"特大おにぎりの恩返し" 第13話
あの。
俺は。
自分の昼飯を2個失った。
帰りでは。
腹が鳴りっぱなしだった。
それでも。
議と悔はなかった。
むしろ。
しだけ誇らしかった。
当の俺は。
それを恋だとった。
たぶん。
恋でもあった。
でも。
今なら。
それだけではなかったと分かる。
緒にべる。
分ける。
同じ卓へ座る。
それだけで。
誰かをぼっちにしないことができる。
そのことを。
俺はあの。
初めてったのだ。
。
太の学でがあった。
今度は学4。
俺と亜美が会った頃と同じになっていた。
の夜。
「弁当何がいい?」
と聞く。
太は。
迷わず答えた。
「梅干しおにぎり」
「は?」
「唐揚げ」
「卵焼き?」
「いる」
「ウインナー?」
「いる」
「イチゴ?」
「いる」
俺は笑った。
「お、全部じゃねえか」
「だって全部好きだもん」
昔。
太が1ので。
同じことを言った。
子供は。
いつのにかきくなる。
翌朝。
亜美は。
特おにぎりを3個入れた。
「くない?」
俺が言う。
「個は予備」
「何の」
「何かあったの」
そのが分かった。
「ばあちゃんも、そうだったのかな」
「何が?」
「俺に4個も5個も持たせてたの」
本当に。
俺がいしん坊だったからだけなのか。
もしかしたら。
つくらい。
誰かへ分けてもいいように。
祖母はめに握っていたのかもしれない。
今となっては。
聞けない。
「静さんならありそう」
亜美が言った。
「でも雅君、全部でべる予定だったでしょ」
広告
「うるさい」
夕方。
太が帰ってきた。
弁当箱は。
空だった。
「全部った?」
「うん」
しを置いて。
「個は友達と半分こした」
「なんで?」
「そいつのおにぎり、転んで落としちゃったから」
虐待でも。
貧困でも。
い事でもなかった。
ただ。
転んで。
弁当を落とした。
それだけ。
「そいつ、何て言った?」
太は靴を脱ぎながら。
笑った。
「でかっ、って」
俺と亜美は。
同に吹きした。
夜。
堂を閉め。
へ戻った。
太は宿題を終えるにソファで寝ていた。
亜美が毛布をかける。
俺は台所から。
残っていた梅干しおにぎりを持ってきた。
「う?」
「こんなに?」
「半分」
「太るよ」
「昔はガリガリだったんだからしくらいいいだろ」
「20の話を基準にしないで」
そう言いながら。
亜美は半分受け取った。
で。
縁側へ座る。
の夜。
庭から虫の声。
空には。
亜美がべる。
「おいしい」
「ばあちゃんの?」
「違う」
「亜美の?」
亜美は。
し考えた。
「うちの」
その言葉が。
番しっくりきた。
俺の祖母のだった。
それを。
亜美が覚え。
太がべ。
堂の子供たちもべる。
誰のものか。
もう分ける必はない。
族の。
堂の。
帰ってきたが。
腹いっぱいになる。
俺は。
おにぎりの残りをべた。
酸っぱい。
相変わらず。
ししょっぱい。
でも。
うまい。
「なあ、亜美」
「何?」
「のさ」
「うん」
「俺、本当は最初、個しかやるつもりなかったんだぞ」
広告
「ってる」
「おがもう個欲しいって言うから」
「言ってないよ」
「言った」
「雅君が勝にくれた」
「絶対言った」
「記憶改ざんしてる」
「してない」
しばらく言いい。
最は。
とも笑った。
20以。
俺は。
特おにぎりを渡した。
たったそれだけだった。
その個が。
亜美を救ったなどと。
今ではわない。
のが。
おにぎりつで変わるほど。
現実は単純ではない。
学の先がいた。
祖母がいた。
両親がいた。
亜美の祖父母がいた。
政のがいた。
その。
亜美自が頑張った。
たくさんのが。
しずつを伸ばした。
だから。
亜美は。
ここまで来た。
ただ。
最初の歩が。
もしあったとすれば。
あの。
ので。
「緒にべよう」
と言ったことだったのかもしれない。
助ける。
救う。
支える。
子供だった俺は。
そんな派な言葉をらなかった。
ただ。
4個あるから。
個やる。
それだけだった。
そして。
それで分なもある。
翌朝。
俺が会社へようとすると。
玄関で亜美に呼び止められた。
「雅君」
「何?」
さな包みを渡される。
「昼ご飯」
「弁当あるって言ってなかった?」
「今は会議続きでしょ。またべない気がするから」
けてみる。
梅干しおにぎり。
特。
2個。
「い」
「個余ったら誰かにあげて」
亜美が笑った。
その顔を見て。
俺も笑った。
「分かった」
会社へ着いた。
午の会議が引き。
昼休みになっても。
現から話。
結局。
13を過ぎてようやく自分の机へ戻った。
おにぎりを取りす。
個目をべ終えた頃。
事務所の入から。
広告
おすすめ作品
-
連載中第7話
20億追放妻の封筒逆転
斎藤グループ創業家の長男と結婚して5年。跡継ぎを望まれながらも子どもに恵まれず、結菜は義実家の視線に耐え続けていた。 そんなある日、夫の愛人が妊娠したことを知らされる。しかも相手の女性は双子を身ごもっていた。義父母は結菜に離婚合意書を差し出し、20億円と引き換えに日本を出るよう命じる。 家族だと思っていた場所から、金で追い出されることになった結菜。だが署名の直前、彼女は誰にも言えない“ある事実”を知る。 何も告げず海外へ渡った結菜と、愛人との結婚式を迎えようとする元夫。 すべてが斎藤家の思い通りに進むはずだったその日、式場に一通の封筒が届く。 そこに記されていた真実が、夫と愛人の未来、そして斎藤家の後継者計画を静かに崩していく――。因果応報|人生逆転|不倫1.1萬字5 10 -
完結第13話
吹雪の一杯
夫が遺した山あいの温泉旅館「灯里館」を、一人で守り続けてきた70歳の富美子。 しかし返済期限まで残り三ヶ月。1500万円の借金を抱え、親族や開発会社からは「もう旅館を売れ」と迫られていた。 そんなある吹雪の夜、富美子は雪の中で倒れていた一人の外国人男性を助ける。凍えた彼に差し出したのは、囲炉裏の火と、いつもの味噌汁だった。 ただの親切のはずだった。 だが、その外国人が残した映像をきっかけに、灯里館には世界中から予約が殺到する。さらに、旅館を買い取ろうとする開発会社が本当に狙っていたもの、そして亡き夫が密かに守ろうとしていた“山の秘密”が少しずつ明らかになっていく。 夫は本当に旅館を売ろうとしていたのか。 なぜ死後の日付で、夫の署名が残されていたのか。 消えかけた囲炉裏の火が、富美子の人生をもう一度動かし始める――。因果応報|人生逆転1.9萬字5 592 -
完結第10話
消えた金づる夫
妻と娘が、妻の浮気相手とハワイ旅行へ出発する朝。 山中敏文は、玄関で笑いながら荷物を確認する2人を黙って見送っていた。妻の裏切りも、娘がそれを知りながら母親の浮気相手と親しくしていたことも、すでにすべて知っていたからだ。 「今日でさようならだな。永遠に帰ってこなくていいぞ」 敏文の言葉を、妻はただの嫉妬だと笑い飛ばす。娘もまた、父を見下すような言葉を残して出ていった。 しかしその日こそ、敏文が何か月もかけて準備してきた“最後の日”だった。 2人がハワイで浮かれている間に、家の中から荷物は消え、生活の土台は静かに崩されていく。妻が当然のように帰るつもりだった場所は、もう以前の家ではなかった。 帰国後、空っぽの部屋で妻が知ることになる真実。 そして、金づるだと思っていた夫が本気で消えた時、彼女たちの人生は一気に崩れ始める――。人生逆転|夫婦|不倫1.5萬字5 1939 -
完結第13話
25年目の自白状
1982年、群馬県安藤市。雑貨店を営む佐藤大吾の9歳の息子・健二が、雨で増水した川のそばで姿を消した。 現場には健二の運動靴が残され、下流では赤い帽子も見つかった。警察は川への転落事故と判断するが、大吾だけは納得できなかった。あの日、黒い車に乗せられた赤い帽子の少年を見たという証言があったからだ。 しかし捜査は進まず、妻の三重子も「私には選択肢がなかった」という謎の言葉を残してこの世を去る。 息子も妻も失った大吾は、それでも25年間、健二の部屋をそのまま残し、帰りを待ち続けた。 そして2007年、差出人不明の黄色い封筒が届く。 そこに書かれていたのは、たった一文。 「あなたの息子は、自分のものではない人生を生きました。」 25年前の川の事故、東京へ消えた黒い車、妻が抱えていた秘密。 すべてがつながった時、父は息子が奪われた本当の理由を知ることになる――。ミステリー|真相|行方不明1.9萬字5 327 -
完結第12話
泥まみれの客と黒塗り5台
土砂降りの夜、タクシー運転手の佐藤美咲は、泥だらけで道端に立ち尽くす1人の老人を見つけた。 他のタクシーは、車が汚れることを嫌って次々と通り過ぎていく。中には、老人をあざ笑い、泥水まで浴びせて走り去る運転手もいた。 月末までにノルマを達成できなければクビ。幼い娘の手術を控え、仕事を失うわけにはいかない美咲も、一瞬だけ迷った。 それでも彼女は車を止める。 「シートなんて洗えばいいんです」 そう言って老人を乗せ、傘を差し、温かい缶コーヒーを手渡した。 しかし翌朝、美咲を待っていたのは、汚された車両と突然の解雇通告だった。 泣き崩れる彼女の前に、5台の黒塗りの車が営業所へ現れる。 昨日の泥だらけの老人は、いったい何者だったのか。 たった1本の缶コーヒーが、彼女の人生を大きく変えていく――。因果応報|人生逆転1.8萬字5 1832 -
完結第12話
200円の家族
23歳の大学生・高橋翔太は、感情を捨てたように生きていた。 友人の誘いも断り、食事も会話もすべてを「合理的かどうか」で判断する日々。そんな彼が、ある日ファミレスで会計できずに困っている母子と出会う。 所持金は300円。小さな娘を連れた母親は、夫に貯金を持ち逃げされ、住む場所さえ失っていた。 翔太は不足分の200円を支払い、さらに母子を自分の部屋へ連れて帰る。最初はただの合理的な判断。そのはずだった。 しかし、温かい手料理、少女の「ありがとう」、そして夜中に聞こえた小さな泣き声が、5年間閉ざしていた翔太の心を少しずつ揺らしていく。 なぜ彼は笑わなくなったのか。 なぜ「感情は判断を誤らせる」と言い続けるのか。 助けたはずの母子との出会いは、やがて翔太自身が封じ込めてきた過去を呼び覚ましていく――。因果応報|人生逆転1.9萬字5 912 -
完結第13話
16回の拒否
62歳の黒田正は、退職後に始めた一眼レフを手に、地域のハイキングサークルへ参加していた。 「嫌がる人ほど、綺麗に撮ってあげたいんですよ」 そう笑う黒田は、自分の写真が人を喜ばせるものだと信じていた。けれど参加者の高橋みさ子は、何度もはっきり伝えていた。 「SNSには載せないでください」 名前を出さなければいい。綺麗に撮れていれば問題ない。サークル内だけなら大丈夫――黒田はそう考え、みさ子の拒否を自分に都合よく解釈し続ける。 やがて、本人の知らないうちに撮られた写真はSNSへ投稿され、サークルの外にまで広がっていく。 削除しても、もう消えなかったもの。 そして次の集合場所で、みさ子は静かに告げた。 「私は、同じことを16回言いました」 写真の出来ではない。善意かどうかでもない。 「やめてください」という一言を、本当に聞けなかった男が失ったものとは――。人生逆転|修羅場2.0萬字5 123 -
完結第13話
消えた御曹司と500万の罠
高卒で、施設育ちで、ただの運転手。 橋本悠人は、恋人からそう見下され、父親になる資格さえ否定された。自分の過去も家族も分からない彼に残っていたのは、ただ真面目に働くことだけだった。 そんなある日、財閥会長・田中健造の専属運転手を任された悠人は、車内でかかってきた海外からの緊急電話に、とっさにスペイン語で応対してしまう。 習った覚えのない言葉。 なぜか知っていた金庫の暗証番号。 初対面のはずなのに、彼を見て泣き崩れた会長夫人。 20年前に失われた会長の息子と、記憶を失った運転手。 偶然にしては重なりすぎる謎の先で、悠人は自分が本当は誰なのかを知っていく。 しかし、その真実を誰よりも恐れる人物が、彼を静かに消そうとしていた――。人生逆転|第二の人生1.9萬字5 552 -
完結第11話
追放母の25億売却
お盆のため、長崎から東京の息子夫婦のペントハウスを訪れた田中春江。 亡き夫に手を合わせ、息子の好物を詰めた重箱を抱え、半日かけて上京した彼女を待っていたのは、温かな家族の食卓ではなかった。 嫁・里奈は春江の手料理を目の前で捨て、安いホテルの予約票を差し出す。さらに息子夫婦は、自分たちが旅行へ行く間、愛犬の世話だけを春江に押しつけようとしていた。 長年、息子のために働き続け、すべてを与えてきた母。だがその日、春江はようやく気づく。 自分は家族として呼ばれたのではない。ただ都合よく使われるために呼ばれただけだった。 その夜、春江は20年以上連絡を取っていなかった“ある人物”に電話をかける。 翌日、息子夫婦が暮らしていた天空の城は、静かに動き始めた――。人生逆転|親不孝|親子関係1.6萬字5 3419 -
完結第9話
喪服の隠し子
病弱だった妹・ユキが、結婚からわずか2年で突然この世を去った。 最愛の妹を見送る葬儀の最中、姉のサチは偶然、妹の夫・タクが誰かに電話している声を聞いてしまう。 「子供は大丈夫だ。バレてない」 ユキとタクの間に子供はいない。けれど亡くなる直前、ユキは確かにサチへ何かを伝えようとしていた。 「実家……子供がいる……」 妹が最後に残した謎の言葉。葬儀中に聞いた夫の不審な電話。そして、誰もいないはずの義実家にいた若い女性と幼い子供。 全てがつながった時、サチは初めて知る。 妹はただ病に倒れたのではない。夫とその家族に、何年も残酷な秘密を隠され続けていたのだ。 妹が最後まで伝えようとした真実を暴くため、サチは静かに動き出す。因果応報|人生逆転1.3萬字5 3834