みかん小説
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"捨てられた妻の逆転人生" 第5話

そこには、輔が過で経験した「絶体絶命の修羅」の記録が、然とした系列で並べられていた。

創業からが経過した〇〇

との取引をがかりに順調に規模を拡していたカトウ・プレシジョンは、最の経営危に直面した。売割を依していた械メーカーが、飾決算の末に突如として民事再法を申請したのだ。

カトウ・プレシジョンには億円を超える売掛の焦げ付きが発した。

請けへの支払期に迫り、元の流は完全に枯渇した。輔は血になってメインバンクへ駆け込んだが、担当者は酷に首を横に振った。

『加藤社、お気持ちは分かりますが、無担保でのこれ以の追加融資は本部の審査が通りません。このままでは来末の形決済は能でしょう。民事再の申してを検討されたほうがよろしいかとじます』

を追いされた輔は、夜のを彷徨い歩いた。

利貸しにすことすら考え、夜のオフィスで、ロープを見つめて涙を流した。

だが、形決済の期まで残りとなったある朝、奇跡が起きた。

メインバンクの支が直々にカトウ・プレシジョンを訪れ、々とげてこう告げたのだ。

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『加藤社、本部の再審査の結果、カトウ・プレシジョン社の独自の精密微細加技術の将来性が極めてく評価されました。焦げ付き分を全額補填する千万円の緊急融資枠を設定いたします』

を得た輔は、自らの技術力が関を屈させたと信じ込み、祝杯を挙げた。

だが、目のの青いファイルに綴じられていたのは、技術の評価などではなかった。

産根抵当権設定承諾』 『名義条美智子』 『担保物件:京都港区麻布丁目――本邸跡(持分全部)』

さらにそのには、当融庁幹部から美智子へ宛てられた私信が添えられていた。

『美智子様。お母様のご実であるには、旧蔵省代より私ども族がなるご恩を受けてまいりました。美智子様が個資産を担保としてご提供くださる以側も異論を挟む余はございません。速やかに融資を実させます。なお、美智子様のご向通り、ご主には担保提供の事実および当方の関与については切秘匿といたします』

輔の喉から「ひっ」とい引き攣った音が漏れた。

治期より続く旧華族の血筋であり、政財界の奥くに広脈を持つ名輔は美智子の母方の祖父がそのの当主であったことなど、にもらなかった。

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美智子は結婚する際、自らの資産や血筋について切をせず、ただの慎ましい妻として輔の元へ嫁いできたのだ。

美智子は、輔が自らの経営判断の甘さで会社を潰しかけた、自らが受け継いだ広を密かに差しし、夫の過失を完全に覆い隠していた。

輔の脳裏に、融資が決定したの夜の景が残酷なほど鮮に蘇る。

あの夜、輔は級料亭で酔し、美智子の待つ自宅へと転がり込んだ。

『おい美智子、見たか! の支が俺にペコペコげてを貸してきたぞ! これが男の器量だ! おみたいにで呑気に噌汁作ってるだけの女には、このスケールのきな仕事の醍醐分からんだろうな!』

輔は美智子の顔のに札束を投げつけたのだ。

美智子はその、どんな顔をしていただろうか。

るでもなく、軽蔑するでもなく、ただ静かにに散らばった札束を揃えてテーブルに置き、

『本当によかったわね、あなた。これで社員の皆さんもできますね』

と、輔の額にたい濡れタオルをそっと当ててくれたのだ。

輔は激しい吐き気を催し、胃のあたりをく押さえた。

輔の全汗でびっしょりと濡れ、指先は氷のようにたくなっていた。

彼は狂気に駆られたように、残りのページをめくり続けた。

めくるたびに、輔が自分の「性のビジネスセンス」「鋭い嗅覚」「屈の営業魂」だと信じて疑わなかったの栄が、枚ずつ無残に剥ぎ取られていく。

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