みかん小説
本棚

"特大おにぎりの恩返し" 第8話

太の

祖母は朝5に起きた。

母と亜美も台所へった。

再会してから数ヶ

亜美は仕事帰りにうちへ寄ることが増えていた。

「唐揚げ、焦げてない?」

丈夫」

「卵焼き甘すぎない?」

太は甘いほうが好き」

「おにぎりきすぎない?」

俺が聞く。

祖母と亜美が同に。

「これくらい普通」

と言った。

普通ではない。

弁当箱には。

の梅干しおにぎりが2個。

唐揚げ。

卵焼き。

ウインナー。

イチゴ。

太はびでかけた。

夕方。

から帰った太の弁当箱をけると。

おにぎりが半分だけ残っていた。

「珍しいな。べきれなかった?」

「違うよ」

太は靴を脱ぎながら言った。

「友達にあげた」

俺のが止まった。

「誰?」

「同じ班の子。お弁当なかったから」

亜美も台所から顔をした。

「忘れたの?」

太は首を傾げる。

「そう言ってたけど」

俺と亜美は。

識に顔を見わせた。

「先には?」

「先もパンあげてた。でもりなそうだったから、僕のおにぎり半分あげた」

「なんて言ってた?」

「でっか、って」

亜美が吹きした。

俺も笑った。

あまりにも同じだった。

だが。

俺たちはそこで終わらせなかった。

へ連絡した。

担任も気にしていたらしく。

庭の状況確認が始まった。

で分かったことだが。

その子の母親は病気で入院したばかりで。

父親が慣れない事と仕事の両に追われ。

弁当を用できなかっただけだった。

広告

虐待ではなかった。

それを聞いて。

俺はした。

亜美も笑った。

「同じじゃなくてよかった」

「そうだな」

ただ。

その来事をきっかけに。

俺たちは気づいた。

子供が「弁当を忘れた」と言う

本当に忘れただけかもしれない。

の事を隠しているかもしれない。

つの言葉だけでは。

分からない。

だから。

聞く

気づく

べさせる所。

その全部が必なのだ。

事が完成したのは。

しい域交流施設の階。

きなガラス窓の向こうに。

広い堂ができた。

は。

「むすび堂」

亜美が決めた。

「おにぎりだから?」

俺が聞く。

「それもある」

には?」

を結ぶから」

「ベタだな」

雅君に言われたくない」

所初

祖母も子で来た。

では。

亜美が。

きなおにぎりを握っていた。

子供たちは。

「でかい!」

と笑った。

祖母は。

それを見ながら。

何度も頷いた。

「ちゃんと返したね」

亜美が祖母のへしゃがむ。

「え?」

「あのの借り」

亜美は泣きそうな顔で笑った。

「まだ全然返せてません」

分だよ」

は。

亜美のを握った。

「ご飯ってのはね。返す相違えていいんだよ」

「どういうですか?」

「私にもらったとうなら、次の腹減らした子にべさせりゃいい」

亜美は。

声をげずに泣いた。

俺も。

しだけ目を逸らした。

「むすび堂」がいて半

祖母は体調を崩した。

広告

95歳まできな病気もなく過ごしてきただったが、の終わりに肺炎で入院し、そのはほとんどベッドから起きられなくなった。

亜美は仕事帰りに何度も見いへ来た。

は。

目をけるたび。

「ちゃんとべてるかい」

と聞いた。

までそれだった。

ある

祖母が亜美を呼んだ。

「台所の戸棚に、赤いノートがある」

へ戻り。

探すと。

古い梅干しの作り方がかれたノートがてきた。

塩の量。

干す数。

蘇の扱い。

期の注

ページの最

さな字で。

〈亜美ちゃんへ〉

とあった。

亜美は病でそのページを読んだ。

雅は飯をわせれば嫌が直ります。太もたぶん同じです。でも、あんたはべさせるばかりで、自分がべるのを忘れそうだから、自分の分もちゃんと握りなさい〉

亜美は。

泣きながら笑った。

「最まで配されてる」

祖母も。

し笑った。

「おさんは昔から細いから」

「今は普通です」

「まだ細い」

雅君よりはみんな細いです」

「おい」

に。

さな笑い声が広がった。

その

祖母は眠るようにくなった。

95歳。

葬儀の

亜美は。

族席のろに座ろうとした。

母が腕を掴んだ。

「どこくの」

「え?」

「こっち」

「でも私、親戚じゃ」

父が言った。

「何うちで飯ったとってんだ」

祖父はもう何くなっていた。

それでも。

族の席には。

祖母が残した所があるような気がした。

亜美は。

俺の隣に座った。

葬儀が終わった夜。

族だけで。

さな卓を囲んだ。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: