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"実印を押さない母" 第7話

その言が、番効いた。

佳代子は息子を見た。

「細かくしなかったから、こうなったんでしょうね」

「どういう?」

「あなたたち、最初半って言ったの覚えてる?」

は黙った。

活費5万円だったのも?」

「収入減ったって言っただろ」

を買うために貯めたいとも言ったね」

「そうだよ」

「今、を買うおは貯まったの?」

は目を逸らした。

佳代子は追及しなかった。

代わりに聞いた。

「名義変更したあと、私が75歳になったら、どうする予定?」

の表が変わった。

「何それ」

「サってってる?」

完全に止まった。

佳代子はそこで分かった。

プリンターのは、直っている。

「母さん、何見た?」

「何を?」

「美のパソコンとか見たの?」

「見てないよ」

「じゃあ何で」

「そういう計画があるの?」

がった。

「今そんな先のこと決めてないよ」

「でも考えてはいる?」

「普通考えるだろ。母さんだっていつまでもこのじゃ無理になるかもしれない」

「あなたたちと緒ならじゃないでしょう?」

は答えなかった。

佳代子は胸ので何かが静かに落ちた。

に残っていた期待だったのかもしれない。

世帯としてずっと緒に暮らす。

なくとも、直の説ではそうだった。

しかし実際には、名義が直へ移ったあと、自分がここにみ続けられる保証など何もない。

「母さんさ」

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し苛った声になった。

「別に追いすとかじゃないんだよ。必になったら、ちゃんといい施設探すってこと」

「誰が必だって決めるの?」

「そのの状況だろ」

「私?」

「みんなでだよ」

みんな。

そので、佳代子自の声がさくなる未来が見えた。

「とにかく、名義はめに理した方がいいよ」

は続けた。

「どうせ俺が相続するんだから」

佳代子は静かに聞いた。

「いつ?」

「何が」

「相続」

「母さんがくなったらだろ」

「そうね」

佳代子は頷いた。

「じゃあ、まだ先ね」

の顔が固くなった。

「縁起でもない話してるんじゃないよ」

「あなたがしたんでしょう」

しばらく沈黙があった。

は何も言わず部た。

翌朝、美は佳代子と目をわせなかった。

しかし杏奈だけは、学さな声で言った。

「ばあば、昨パパと喧嘩した?」

「ちょっと話しただけ」

「パパ、最の話ばっかりだね」

佳代子は孫の顔を見た。

「杏奈はこの好き?」

「好き」

「そう」

「でもママ、しいキッチンの方が好きだとう」

佳代子は笑った。

は、っている以によく見ている。

「ばあば、どっかくの?」

突然聞かれた。

佳代子は驚いた。

「どうして?」

「ママとばあばのお部の話してた、ばあばいなかったから」

「何て?」

杏奈は言っていいか迷っていた。

佳代子は無理に聞かなかった。

「言いたくなかったらいいよ」

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杏奈はし黙ったあと、言った。

「ママが、ばあばがもっと歳取ったら、駅のくのところの方がって」

「そう」

「私、ばあばにいてほしいけど」

佳代子は笑った。

「ありがとう」

それ以は言わなかった。

子どもをの争いへ入れるつもりはなかった。

その、佳代子は以相談した弁護士へ再び連絡した。

今度は役所の無料相談ではなく、正式に事務所へ予約を取った。

し、やりたいことが決まりました」

話でそう言った。

翌週、弁護士と司法士を交え、佳代子は今の選択肢を理した。

を維持する。

息子と使用条件を決めてみ続ける。

を売る。

自分だけ引っ越す。

何を選んでも、まず名義を移す必はない。

佳代子は最に聞いた。

「息子たちにてもらうことはできますか」

弁護士は慎に説した。

同居の経緯、賃契約の無、活費の扱いなどを確認する必があり、今言って追いせる話ではない。ただし所者が佳代子であり、正式な賃貸借契約を結んでいるわけでもない以順を踏んで話しう余分ある。

「追いしたいんですか?」

聞かれた。

佳代子はし考えた。

「まだ分かりません」

そして続けた。

「でも、ていってもらえるとったら、初めてちゃんと考えられる気がするんです」

選べないとっていたには、するしかなかった。

てもらうこともできる。

自分がることもできる。

売ることもできる。

選択肢があるとっただけで、の空気がし変わって見えた。

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