものと同じ甘いりを放っていた。
笠原は事件の捜査を終えた、子から届いた15通のをしい箱へ移した。処分することはできず、事件記録と共に切に保管することにした。
最も古いの最には、こう記されていた。
「娘がどこかで待っているような気がしてなりません。どうか忘れないでください」
笠原はその文字を指先でなぞり、静かに目を閉じた。16、捜索隊の員だった自分には何もできなかった。
だが1の母親が諦めずに送り続けたは、事件を完全に過へ沈ませなかった。誰にも読まれなくなったも、茶い封筒は毎増え続けた。
黒岩岳ののに消えた28歳の女性は、いの果てに、自分の名と本当の物語を取り戻した。事故として処理され、町の記憶から消えかけていたは、ようやく真実の姿で語られるようになった。
いは、16かけてれた。
そのを誰よりもく信じて待ち続けたのは、警察でも、の仲でもなかった。毎1012になると机へ向かい、震えるでたった1通のをき続けた、1の母親だった。
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