"退職祝いは離婚届" 第3話
だから老にができてから、夫婦でゆっくりすればいいと本気で考えていた。
真由美も同じだとっていた。
妻がいなくなって週目。
俊夫は初めて洗濯の説を読んだ。
操作自体は難しくなかった。洗剤を入れ、コースを選び、ボタンを押せばいいだけなのに、柔剤をどこへ入れるのか分からず、最初の回は洗濯物が妙にごわついた。
事も面倒だった。
現役代なら昼は会社でべ、夜は帰れば用されていた。退職の自分にはすべて、自分で決める必がある。
最初のはした。
目には飽きた。
スーパーで弁当を買い、へ戻ってべると、卓が妙に広くじた。
「いな」
独り言を言った。
誰も返事をしない。
真由美なら「血圧いから、それくらいでいいの」と言っただろう。
その言葉まで聞きたいとった自分に、俊夫はし腹がった。
週、彩が来た。
34歳になった娘は、結婚して横浜にんでいる。母から別居の話を聞いていたらしく、玄関へ入るなり父親を見てため息をついた。
「お母さん、本当にたんだ」
「おってたのか」
「曇野くのはってた」
俊夫は声を荒らげた。
「何で俺に言わなかった」
彩は静だった。
「お母さんに言わないでって言われたから」
「娘なら止めろよ」
「何で?」
俊夫は言葉に詰まった。
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「夫婦だぞ」
「だから夫婦で話せばよかったじゃん」
娘の調が妙に母親に似ているのが癪に障った。
「母さん、何か男でもいるのか」
言った瞬、彩の顔が変わった。
「最」
「能性聞いただけだろ」
「お父さん、お母さんが自分の選ぶ理由って、男しかいつかないの?」
俊夫は黙った。
彩は蔵庫をけた。
にはビール、卵、納豆、スーパーの総菜しかない。
「ちゃんとべてる?」
「ってるよ」
「お母さんに連絡した?」
「話ない」
「メッセージは?」
「戻ってこいって送った」
彩は蔵庫のドアを閉めた。
「それ、連絡じゃなくて命令じゃん」
俊夫は腹がった。
「俺が何したっていうんだ」
彩はしばらく父親を見た。
「たぶん、それが番駄目なんだとう」
「何が」
「何もしてないとってること」
その、彩は夕を作らず帰った。
以なら、娘が来れば何か買ってきたり、蔵庫を理したりした。真由美に頼まれていたのだろうと俊夫は勝にっていたが、今は本当に何もしなかった。
夜。
俊夫は押し入れから古いアルバムをした。
結婚当初。
幼い彩。
父の葬儀。
運会。
族旅。
写真のに真由美はたくさんいた。
しかしよく見ると、真由美の写真はなかった。
撮っていたのが真由美だからだ。
族写真でも、俊夫と彩だけのものがい。
いつも妻はカメラのにいた。
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アルバムの最の方から、枚のパンフレットが落ちた。
。
。
の流氷ツアー。
発を見る。
2003。
23だった。
裏に真由美の字で、
《彩が入ったら?》
といてある。
俊夫はく見た。
そんな話をされた気がする。
自分は何と答えたのだろう。
たぶん、
「その頃忙しいから、また今度」
だった。
その夜初めて。
俊夫は、自分が何度「また今度」と言ったのかを考えた。
数えられなかった。
真由美がみ始めた曇野のは、築50を超える平だった。くなった伯母がで暮らしていたため、台所も浴も古く、になれば隙が入るようなだったが、縁側からアルプスの並みが見えた。
伯母がくなったあと、従姉妹の良子は京にがあるため処分したがっていた。真由美が「私が使いたい」と言うと、良子は驚きながらも、維持費を負担するなら好きにしていいと持分を譲ってくれた。
真由美は半からしずつ準備していた。
それを俊夫はらなかった。
具を処分し、元のに回りの修理を頼み、所のさな堂で週働く話まで決めていた。
その堂を営むのは、代の同級である川由紀だった。夫を10にくし、元野菜を使った昼をすさなをで切り盛りしている。
「本当に来たね」
真由美が初勤した、由紀は笑った。
「来るって言ったでしょう」
「どうせ旦さんに止められるとってた」
「言ってないから」
「それ婚になるよ」
「なりそう」
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