"吹雪の一杯" 第13話
その。
し迷って。
《富美子さんと》
とく。
富美子は笑った。
「さん、はいらないわよ」
「じゃあ何てきます?」
「富美子でいい」
真帆がき直した。
《富美子と真帆》
その文字を見た。
胸の奥に残っていた寂しさが。
しだけ。
形を変えた。
なくなったわけではない。
隆に会いたいとうは。
これからもある。
で泣く夜も。
きっとある。
それでも。
寂しいことと。
であることは。
同じではない。
玄関の引き戸がいた。
を肩に乗せた老夫婦が。
を覗く。
「すみません。予約していた田ですが」
富美子は。
ちがった。
「はい。お待ちしてました」
囲炉裏のが。
を迎える。
昔と同じように。
そして。
しだけ。
昔とは違うように。
富美子は。
のイヤリングへ触れた。
「お父さん」
ので。
隆へ話しかける。
「旅館、まだ売らないことにしたよ」
し笑う。
「あなたが守れって言ったからじゃないからね」
囲炉裏の向こう。
真帆が。
しい客へお茶をしている。
トーマスは。
カメラをさず。
ただを見ている。
「私が、もうしここにいたいから」
70歳。
1500万円の借。
き夫。
誰も来ない旅館。
吹の夜。
凍えた国。
杯の噌汁。
たった数ヶまで。
富美子は。
自分が何かを失い続けているとっていた。
夫。
客。
体力。
。
。
けれど。
失ったものの跡に。
しいものが入ってくることもある。
それは。
夫の代わりではない。
昔の代わりでもない。
ただ。
次のものだ。
囲炉裏のが。
ぱちりと鳴る。
富美子は。
薪を本した。
は。
で守り続けるものではなかった。
消さないためには。
いつか。
誰かのへ。
渡していかなければならない。
窓のでは。
を待つ最のが。
静かにへり積もっていた。
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