"井戸に沈んだ制服" 第12話
事件からが経ったも、では配の民が越子のことを覚えていた。
「あのは本当にいい気だった」
最に越子を見た所の女性は、にそう話した。
「空が青くてね。越子さんもいつも通りだった」
し考え、続ける。
「だから余計に忘れられないんです」
もしがっていたなら。
もし嵐だったなら。
もし越子がそうな顔をしていたなら。
はそこに何かの予兆を探せたのかもしれない。
けれど、何もなかった。
れたのだった。
いつもの午2。
いつもの籠。
いつもの。
「暗くなるには戻ります」
そう言って歩きした。
そして戻らなかった。
7ヶ。
誰も使わなくなった井戸の底から、彼女の蓋骨だけが見つかった。
丁寧に折り畳まれた、40くの学に包まれて。
その発見によって犯とわれる男へたどり着くことはできた。
も見つかった。
靴も見つかった。
記録も見つかった。
けれど、最もりたかった答えだけは見つからなかった。
越子はあの、何を見たのか。
なぜ池田についてったのか。
どこで命を奪われたのか。
体の残りはどこにあるのか。
の女性たちはどうなったのか。
そしてに並んでいた何もの靴のうち、いくつが本当に失われた命と結びついていたのか。
池田正は最まで語らなかった。
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井戸は埋められた。
池田のもやがてのまない建物になった。
古い女子学も、とうの昔になくなっている。
事件の台となったくの所は、とともに姿を変えた。
それでもから完全に消えなかったものがある。
それは、
「見慣れただから全だ」
という確信だった。
何も同じ域で暮らしている。
元教師。
穏やか。
暮らし。
挨拶をする。
それらは、そののの扉の向こうに何があるかを保証してはくれない。
越子の事件がに残した傷は、単にの女性が命を失ったことだけではなかった。
を疑う必などないとっていたさな共同体が、
「自分たちは本当には互いをらないのかもしれない」
と気づいてしまったことだった。
になると、今でも寺へ続くの脇には菊が咲く。
午のが田んぼへ差し、へ向かう本がく伸びる。
かつて野越子が何百回も歩いただ。
600m。
歩けば15分。
図のでは、ほんのい距にすぎない。
しかし199210のある午、そのわずかなの途に、彼女のをみ込む暗がをけていた。
そして、その暗の全貌は最までらかにならなかった。
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