"300億を捨てた相場師" 第3話
「どうして失踪の直に、昔んでいた団へ……」
矢島は何度も団へ通った。
だが、そこで誰に会おうとしたのかは分からなかった。
やがて捜査は縮された。
が来た。
が過ぎた。
再びが巡った。
そしてがなるにつれ、「桑原の相師失踪事件」は々の記憶かられていった。
ただ1、矢島だけは忘れなかった。
机の奥の帳には、あのの文字が残り続けていた。
「族、よそよそしい。理由あり。確認」
そのに、しいが加えられていた。
「県営A団。失踪数。なぜ?」
答えのないまま、6が過ぎた。
2005の。
桑原の町には朝から細かながっていた。
矢島はすでに50歳を越え、翌には定退職を控えていた。
髪にはいものが増えた。
刑事として追い続けてきた数々の事件にも、しずつ区切りをつけ始めていた。
だが、どうしても胸に引っかかったままの事件が1つあった。
梶常の失踪だった。
そんな午、本の話が警察署に入った。
若い刑事が矢島の机までやってきた。
「矢島さん、6の梶さんの事件について話したいという女性から話です」
矢島は顔をげた。
「誰だ?」
「梶さんの義理のお母さんだそうです。千鶴さんという方です」
記憶が気に6へ戻った。
千鶴は妻みつ子の母親だった。
つまり常にとって義母にあたる。
当も度だけ事を聞いたが、すでに齢で、い話まではしていなかった。
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矢島が受話器を取ると、細い老女の声が聞こえた。
「矢島さんでいらっしゃいますか」
「はい」
「6に、うちの婿のことを調べてくださった……」
「覚えております」
しばらく沈黙があった。
「あの、私は何も申しげませんでした」
声が震えていた。
「いえ……申しげられなかったのです」
「何かごじだったんですか?」
「私、もうくないんです」
矢島は息を止めた。
「医者から余命を告げられました。それでぬに、どうしてもお話ししておかなければならないことがあります。常さんのことで」
矢島は受話器をく握った。
「すぐに伺います」
千鶴が入院している民病院へ、輩刑事の桜井と向かった。
桜井は20代半の若い刑事だった。
のをったが病院へ着いた頃には、辺りは暗くなり始めていた。
3階のいちばん奥の病。
そこに、千鶴は横たわっていた。
6よりずっと痩せていた。
頬はこけ、腕も細くなっている。
しかし、その目だけは驚くほどはっきりしていた。
「ようこそ、おいでくださいました」
矢島と桜井が子に座ると、千鶴はしばらく呼吸をえた。
そして、ゆっくり語り始めた。
「常さんにはね、誰にもかさなかった過があったんです」
「過?」
「あのは若い頃、それは貧しい暮らしをしていました。寄りもなく、たった1できていたんです」
千鶴がにしたのは、あの県営A団だった。
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矢島がを乗りした。
「そこに、常さんを支えてくれた女性がおりました」
「女性?」
「恵さんという方です」
血のつながりはなかった。
だが、寄りのなかった若い常にとって、恵は姉であり、母親のようなだったという。
彼女自も決して裕福ではなかった。
それでもべ物を分け、仕事を探すのを伝い、落ち込めば励ました。
常がをて直していくための最初のを作ってくれただった。
「ところが常さんは成功してしまった」
千鶴の声がし掠れた。
「株でをにし、派なにむようになった。忙しい、仕事がある、世体がある……そうやって理由をつけて、恵さんのところからしずつがのいたんです」
いつか恩返しをしよう。
いつか会いにこう。
そういながら、「いつか」は先延ばしになった。
そしてある、恵はくなった。
1で。
「常さんはにわなかったんです」
病に沈黙が落ちた。
「恵さんがくなったとってから、常さんはが変わりました。株にも興を示さなくなり、夜に1でを抱えていることが増えました」
「奥さんや娘さんは?」
「りません。常さんは族にさえ、自分の過を話さなかった。恵さんのことをっていたのは、私だけです」
千鶴は枕元に置かれた古い提げ袋を見た。
「桜井さん、取っていただけますか」
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