"床下の学級日誌" 第11話
「先」
もう度呼んだ。
理子は議そうに見ている。
「賀です。健太です」
反応はない。
「相島の分で、先に教えてもらってました」
理子の線が。
し揺れた。
健太は。
何を話せばいいのか分からなくなった。
10。
言いたいことはほどあった。
謝りたい。
会いたかった。
先は逃げていなかったと。
みんなに伝えると約束したい。
なのに。
目のにいると。
言葉がない。
「先」
涙が落ちた。
「ごめんなさい」
職員が。
そっと部をた。
健太は。
鞄から。
黒い万を取りした。
から。
10ぶりにてきたもの。
正式な続きを経て。
元確認のため。
に持ちす許を得ていた。
「これ」
理子の掌へ。
そっと置く。
「先のです」
理子は。
万を見た。
指が。
ゆっくりく。
軸をなぞる。
キャップ。
具。
刻まれた。
《藤野理子》
自分の名。
理子の眉が。
わずかに寄った。
そして。
が。
自然なきで。
万を持ち直した。
教師だった頃。
毎。
何百回もした。
持ち方。
健太は。
息を止めた。
「先?」
理子の指が。
震えた。
目から。
涙が滴落ちた。
記憶が。
戻ったわけではなかった。
「健太」
と呼んだわけでもない。
相島を。
いしたわけでもない。
それでも。
10。
ほとんどを表へさなかった女性が。
自分の万を握り。
泣いていた。
健太は。
そのを。
両で包んだ。
「先」
涙を拭くこともせず。
言った。
「俺、刑事になりました」
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理子は見ている。
「先の誌に」
声が震える。
「俺はいいになるっていてあった」
笑おうとした。
うまく笑えなかった。
「全然なれてません」
理子の目元が。
ほんのし。
柔らかくなった。
「10もかかりました」
健太は続けた。
「でも、先が逃げたんじゃないって分かりました」
「先は、美を守ろうとしてた」
理子の指が。
わずかにいた。
健太は。
気づいた。
「美」
もう度言った。
理子の表が。
ほんのし変わった。
「美ちゃん」
唇が。
震える。
声にはならない。
それでも。
何かが。
そこにあった。
数週。
理子の元は。
正式に藤野理子と確認された。
当の族にも。
連絡がった。
両親はすでにくなっていた。
兄は。
妹がきていたとり。
話でしばらく声をせなかったという。
そして。
相島にも。
真実が伝えられた。
浜乃の澄は。
健太から聞いた瞬。
子に座り込んだ。
「きとった?」
「はい」
「先、きとったと?」
「はい」
澄は。
顔を両で覆った。
「よかった……」
何度も。
同じ言葉を繰り返した。
「私は信じとった」
泣きながら。
笑った。
「先が島捨てるはずなかって。ずっと信じとった」
にも。
健太が直接らせた。
老は。
話の向こうで。
い。
何も言わなかった。
やがて。
「そうか」
言。
それから。
「きとったか」
声が震えた。
翌。
は。
の見える防波堤から。
相島へ向かい。
でをげたという。
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島田浩は。
すでに数。
病気でくなっていた。
刑事責任を問うことはできなかった。
それでも。
理子の失踪について。
警察は改めて記録を修正した。
《自発失踪》
ではなく。
暴を契とした。
元状態での期保護。
なくとも。
藤野理子が。
借や恋問題から逃げるため。
子どもたちを捨てたという。
10の誤解は。
ようやく消えた。
翌の。
施設のに。
11の男女が集まった。
かつて。
相島分で。
つの教に机を並べていた。
子どもたちだった。
漁師になった達也。
結婚して児の母になった美。
福岡内で会社員をしている介。
そして。
刑事になった健太。
全員が。
30歳にもならない。
まだ若いだった。
それでも。
その部へ入る直。
誰もが。
学のように緊張していた。
「入るぞ」
健太が言う。
「うん」
扉をける。
窓辺に。
理子がいた。
「先」
が。
声を詰まらせた。
理子が振り向く。
11全員を。
覚えているわけではない。
名も。
顔も。
いせない。
それでも。
誰も構わなかった。
「先、達也です」
「美です」
「先、俺、あの番さかった介」
ずつ。
自己紹介した。
まるで。
1995の。
先が。
島へ来たに。
自分たちがしたように。
そして。
最に。
美が入ってきた。
いブラウス。
紺のスカート。
護師の仕事を終えて。
そのまま来た。
理子のへ。
ゆっくり歩く。
「先」
声が。
すぐに震えた。
「美です」
理子の目が。
美を見た。
「先が、守ろうとしてくれた美です」
涙が。
美の頬を伝った。
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