"井戸に沈んだ制服" 第9話
茶く変した。
きの事聴取。
古い写真。
失踪当の装。
最の目撃証言。
刑事たちは件ずつ読み直した。
「これを見ろ」
が言う。
ある女性について、
「午520分頃、自宅方向へ徒歩で帰る姿を確認」
その、目撃が途絶えている。
自宅まであと数百mだった。
別の女性も、自宅くで最に確認されていた。
越子と似ていた。
自分がよくる所。
い距。
そこから消える。
「を使っていた能性がある」
池田は当、を所していた期があった。
しかし何もで、物証は残っていない。
自体もすでに廃になっていた。
過の失踪現と池田の範囲をねる。
学への通勤。
宅。
買い物。
散歩。
気なほど接点がてきた。
だが、
「くにいた能性」
と、
「犯をった証拠」
は別である。
警察は池田宅周辺のも規模に捜索した。
庭を掘る。
古い物置を解体する。
を見る。
くの林。
空き。
かつて池田が利用していた所。
井戸。
用。
それでも、越子以の遺骨は見つからなかった。
方、靴の持ち主の特定は続いた。
何かは、ノートにかれた方女性のものと考えられた。
族が特徴を覚えているもあった。
「母が履いていたものと似ています」
「娘はこのを好きでした」
しかし数の履物を、写真だけで完全に特定することは難しい。
広告
DNAも簡単に取れる状態ではない。
捜査員たちは焦りを募らせた。
「これだけあるのに」
にはらかに異常な物が量に残されている。
しかし法廷で、
「この靴の持ち主を池田が殺した」
と証するにはきな壁があった。
自がない。
遺体がない。
目撃者がいない。
直接な犯現も。
越子事件ですら同じだった。
蓋骨は池田宅からしれた田の井戸で見つかった。
越子の靴は池田のにある。
極めてい状況証拠だ。
だが、越子の原因を確定できる体部分が残っていない。
蓋骨だけでは、命を奪った具体方法を断定できなかった。
「なぜだけを残した?」
捜査員たちは繰り返し考えた。
池田のノート。
古い制。
写真。
靴。
彼の発言。
そこからつの推測が組みてられた。
越子は、池田にとっての女性とし違うだった能性がある。
若い頃、同じ学で働いていた。
同じ代を共した。
そして越子の蓋骨を包んでいたのは、その学の女子制だった。
「過を再現したかったのか」
「若い頃の学と結びつけた?」
「制は青の象徴だったのかもしれない」
「井戸は?」
「本にしか分からない」
池田はについて、
「浄化するもの」
と語ったことがあった。
だから警察は、
制。
蓋骨。
井戸。
それらすべてが池田独自の儀式の部だったのではないかと考えた。
広告
しかし、それもあくまで推測でしかない。
取調で刑事が再び尋ねる。
「の3はどこだ」
池田は答えない。
「遺体をどこへ置いた?」
沈黙。
「族が何も待ってるんだ」
池田は机の点を見ていた。
「せめて所だけ言え」
やがて老がをいた。
「所というものはではありません」
刑事の顔が張る。
「族にはなんだよ」
「のには、そうでしょう」
「おは何にをした?」
池田はく息を吐いた。
それきり、再び黙った。
捜査員にとって最も恐ろしかったのは、にあった靴の数だった。
もしすべてが犯罪の被害者に関係しているなら。
被害者は3や4では終わらない。
しかし、きている女性の靴も混じっている。
どこからが窃盗で。
どこからが誘拐で。
どこからが殺なのか。
池田だけがっていた。
そして彼は、それを語ろうとしなかった。
事件は法にも難しい問題を抱えていた。
世から見れば答えはらかにえた。
池田宅のから越子の靴がた。
札には失踪。
井戸から越子の蓋骨。
過の方女性の名がノートにある。
量の女性の靴。
目を切り抜いた写真。
これほど異常な証拠が揃っている。
「なぜすぐ殺で裁けないんだ」
聞記事を読んだ民のくはそうじた。
しかし刑事裁判では、
「恐らくそうだ」
だけではりない。
越子がいつしたか。
どこでしたか。
具体に何をされたか。
誰が直接ったか。
広告
おすすめ作品
-
完結第23話
白線の先の女たち
昭和三十九年、女子競輪が終わりを迎えようとしていた。三十四歳の佐伯久美子は、最後の地元決勝で優勝する。しかし彼女が真っ先に求めたのは、花束でも拍手でもなく、次の出走表だった。返ってきたのは、もう走る場所はないという答え。そんな久美子の前で、十九歳の新人・夏子は「私は来年も勝ちたい」と訴える。仕事、家族、怪我、そして失われた競走の舞台。走ることを諦められない女たちは、それぞれの暮らしを背負いながら、新しい一歩を探し始める。時代|歴史|昭和|ミステリー3.0万字5 199 -
完結第15話
姉の身代わりで嫁いだら、冷酷当主の本命でした
家族に冷遇され、姉の身代わりとして“冷酷な当主”のもとへ嫁がされた澄乃。しかし初対面で、偽りの花嫁だと見抜かれてしまう。 追い返される覚悟をした澄乃に、静は「お前で構わない」と告げる。さらに帳簿を読む彼女の才能と、恐れながらも嘘をつかなかった誠実さを認めていく。歴史|昭和|ミステリー|夫婦|第二の人生2.0万字5 689 -
完結第15話
「柿の木だけは切るな」――庭から出た四人の遺骨
2024年、東京・品川の古い屋敷で、樹齢70年の柿の木が引き抜かれた。その根元から見つかったのは、大人一人と子ども三人の遺骨。20年前、この屋敷では住み込みの家政婦と三人の娘が姿を消し、家主である元校長は「金を盗んで夜逃げした」と説明していた。なぜ彼は、柿の木だけは絶対に切るなと家族に言い残していたのか。捜査を進める刑事・渡辺は、町の人々から尊敬されてきた元校長の過去と、20年間隠されてきた母娘の失踪の真相を追い始める。ミステリー|真実|真相1.7万字5 153 -
完結第12話
昭和44年、終電後に消えた駅員――28年目に見つかった記録
昭和44年、長野県の小さな駅で働く杉原修一は、最終列車を見送った夜、8万6,400円の現金とともに姿を消した。父を泥棒と呼ばれながら育った娘の美緒は、28年後、取り壊しが決まった駅舎で古い駅務日誌を発見する。そこには、父が終電の55分後、赤いランプを持って七号橋へ向かったという不可解な記録が残されていた。運休したはずの貨物列車、書き換えられた帳簿、沈黙を守る関係者たち。父はあの夜、何を知り、なぜ帰ってこなかったのか。昭和の小駅に封じられた28年間の謎を追う、家族と真実の物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|真実2.9万字5 336 -
完結第12話
雨宮停留所の黄色い傘
私は六十二歳。幼いころから、ときどき人には見えない姿や声を感じることがある。 山梨の小さな町で叔母の家を片づけていたある雨の日、廃止された停留所の水たまりに、黄色い傘を差した少年が映った。 そこで出会った老女は、四十年近く前に失踪した息子を今も待ち続けているという。 「まだ帰れない」 少年が残した言葉を手がかりに調べ始めると、破り取られたバスの運行日誌、隠された手紙、そして家族が長年伏せてきた秘密が浮かび上がる。 あの少年は、いったい何を伝えようとしているのか。日常ホラー|ミステリー|真相|親子関係2.2万字5 331 -
完結第13話
疎開から戻った娘が、再び村へ帰りたがった理由
昭和二十年の秋。戦争で夫と家を失った文江は、集団疎開から戻った十二歳の娘・幸子と、焼け跡の東京でようやく再会した。 ところが三日後、娘は突然「あの村へ帰りたい」と言い出す。母との暮らしを喜んでくれると思っていた文江は、深く傷ついた。 やがて娘の行李から見つかった一通の手紙。そこには、長野の農家で暮らす九歳の少女・千代との、切実な約束が隠されていた。 自分たちの生活さえ苦しい母娘は、その約束にどう向き合うのか。戦後の厳しい暮らしの中で、家族の絆と本当の居場所を見つめ直す、心温まる物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|親子関係2.8万字5 262 -
完結第10話
13年前に消えた娘が、元隣人のSNSにいた
2009年、自宅から忽然と消えた四歳の娘・くるみ。母のえみは、娘の部屋を十三年間そのまま残し、帰りを待ち続けていた。 失踪から十三年後、元隣人のSNSに十七歳の少女が写る。成長した娘に似た顔、同じ三日月形のあざ、そして少女の名前も「くるみ」だった。ミステリー|夫婦|真実|真相|親子関係1.6万字5 249 -
完結第16話
雪の空港で消えた四人と第七格納庫
1989年のクリスマスイブ、北海道の空港から四人の客室乗務員が姿を消した。車には荷物と靴だけが残され、手掛かりのないまま35年が過ぎる。 2024年、解体中の旧格納庫で隠し部屋が発見され、事件は再び動き始めた。浮かび上がったのは、空港内部を熟知し、彼女たちを密かに監視していた元整備士だった。ミステリー|真実|真相1.9万字5 1203 -
完結第14話
七年後、屋上で見つかった妻の秘密
1993年、鹿児島。自治会の帳簿を整理していた主婦・ミキは、過去の火災復旧費に不自然な水増しを見つける。調査を始めた直後、彼女は遺書とバッグだけを残して姿を消した。 投身とされた事件から七年後、マンション屋上の封鎖された旧貯水槽から、ミキと一致する人骨が発見される。ミステリー|真相|行方不明2.1万字5 427