"飛騨の農家に消えた嫁" 第10話
方、弁護側は計画な犯ではなかったと主張した。
論の最に起きた突発な為だったこと。
犯当からが経っており、被告が齢になっていること。
体調が悪化していること。
そうした事を酌むよう求めた。
審理のでは、の活も改めてらかにされた。
ゆき子が結婚、実へ自由に帰れなくなっていたこと。
子供ができないことを繰り返し責められていたこと。
4000万円の借問題。
夫の健が父親へ逆らえず、妻を分守らなかったこと。
そしてゆき子が失踪した、という説がそのままへ定着していったこと。
証として呼ばれた伊藤は、法廷でゆっくりと話した。
「ゆき子さんは、本当に懸命やっていたんです」
声が途で震えた。
「あの、もっとく私が見たことを言っていたら……」
検察官は、
「あなたに責任があるわけではありません」
と伝えた。
それでも伊藤は俯いたままだった。
本浩も、正午過ぎに聞いた鈍い音と、農のを閉めた蔵の表について証言した。
洗の主は、失踪の1週に蔵が軽トラックを何度も洗わせたことを話した。
甥の茂夫も、
「何も見なかったと言え」
と突然話を受けたことを証言した。
断片だった8の記憶が、法廷ので1つにつながった。
判決の。
傍聴席には、富から来た涼子の姿があった。
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朝番の交通関を乗り継いで到着し、廷よりかなりいから静かに座っていた。
髪が増え、8よりずっとさく見えた。
裁判が判決理由を読みげた。
蔵が自らの社会評価との体面を守ろうとしたこと。
何の罪もないゆき子の命を奪ったこと。
その、期にわたり事実を隠し、遺族へい苦痛を与えたこと。
犯の隠蔽も含め、責任はいとされた。
そして懲役25が言い渡された。
その言葉が法廷へ響いた瞬、涼子はハンカチを顔へ当てた。
声をげて泣かなかった。
ただ肩がさく震えていた。
蔵は被告席で俯いたままだった。
法廷をた涼子は、廊で渡辺と顔をわせた。
渡辺がをげると、涼子は何も言わず両で彼のを握った。
しばらくして、ようやく声をした。
「分です」
それだけだった。
ゆき子の遺骨は、鑑定や捜査必な続きが終わった、富へ戻された。
20038。
涼子はい菊のを抱え、娘を迎えた。
8、から、
「自分からてった」
と言われた娘だった。
何度警察へ話しても、
「しい報はない」
と言われ続けた娘だった。
その娘がようやく、自分のもとへ帰ってきた。
墓には、ゆき子の名が刻まれた。
1968―1995。
27歳で騨のへ嫁ぎ、そののにを断ち切られた女性の名だった。
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涼子は墓のへしゃがみ込み、を置いた。
「帰ってきたね」
さな声だった。
「遅かったけど、帰ってきたね」
返事はなかった。
それでも涼子は、しばらくそのをれなかった。
騨のでは、事件も季節が巡った。
の庭にある柿のは、になるとまた実をつけた。
牛舎からは以と同じように牛の声が聞こえた。
しかしたちが農を見る目は、もう以とは違っていた。
かつて「誠実な畜産農」と呼ばれた男が、その牛舎のすぐ裏で嫁を隠し続けていた。
品評会で賞を受けたも。
へ肉を配った正も。
再婚を祝って50を集めた宴のも。
蔵は、わずか数センチ先の堆肥のに誰がいるのかっていた。
その所へがづけば追い払い、自らを抜いた。
夜になれば1で見にった。
老施設への入居を拒んだ。
れてしまえば、誰かが掘り返すかもしれない。
自分が守らなければならない。
そのいが8、蔵を農へ縛りつけていたのかもしれなかった。
渡辺は事件解決、捜査記録の最のページへい言葉をき残した。
ゆき子は8、堆肥のにいた。
誰も探さなかった。
だが、自ら消えたわけではなかった。
真実は最初から、そこに残っていた。
捜査を終えた、渡辺はもう度だけ農へった。
堆肥のはすでに部分が撤され、鑑識が掘り返した面だけが周囲と違うをしていた。
しれた庭には柿のがあった。
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