"夕焼けの後継者" 第6話
しかし拓也は、その穏やかさのに危険なものをじ取った。総郎が何かをった、どのような目をするのか、誰よりも理解していたからだ。
満は空気の変化に気づかず、をげた。
「それでは、私はこれで失礼します。この破片を片づけてから帰ります」
再びへ膝をつき、割れた陶器を1つずつ集める。鋭い破片が指先へい込み、さな血が滲んだが、満は気に留めなかった。
夫は、そのろ姿を見つめていた。
健が、あんなに派な青を育てていた。
そうった瞬、胸の内側で何かが崩れ落ちた。駆け寄り、今すぐ抱きしめたい気持ちが溢れたが、隣にいる拓也を見てを止めた。
斎藤が箒を持って現れた。
「私が片づけます」
満は礼を言ってちがり、具鞄を肩へ掛け直した。
拓也が満の隣へ歩み寄る。
「ご苦労さまでした。ところで、作業に何か困ったことはありませんでしたか。敷のをあちこちご覧になったようですが」
調は柔らかかった。
だが満は、その目に優しさがないことをじた。
「照設備以には、何も触れていません」
「そうですか」
拓也は元だけで笑った。
満は総郎へ向かってをげた。
「また問題がございましたら、ご連絡ください」
総郎は何も言えなかった。
ただ、廊をざかっていく満のろ姿を、最まで見つめ続けた。
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満が玄関へ向かった、拓也は洗いへくふりをして廊の突き当たりまで歩いた。目がないことを確認すると、壁へ背を預けた。
いのから、たい汗の匂いが滲みしている。
佐々。
26歳。
健がを隠していた町。
父の写真を見てを止めた青。
そして総郎夫妻の、あの差し。
拓也は拳を握り締めた。
このまま敷から帰すわけにはいかない。あの青が健の息子だとらかになれば、30かけて築いた位が全て崩れる。
拓也は携帯話を取りし、斎藤へ連絡した。
「斎藤、今すぐ奥様の部へけ」
話の向こうで、斎藤が息をむ。
「ダイヤモンドの腕計を持ちし、あの修理の具鞄へ入れろ。誰にも見つかるな」
「副社、それは……」
「15、おが会社のへをした件を、私はまだ忘れていない。領収も座の記録も全て持っている」
拓也の声はく、平坦だった。
「会のに入れば、おは終わりだ。分かっているな」
い沈黙の、斎藤が震える声で答えた。
「承いたしました」
拓也は話を切り、何事もなかったような顔でリビングへ戻った。
方、総郎は斎へ入り、机のに座っていた。机には、若い頃の健を写した写真が置かれている。
拓也が扉を叩き、許を得てへ入った。
写真を見た瞬、拓也の胸に嫌な予が広がった。
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総郎が健の写真を取りして眺めている姿など、これまで度も見たことがなかった。
「何だ」
総郎の声は穏やかだった。
「本の修理職の件ですが、し怪しい印象を受けませんでしたか」
拓也はソファへ腰をろし、自然を装って話した。
「初めて入る敷なのに、随分と周囲を見回していました。のため元を詳しく調べた方がよろしいかといまして」
総郎は答えなかった。
窓のを見つめたまま、指先で健の写真の縁を撫でている。
いつもならく返事をするはずだった。だがそのは、拓也の言葉へ切反応しない。
拓也はそれ以話さず、ちがった。
「決裁類は、またお持ちします」
斎をると、廊で斎藤とすれ違った。
斎藤の顔は気だった。両をで組み、線をへ落としている。
拓也が目だけで問いかけると、斎藤は極めてさく頷いた。
終わりました。
拓也は元をげ、部へい連絡を送った。
修理代の精算に誤りがあったと伝え、佐々満を敷へ戻せ。
しばらくして、満はのを再び戻ってきた。
古いバイクの音が敷内へ響き、玄関で止まる。濡れた作業着のまま入ってきた満の顔には、特に疑う様子はなかった。
「お戻りいただき、ありがとうございます」
拓也は友を迎えるような笑顔を浮かべた。
満はヘルメットを脱ぎ、軽くをげた。
「精算に違いがあったと伺いましたので」
「ええ。ですが、そのに1つ確認したいことがあります」
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