みかん小説
本棚

"残り物少年の奇跡" 第3話

「またそれを言うのか。どういうだ」

「いつも誰かが見守ってくれているということです。たとえ目に見えなくても」

「神様の話か」

翔太はさく首を振り、柔らかく笑った。

の話です。は僕たちを見捨てません。見つけるのが難しくなることはありますけど、なくなることはありません」

料理が運ばれてくると、翔太の目がわずかに輝いた。空腹なのはらかだったが、慌ててへ詰め込むことはせず、ずつわうようにべた。

やがて孝志は、翔太が自分のチキンを半分ほどナプキンのへ取り分けていることに気づいた。

「腹が減っているんじゃないのか」

「減っています。でも、シェルターのくにさい子供を2連れた女のがいるんです。今朝、子供たちが空腹で泣いていました」

翔太は取り分けた料理を見つめ、慮がちに尋ねた。

「持ち帰れるように包んでもらってもいいですか」

孝志はしばらくを見た、田を呼び、追加でもう1分用するよう命じた。翔太は驚き、すぐにげた。

「ありがとうございます。佐藤さんは、とても親切ですね」

「俺は親切じゃない。ただ実用なだけだ」

「同じことです。困っているが助かるなら」

事を終えると、翔太は子からり、子の横へ回った。孝志のかないを見つめた、両を胸のねた。

広告

「佐藤さん、を置いてもいいですか」

「何のためにだ」

を起こしてくださいと、神様にお願いするためです」

孝志の胸に、りと戸惑いが同に湧きがった。

「昨も言っただろう。俺のんでいる」

「僕は、眠っているだけだと言いました。しだけ試させてください」

なぜ頷いてしまったのか、孝志自にも分からなかった。翔太はさな両を孝志の膝に置き、目を閉じた。

声にして祈ることはなかった。ただ静かにを置いているだけだったが、しばらくすると、孝志は膝の奥にわずかな温かさをじた。

ほんの瞬だった。勘違いだとえば、それで終わる程度の覚だった。

「終わりました」

翔太がすと、温かさも消えた。孝志は自分のを見つめ、何か目に見える変化が起きているのではないかと期待したが、はいつもと同じようにかなかった。

「もう終わりなのか」

「はい。こういうことにはがかかります」

「おの善は分かる。だが俺のは治らない。医者がそう言っている」

翔太は子へ戻るに、静かに答えた。

「お医者さんはたくさんのことをっています。でも、全部をっているわけではありません。も来ていいですか」

孝志は自分でも驚きながら頷いた。

「分かった」

そのから2週、翔太は毎晩8にレストランへ現れた。

広告

どれほど空腹でも事の半分を持ち帰り、シェルターの親子や公園で眠る老たちに分け与えた。

事が終わると、必ず孝志のを置いた。孝志は最初、それをの気休めだとっていたが、やがて翔太が来る待ちにするようになった。

2の会話もしずつくなった。翔太は、々パンをくれる子という老婦や、事故で片を失っても笑顔を絶やさない・健太、何も持っていないのに互いを助けうシェルターの々について話した。

ある夜、孝志はのコーヒーを置き、以から疑問にっていたことを尋ねた。

「翔太、お度もらないのか」

翔太はの入ったグラスを両で持ちながら、し考えた。

ることはあります。が子供を傷つけたや、べ物が捨てられている横で誰かがお腹を空かせているです。でも、ずっとっているのは疲れます」

「俺には、っていることだけが自分を保つ方法にえるがな」

「誰にっているんですか」

質問を受けた孝志は、しばらく黙り込んだ。これまで誰にも言わなかった言葉が、では議と喉元までがってきた。

「神に。世界に。それから、自分自にだ」

「どうして自分にるんですか」

孝志はテーブルの端へ目を落とした。

「事故は俺のせいだった。運転話で妻と論していて、の制御を失った」

「誰かくなったんですか」

「いや。だが、俺は自分の族のを壊した」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: