"捨てた料理の代償" 第2話
とにした。すると杏奈は待っていましたと言わんばかりにを叩き、何の迷いもなく兄へ顔を向けた。
「じゃあ、お兄ちゃんたちが引き取ってよ」
「……俺たちが?」
「うん。お兄ちゃんたち真面目だし、奈々子さんも母さんと仲いいじゃん。うちは無理だから」
翔太まで「それが番丸く収まるっすよ」と笑った。本の目ので、自分たちには引き取るつもりがないと当然のように言われた美智子さんは、「私はで丈夫よ」と困ったように線を落とした。その姿を見ていると、同居そのものより、義母にこんな顔をさせるへのりの方がきくなった。
「お母さんが嫌でなければ、私たちと暮らしませんか」
私は美智子さんのを握った。敬吾もすぐに頷き、「もともと将来はそういうことも考えてたしな」と続けてくれた。美智子さんは何度も「本当にいいの?」と確認したけれど、私たちに迷いはなかった。
その横で杏奈はほっとした顔をした。
「よかったあ。私たち、本当に引き取る気なかったから」
その言葉を聞いた瞬、私ので何かが静かにめた。本に聞こえる所で平気でそんなことを言えると、から族として付きうことはできない。敬吾も同じだったらしく、杏奈夫婦が帰ったあとで、「あいつらとは必以に関わらない方がいいな」
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と疲れたように言った。
数週、美智子さんは私たち夫婦と暮らし始めた。み慣れたをれさせるより、私たちが義実へ移る方がいいと考え、敬吾と私が荷物を持って移った形だった。最初は慮ばかりしていた義母も、で卓を囲む常にしずつ慣れ、表もるくなっていった。
ただし、私たちにはつきな誤算があった。
杏奈にとってそのは、「母親が暮らす実」から「けば夕が用されている便利な」へ変わったらしい。
「お母さん、今の夕飯って何?」
あるの夕方、玄関の鍵が突然き、杏奈が当たりのように入ってきた。インターホンを鳴らすこともなければ、事に連絡を入れることもない。美智子さんが台所から顔をして、「来るなら連絡しなさいって言ってるでしょう」と注しても、杏奈は悪びれもしなかった。
「だって実じゃん。自分のに帰るのに連絡なんかいる?」
そう言いながら杏奈は鍋の蓋をけ、そのの夕を確認した。美智子さんが暮らしをしていた頃は、普段の事が質素だったこともあって、杏奈が頻繁に帰ってくることはなかったらしい。ところが私たちとの同居が始まり、毎きちんと夕を作るようになると、週に度、いには週に度ほど顔を見せるようになった。
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さらに困ったことに、夕になると確率で翔太までやってきた。とも事代を払うことはなく、器を運ぶことも片づけることもせず、べ終わるとソファに座ってテレビを見るかスマートフォンを触っている。美智子さんが何度注しても、「族なのに細かいこと言わないでよ」と杏奈が笑って終わりだった。
敬吾も最初の頃は、「妹なんだから飯くらいはいいだろ」としていた。しかし問題は事だけでは終わらなかった。ある、翔太が夕にテーブルへ肘をつき、まるでジュースでも頼むような軽さで美智子さんへ言った。
「お義母さん、ちょっと10万くらい貸してくれない?」
美智子さんのが止まった。理由を聞けば、翔太は料にパチンコで負け、クレジットカードの支払いがりなくなったのだという。返済について聞かれても、「来には何とかなるとう」と曖昧で、そもそもにも数万円を借りたまま返していなかったことまで、その初めて分かった。
「翔太君、に借りた分はどうしたの?」
私が尋ねると、翔太は面倒そうに目を細めた。「族なんだから、そこまできっちりしなくてもいいじゃないですか」と笑い、美智子さんに向かって「娘の旦なんだからじゃないっしょ」と言った。その瞬、敬吾の顔から完全に笑みが消えた。
「いい加減にしろ。ここはおのATMじゃない」
普段あまり声を荒げない敬吾がい調になったため、杏奈も翔太も瞬黙った。
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