"床下の学級日誌" 第4話
「今きます」
理子はちがった。
そのの最終便は午6過ぎ。
にう。
「先」
は呼び止めた。
理子は振り返った。
「気をつけて」
それしか言えなかった。
理子はさく笑った。
「はい」
駐所をて。
桟の方へ歩いていった。
午6。
港のくで遊んでいた健太たち数は。
理子の姿を見つけた。
そのには美もいた。
に帰りたくなくて、での方へ来ていたのだ。
そして。
子どもたちは。
理子とは別の男が。
桟へ向かって歩いていくのを見た。
島田浩。
美の義父だった。
「お父さん……」
美の顔が青ざめた。
理子も男に気づいた。
を止める。
浩はでづき。
理子のへった。
「先」
い声だった。
「何しようとしよる」
理子は黙った。
「駐んとこったらしかね」
島では。
秘密はよりく広がる。
誰かが浩に伝えたのだろう。
「あんた、うちのこと嗅ぎ回りよるらしかな」
「美ちゃんに何をしているんですか」
理子は逃げなかった。
「よそののことにしするな」
「学の子どものことです」
「じゃ俺の子や」
「だから傷つけていいんですか?」
浩の顔が歪んだ。
健太たちは。
積みげられた漁具のから見ていた。
怖くて。
声がなかった。
「私は本へきます」
理子は言った。
「児童相談所に全部話します」
「やめろ」
「やめません」
「先!」
「美ちゃんを、これ以あなたときりにしません」
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浩のが。
理子の肩をつかんだ。
理子は振り払った。
「触らないでください」
そして。
次の瞬。
浩がく突きばした。
理子の体がろへよろめく。
濡れた桟。
が滑る。
理子の部が。
造りの係柱の角へぶつかった。
鈍い音がした。
理子は。
そのままかなくなった。
「先……」
美のから声が漏れた。
浩が振り返る。
漁具の。
子どもたち。
目がった。
健太は。
今でも。
そのの男の目を忘れられない。
っているのではなかった。
恐れていた。
自分がしたことを。
子どもたちが見ていたことを。
浩は。
ゆっくりづいてきた。
「おら」
誰もけない。
「今見たこと」
い声。
「誰にも言うな」
美が泣き始めた。
「先……」
「黙れ!」
浩が鳴った。
「言うたら、おらの族も、この島におられんようになるぞ」
子どもにとって。
島は世界そのものだった。
学も。
族も。
友達も。
墓も。
全部ここにある。
「分かったな」
健太は。
頷いてしまった。
ほかの子も。
泣きながら頷いた。
その瞬。
11歳の健太は。
消えない悔を。
自分のに作った。
理子が宿へ戻らなかったことが分かったのは、そのの夜8を過ぎてからだった。
宿先の老夫婦は最初、誰かので話し込んでいるのだろうとっていた。島では夕飯に呼び止められ、そのまま数帰ってこないことなど珍しくない。しかし9になっても階の部に灯りがつかず、老夫婦はになった。
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分へっても。
理子はいなかった。
机のには翌の授業案が広げられ、赤いペンもしたままだった。
まるで。
し席をしただけのようだった。
駐所のが島の男たちへ声をかけた。
懐灯を持った々が、浜、畑、空き、崖沿いのを探した。島で「先!」「藤野先!」という声が響いたが、返事はなかった。
子どもたちは。
ので震えていた。
健太は布団へ入っても眠れなかった。
桟に倒れた理子。
浩の声。
――誰にも言うな。
何度もに浮かんだ。
「健太、何からんと?」
母親に聞かれた。
「らん」
嘘をついた。
初めて。
先のことを。
見捨てるような嘘を。
翌朝。
理子の宿を詳しく調べたは、奇妙なことに気づいた。
赴任に持ってきた茶のボストンバッグがなくなっていた。
も数着消えていた。
さらに。
財布。
通帳。
印鑑。
それらも見つからなかった。
「先、自分でていったんやろか」
誰かが言った。
午9過ぎ。
桟で。
のスカーフが発見された。
理子が肌寒いにいつも巻いていたものだった。
は濡れたスカーフをに。
のを眺めた。
最終便に乗った記録はない。
だが。
翌朝の始発でた能性はある。
荷物をまとめ。
桟まで来て。
スカーフを落とした。
そう考えれば。
応の筋は通る。
本から警察も来た。
島民への聞き込みが始まった。
「藤野先に悩みは?」
「誰かと揉めていた?」
「最、変わった様子は?」
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