"元嫁の15枚返し" 第4話
周囲の客のから、ひそひそ声が聞こえ始めた。
追いした元嫁名義のカードで500万円の買い物をしようとしながら、息子の財力を自していた。
その構図が、周囲にも分かり始めていた。
「こんなの違いよ!」
京子はさらに声を荒らげた。
「社を呼びなさい! 私はこの百貨の客なのよ!」
そこへ警備員2を連れたVVIP担当の責任者が現れた。
「京子様」
落ち着いた声が響いた。
「佐藤恵子様ご本からの申しにより、本をもって、ご族として登録されていた皆様のカード利用資格およびVVIPラウンジを含む付帯サービスはすべて止されております」
内がざわめいた。
京子は呆然とち尽くした。
「……恵子が?」
「はい」
「どうしてあの女にそんな権限があるのよ」
「ご名義だからでございます」
その言で終わった。
それでも京子が騒ぎ続けたため、最には警備員に両腕を取られ、3はのへ連れされた。
そして運悪く、その景を最初から見ていた物がいた。
羅の婚約者の母、田ひよ子だった。
羅は顔を失った。
「お、お義母様……これは誤解なんです」
ひよ子はたい線を向けた。
「あなたのおが自していた財産って、元のお嫁さんのおを使っていただけなの?」
「違います。これは何かの違いで……」
「そう」
それだけ言うと、ひよ子は背を向けた。
羅はそのに崩れ落ちた。
広告
京子も歩へ座り込み、震える声で繰り返した。
「どうして……どうして恵子の名なの」
その答えをるには、12までを戻さなければならなかった。
港区の等に建つ10億円のペントハウス。
そのを築いたのは健ではなかった。
父親の学だった。
若い頃から現で働き始め、40以、ほとんど休むことなく事業を続けた。そうして積みげた財産の象徴が、都を見ろすそのまいだった。
息子の健は「ベンチャー企業の社」という肩きを持っていた。
級に乗り、ゴルフバッグを積み、夜にはクラブで経営者仲と酒をむ。から見れば成功者そのものだった。
しかし会社は、ほとんど利益をしていなかった。
父親から与えられた創業資も数で底をつき、そのは支払期の迫った形と借ばかりが残っていた。
それでも健は活準を落とそうとしなかった。
「社がみすぼらしく見えたら会社の信用に関わる」
それが癖だった。
がりなくなるたび、健が頼る相は妻の恵子だった。
「恵子、今回だけだ。本当にこれが最だから」
夜遅く、健は斎へ入ってきて妻のでをわせた。
「母さんには絶対言わないでくれ。応俺はこのの男なんだ。会社が苦しいなんてられたら、母さんががっかりする」
広告
恵子は何も言わず、自分の通帳を取りした。
最初の頃、健は借用をこうとしたこともあった。
「夫婦なんだから、そんなものいらないわ」
恵子はそう言った。
健がきかけたは丸められ、ゴミ箱へ捨てられた。
そのの恵子には、その1枚のがになってどれほど切なものになるか分からなかった。
のでも、恵子のは妻というより使用にかった。
義妹の羅は働きもせず、朝になっても自からてこない。
「お姉さん、お」
ベッドで携帯話を見たまま声をげる。
恵子がコップを持ってけば、羅は画面から目をさずに受け取る。
12、「ありがとう」と言われた記憶はほとんどなかった。
京子は同窓会へくたびに息子の自をした。
「うちの健なんて、最はに数千万円よ。若い社ってすごいのね」
そして財布から恵子名義のブラックカードを取りし、友たちので支払いをした。
そのカードが嫁名義だとは、度も確かめようとしなかった。
では、はどこからていたのか。
恵子は昼、企業向けのビジネスコンサルタントとして働いていた。
規模なプロジェクトを任され、会議と打ちわせのために企業を駆け回る。帰宅すると族の事を作り、事を終え、全員が眠った頃にノートパソコンをいた。
翻訳の副業だった。
午2を過ぎても、恵子の部だけかりがついていた。
目が充血すれば目薬を差し、眠気で文字が霞めばたいで顔を洗った。
広告
おすすめ作品
-
完結第15話
介護で表彰される嫁――私は認知症に仕立てられた
手首を骨折し、息子夫婦の家へ身を寄せた68歳の文江。嫁・沙耶香は、物忘れが進んだ姑を献身的に介護しているように見せ、日常を動画で配信していた。 だが文江は認知症ではなかった。砂糖と塩を入れ替え、スマートフォンを隠し、同じ質問を繰り返すよう指示する――すべては再生数と広告収入を得るための演出だった。しかも息子も、その事実を知りながら黙認していた。 沙耶香が「献身的な嫁」として表彰される当日、巨大スクリーンに流れたのは感動映像ではなく、撮影前に姑へ演技を命じる未編集動画だった。そして文江は車椅子を使わず、自分の足で壇上へ向かう。 家族に病気も財産も人生も利用された女性が、自らの声と尊厳、そして「撮られない権利」を取り戻していく逆転と再生の物語。因果応報|嫁姑|認知症2.2万字5 237 -
完結第16話
妊娠8か月の私に28人分のおせちを作らせた義母
妊娠8か月の優奈は、義母から「家族6人分」と聞かされていたおせち作りを引き受ける。だが台所に用意されていたのは、販売用の28人分。さらに義妹の店名が入った重箱には、優奈の名前が製造責任者として無断で使われていた。 体調を崩して病院へ向かった優奈は、録音や注文表を証拠として残す。予定より早く帰宅した夫・康平は、母から合鍵を取り上げ、親戚を帰らせるが、やがて妻の署名や免許証、退職金まで利用した500万円の融資計画が発覚する。 康平は家族へ怒るだけでなく、母の越境を長年黙認してきた自分の責任とも向き合う。一方の優奈も、誰かに救われるのを待たず、自分の名前、仕事、暮らしを自ら守り始める。 28人分のおせちから始まった騒動を通して、「家族のため」という言葉に奪われていた選択権を取り戻す夫婦の再生と、境界線の大切さを描いた物語。嫁姑|第二の人生|修羅場2.4万字5 1030 -
完結第15話
車椅子の姑を1年間介護したのに、遺産は1円もいらない嫁が家を出た日
教師の仕事を辞め、右半身に麻痺が残った姑・芳子を365日介護してきた田中綾。芳子の70歳の誕生日会で、36人の親族を前に「家も預金も長男へ。嫁には1円も渡さない」と宣言される。熱い汁で右手を火傷しても、夫が心配したのは200万円の着物だけだった。綾は介護引継書を置き、「遺産はいりません」と家を出る。ところが無償の嫁が消えた翌朝、家族の前には月43万8000円、年525万6000円の介護見積書が突きつけられた。3人の実子は誰が母を支えるのか。そして綾は、失った教師の人生を取り戻せるのか――。嫁姑|親子関係2.0万字5 2245 -
完結第14話
夫の通帳を奪った義母が銀行で凍りついた日
「息子の通帳は、こっちで管理するわ」 夫の四十九日の翌朝、義母は仏壇の引き出しから通帳を奪った。 「三宅の金を、子供も産めなかった嫁には渡さない」 私は取り返そうともせず、静かに答えた。 「どうぞ、ご自由に」 一週間後、記帳した義母が怒鳴り込んできた。 「残高が12万3,000円しかない! 残りをどこへ隠した!」 さらに義母と義弟は、家を売って財産を分けると言い出した。 私は反論せず、銀行の応接室へ二人を呼んだ。 ところが義母は約束より早く窓口へ行き、通帳を突きつけた。 「私は母親よ。全額払い戻して!」 銀行員は戸籍を確認し、義母へ静かに尋ねた。 「お客様は、亡くなられた和幸様と養子縁組をされていますか?」嫁姑|相続|親子関係|金銭問題2.0万字5 580 -
完結第16話
20人の宴会、妻は2つの鞄を用意していた
福岡出張から2日早く帰宅した健二は、7600万円の自宅で母・敏子が20人を招いて宴会を開き、妻・美紀と5歳の娘・優奈だけが山積みの皿を洗っている光景を目撃する。優奈の手は赤く腫れ、美紀の足元には今夜家を出るための鞄が2つ。しかも美紀は11か月の間に3回助けを求めていたのに、健二はすべて退けていた。「証拠はない」と言い張る母に対し、美紀が差し出したのは録音11件と写真37枚。さらに宴会代23万6400円、毎月15万円の送金、家族カードの明細から、健二の知らなかった支配が浮かび上がる。だが、母の嘘を暴き20人を追い出しても、壊れた家族は元には戻らない。健二は自らの加担と向き合い、妻と娘の信頼を取り戻せるのか。嫁姑|親子関係2.3万字5 1946 -
完結第11話
孫の一言で取り戻した通帳
「ばあばの通帳、ママのバッグにいつも入ってるよ」 年金支給日の朝、6歳の孫が何気なく口にした。 嫁の箸が止まり、黒いバッグから緑色の通帳ケースが覗いていた。 2年前、骨折した私に代わり、毎月4万円だけ下ろす約束で預けたものだった。 「今日は自分で記帳してくるわ」 そう告げると、嫁の顔から血の気が引いた。 近所の信用金庫で、1年8か月ぶりに通帳を開く。 4万円だった出金は、いつしか6万、8万、10万円へ増えていた。 そして今日も、私が朝食を取る前に8万円が引き出されていた。 私は何も問い詰めず、キャッシュカードを停止した。 その日の午後、嫁は青ざめて帰宅した。 さらに翌日、ゴミ箱から落ちたATM明細を広げた瞬間――私はその8万円が生活費ではなかったと悟った。人生逆転|祖父母と孫|嫁姑|第二の人生|金銭問題1.6万字5 977 -
完結第12話
夜勤明け、鍵を替えられた私の静かな反撃
30時間の夜勤を終えて帰宅した看護師・南を待っていたのは、義母によって交換された玄関の鍵だった。「反省したら土下座しに来なさい」という連絡に、南は「そうですか。では、さようなら」とだけ返信する。 だが、義母と無職の夫は知らなかった。その高級マンションは、南の勤務先が契約する借り上げ社宅であり、家賃も生活費もすべて南の収入で支えられていたのだ。 南は騒がず、締め出しを自白したSNS投稿を保存。社宅の退去手続き、電気・水道・ガスの解約、弁護士への離婚依頼を淡々と進める。月曜日の午後5時、部屋の明かりが消え、管理会社と警察が玄関に現れた。 自分を家政婦のように扱った家族との関係を断ち切り、誇りある仕事と人生を取り戻す女性の、静かで痛快な逆転物語。因果応報|人生逆転|嫁姑|親子関係1.9万字5 2925 -
完結第12話
20年の仕送りを止めたら、義母の嘘が暴けた
20年間、毎月10万円の仕送りを一度も欠かさなかった私。 総額は2,400万円にもなるのに、義母は法事の席で親族を前に笑った。 「たった10万円よこして、偉そうにしないでよ」 その言葉を聞いた私は、翌月から仕送りをやめることを決めた。 義母は「その程度のお金、なくても困らない」と強がっていたが、わずか3か月後、その暮らしは急速に行き詰まっていく。 やがて夫は、実家で銀行と証券会社から届いた複数の封筒を発見する。 そこに記されていたのは、義母が隠し続けてきた資産の動きと、私たちの仕送りが使われていた本当の目的だった。 なぜ義母は2,400万円もの援助を「大した額ではない」と笑ったのか。 そして、仕送りを止めた途端に崩れ始めたものとは――。 20年間の善意を当然のものとして踏みにじられた妻が、家族に隠された金銭の秘密と向き合い、自分の人生を取り戻していく物語。嫁姑|相続|親不孝|親子関係|金銭問題1.8万字5 896