みかん小説
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"元嫁の15枚返し" 第8話

そこへ弁護士が入ってきた。

丁寧にげ、1つの封筒をテーブルへ置いた。

恵子がくと、正式な遺言公正証が入っていた。

弁護士が静かに説した。

「学様は、ご入院、ご族についてくのお話をされました」

恵子は黙って聞いた。

「ご自が病気になってから、息子様も奥様もほとんど顔を見せなかったこと。そして恵子様だけが、排泄のお世話までしながら毎そばにいらしたこと」

恵子のがわずかに震えた。

「また、健様の事業状況についてもすべて把握されていました」

「……お義父様が?」

「はい。このを息子様へ相続させれば、いずれ事業資の担保にされ、失われる能性がいとお考えでした」

弁護士が類の部を指した。

そこには港区のペントハウスの相続について記載されていた。

単独相続

佐藤恵子。

恵子は何度も文字を読み返した。

「これは……どういうことでしょうか」

弁護士は封筒から、型の録音と折り畳まれたを取りした。

「こちらも緒にお渡しするよう預かっております」

ボタンが押された。

さな雑音の、聞き覚えのある械音が流れた。

の酸素装置。

そして、義父の声。

『恵子。私だ』

恵子の肩が震えた。

族がおを使用のように扱っていることも、健のことでおに頼り切っていることも、私は全部っている』

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途切れ途切れの声だった。

『私が病気だからという理由で、何もしてやれなくてすまなかった』

恵子の唇が震えた。

『あのは、もう私のものではない。おのものだ』

い呼吸音が続いた。

『12、おの汗で維持されてきただ。堂々と受け取ってくれ』

そして最に、学はこう言った。

『私が目を閉じたは、誰かの嫁としてではなく、恵子という1としてきてほしい』

録音が終わった。

恵子は震えるで折り畳まれたいた。

麻痺しかけたいたのだろう。

文字は歪み、線は途へ流れていた。

それでも最の2だけは読めた。

ありがとう。

そして、済まなかった。

涙が1滴、へ落ちた。

それまで耐えていたものが気に崩れた。

恵子は両で顔を覆い、声を押し殺すこともできずに泣いた。

まで翻訳をした

雑巾を投げられた

事を作っても礼を言われなかった

義父の体を拭きながら、眠気で倒れそうになった朝。

夫の借を支払った夜。

葬儀で1だけ働き続けた3

頬を叩かれ、荷物を投げされた

誰にも分かってもらえなかったとっていた12を、たった1だけ見ていた。

しばらくして、弁護士がティッシュを差しした。

「もう1つだけ、お伝えしておきます」

恵子が顔をげた。

「学様は、この遺言を作成された、鎮痛剤を使用されませんでした」

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「……どうして?」

識が曖昧な状態だとで主張される能性がある。だから識が瞭であることを証したい、と」

恵子のが止まった。

「痛みに耐えて、医師の判断を受けたで署名されました」

恵子は目元を押さえ、乱れた髪をえた。

再び顔をげた、その目には先ほどまでとは違うがあった。

「先

「はい」

「ペントハウスには今、私の許なくんでいるたちがいます」

恵子は類を封筒へ戻した。

に、番確実な方法で退させてください。順をばさず、全部お願いします」

弁護士はゆっくり頷いた。

「直ちに続きを始いたします」

建物をて、源を切っていた携帯話を入れると、着信が23件も入っていた。

すべて健からだった。

カードが止まったそのから、健の会社は気に傾き始めていた。

請けへの支払い。

両費。

事務所の固定費。

今まで当然のように使えていたカードが、すべて使えなくなった。

経理担当者が青ざめた顔で社へ入った。

「社、カードが全部止まっています」

「システムエラーだろ」

「カード会社へ確認しました。名義がすべて解約されたそうです」

の背筋にたいものがった。

それまで1度も利用限度額を識したことがなかった。

自分が社として信用されているからだと信じていた。

本当は恵子の信用だった。

そのから、支払いを求める話が殺到した。

さらに桃が社へ入り、ソファにを組んで座った。

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