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完結第10話
夜勤明けに締め出された私――15分後の「さようなら」
夜勤を終えた看護師の柏木真由が帰宅すると、自分の鍵が使えなくなっていた。「頭が冷えたら謝りに来ればいい」。義母が求めるのは、夜勤前に料理の準備を断ったことへの謝罪。家の中にいる夫まで、締め出しに賛成していた。7年間、毎月10万円を家に入れ、仕事と家事を続けてきた真由は、玄関に立って15分後、謝る代わりに別れを告げる。それでも夫が気にしたのは、その日の夕飯だった。新しい住まいを確保し、やり取りを残すうち、夫があの朝の休暇を申請したのは7日前だったと分かる。なぜ、夫は口論より前に休みを決めていたのか。真由は、家の持ち主である義父へ連絡する。家族のつもりで暮らしていたのは、自分だけだったのか――。嫁姑1.6万字5 917 -
完結第16話
姉の代わりに嫁いで6年――総支配人夫人の姉と再会した日
姉が断った縁談を押しつけられ、三倉冬馬と結婚した紗和。相手は社員4人の小さな会社を営み、800万円の借入れを抱えていた。家族の援助もなく始まった結婚生活から6年。夫婦で訪れた高級ホテルで、総支配人夫人となった姉・瑞穂に再会する。「本当にあんたに譲って正解だったわ」。姉は紗和たちを追い払おうとするが、夫が告げた一言に、ロビーの空気が変わった。やがて見つかるのは、同じ角部屋をめぐる苦情と、不自然な無料宿泊の記録。紗和は現場に残された資料をもとに、予約を変更された客たちの事情を確かめていく。姉が誇る「総支配人夫人」の暮らしは、いったい誰の犠牲で成り立っていたのか。兄弟姉妹2.3万字5 687 -
完結第15話
兄を笑った銀行一家へ、300億円の解約通知
挙式15分前、新郎控室で待っていたのは、白いタキシード姿の兄1人だった。「結婚も、式も、全部ドッキリだったって」。婚約者の父は銀行会長。その家族が送りつけた80秒の動画には、兄を嘲る笑い声が残っていた。23年前から親代わりになり、私を育ててくれた兄が、今度は自分の幸せを選ぼうとしただけなのに。兄の隣に座った私は動画を保存し、財務責任者へ電話をかける。「じゃあ、預金300億、全額解約で」。銀行一家が見下していた妹は、美容企業グループの創業者兼会長だった。だが、私がその銀行に会社の資金を預け続けていた理由を、彼らは知らない。答えは、兄が保管していた古い茶封筒の中にあった。夫婦|親子関係2.1万字5 2939 -
完結第15話
「帰ってこなくていい」と笑った家族――20年目の離婚届
43歳の真由美は、夫・浩司と19歳の娘・里奈のため、20年間休むことなく家事と親戚付き合いを担ってきた。ところがお盆に3日だけ実家へ帰ると伝えると、2人から「ずっと帰ってこなくていい」「ママがいないほうが平和」と笑われる。真由美は反論せず、8つの保存容器を残して家を出た。その手には、4か月前から20冊目の家計簿に挟んでいた離婚届があった。翌日、夫から届いた70件の着信。さらに家計簿から明らかになる672万円と、夫が失った8億円の肩書。家族が当然だと思っていた20年が、静かに数字へ変わり始める。夫婦|親子関係2.0万字5 5439 -
完結第19話
251840円の正月料理を持ち去った義母
結婚以来9年間、佐伯直樹の妻・由衣は、義母・久江に命じられるまま親戚一同の正月料理を準備してきた。今年の支払額は25万1840円。ところが大晦日、冷蔵庫から料理がすべて消える。防犯カメラに残っていたのは、合鍵で侵入し、保冷箱を弟夫婦宅へ運び出す久江の姿だった。それでも久江は由衣に買い直しを命じる。直樹が領収書と録音を保存すると、今回の持ち去りだけでなく、正月に費やした累計167万8000円、さらに両親へ送り続けた毎月6万円の意外な行方まで浮かび上がり始める。兄弟姉妹|嫁姑|親子関係|金銭問題2.6万字5 3946 -
完結第14話
母に買った家を狙う婚約者
「結婚前に母親へマンションを買うなんて、嫁としての自覚がないわ」 未来の姑は、私が自分で貯めたお金の使い道まで責め始めた。 婚約者も「結婚後は僕たちの家庭を第一にして」と母親の味方をした。 私は怒らず、静かに尋ねた。 「分かった。じゃあ結婚後は、お互い自分の親には1円も援助しないってことでいいよね」 すると、2人の顔色が一瞬で変わった。 「それとこれとは話が別でしょう。長男の嫁なら夫の親を支えるのは当然よ」 私の母への援助は身勝手で、夫の両親への援助は当然らしい。 さらに姑は、母のマンションを「必要なら売ればいい」とまで言い出した。 なぜ私の預金額や退職金を、何度も確認していたのか。 なぜ婚約者は、突然結婚を急ぎ始めたのか。 私はバッグの中の茶封筒へ触れた。 そこには《最終通知》の文字と、約3000万円という金額。 そして婚約者の名前が記された、もう1枚の書類が入っていた。嫁姑|夫婦|相続|金銭問題2.0万字5 2204 -
完結第10話
墓前の少女は「娘は生きてる」と言った
「おばあちゃん、その人、生きてるよ」 7年前、豪雨の夜に消息を絶った娘・咲。 遺留品だけが河原で見つかり、私は娘の名を墓石に刻んだ。 命日前日、墓前に白い野の花を置いていたのは誰なのか。 そこへ現れた7歳の少女は、墓石を指して言った。 「その人、うちにいるよ。今、ご飯作ってる」 少女に連れられて海辺の古い家へ向かうと、台所から懐かしい声が聞こえた。 「……お母さん」 目の前に立っていたのは、死んだはずの娘だった。 けれど咲は、再会を喜ぶどころか震えながら言った。 「お願いだから、私を見つけないで」 さらに少女の左目の下には、咲と同じ小さなほくろがあった。 家の壁には、私と娘しか持っていないはずの古い写真。 そして7年間、婿が毎年私の家へ通っていた本当の理由が、少しずつ見え始めた。真相|親子関係1.5万字5 635 -
完結第10話
軍艦島、命をつないだ白い飯
「炭鉱は危なかぞ。でも、飯だけは食えるらしか」 海面下およそ1000メートル。 気温30度、湿度90%を超える坑道で、男たちは8時間、石炭を掘り続けた。 落盤、メタンガス、坑内火災――明日も地上へ戻れる保証はない。 それでも給料は、本土の同年代よりはるかに高かった。 映画館も、酒場も、テレビもある。 その一方で、島には川も水源もなく、海が荒れれば野菜も魚も届かない。 財布に金があっても、店の棚に物がなければ買えなかった。 ところが戦後の食糧難でも、坑夫たちの茶碗には白い飯が盛られていた。 「水さえ足りない島で、なぜ米だけは途切れないんだ?」 男が米穀通帳を開くと、一般世帯にはない一行が記されていた。 《鉱物採取者》 その文字の隣には、日本が海底で働く男たちへ米を優先して回した、重い理由が隠されていた。人生逆転|怒り|第二の人生1.5万字5 960 -
完結第10話
27年目、妻は食卓を捨てた
「……もう、必要ないのね」 27年間作り続けた夕食を、家族5人はスマホを見たまま無言で食べた。 「いただきます」も「おいしい」も、誰の口からも出なかった。 翌朝、私が食卓に残したのは一枚のメモだけ。 《今日から、自分のことは自分でお願いします》 夫は鼻で笑い、私が困って戻るよう家族カードまで停止した。 「パート代だけで、一人で暮らせるわけがない」 ところが3日たっても、私は助けを求めなかった。 家族が食事や洗濯、義母の薬の管理に困り始めた頃、娘が台所の奥で古いノートを見つける。 表紙には《家族のこと》。 そこには27年間、誰にも気づかれなかった私の記録が残されていた。 さらにノートから落ちた封筒には、夫が想像もしなかった書類が入っていた。 《常勤職員登用に関する雇用条件通知書》――返答期限は、今日だった。嫁姑|夫婦|親不孝1.6万字5 10679 -
完結第11話
破られた団地当選通知
「せっかく当たったのに、どうして破いたんですか!」 昭和35年、7人で暮らす古い長屋に、公団住宅の当選通知が届いた。 風呂も水洗便所もあり、3人の子どもには初めて自分たちの部屋ができる。 家族全員が喜んだ3日後、その通知は4つに裂かれてゴミ箱から見つかった。 破いたのは、同居する母だった。 「一生、私たちをこの長屋に閉じ込めるつもりですか」 嫁に責められても、母は理由を話そうとしない。 息子夫婦は、破れた通知を持って公団の案内所へ向かった。 当選はまだ取り消されておらず、案内された部屋は日当たりのよい3DK。 ところが建物の前で、嫁の足が止まった。 割り当てられた部屋は、エレベーターのない4階だった。 その細く長い階段を見上げた瞬間、家族は母が通知を破いた本当の理由に気づき始めた――。時代|歴史|昭和1.6万字5 2824 -
完結第10話
百円だけの香典
「香典は、一世帯100円までにしてください」 昭和34年、父の葬式で長男が玄関に貼った一枚の紙に、親族は騒然となった。 父は従業員17人の町工場を30年営み、多くの人へ香典を包んできた。 「今まで受け取った分を返してもらうのが付き合いだ」 叔父も母も、紙を外せと迫った。 そこへ、亡き父から1000円を受け取ったという農家の男が現れる。 「3年かけて用意した。今度は俺が返す番だ」 だが長男は100円だけ受け取り、残りの900円を返した。 その対応に、母は「父さんが築いた信用を壊している」と泣いた。 長男自身も、自分が父の遺志を勝手に解釈しているのではないかと迷い始める。 通夜が終わった夜、玄関の紙を外そうとした、その時。 昼間の農家の男が、小さな風呂敷包みを抱えて戻ってきた。 そして返された900円の本当の使い道を告げた――。時代|昭和1.5万字5 1770 -
完結第11話
最終列車で消えた18歳
昭和63年、廃線前夜の最終列車に乗った18歳の娘が、途中で姿を消した。 終点に着いた車内には、旅行鞄と赤いマフラーだけが残されていた。 鞄の上には、駅長の父へ宛てた短い手紙。 《お父さんの決めた人生には戻りません》 娘は名古屋の短期大学へ進学する予定だったが、父は直前になって猛反対していた。 それから35年、娘の行方は分からないまま父は亡くなった。 翌年、解体中の旧駅で、伝言板の裏から薄い鉄箱が見つかる。 中には娘の受験票、12通の手紙、診断書、通帳、そして古い録音テープ。 受験票の裏には、失踪8日後の日付でこう記されていた。 《本人来校。入学辞退の意思なし》 ところが、その2日後には父の署名入りの辞退届が提出されていた。 さらに鉄箱から出てきた最終列車の切符には、改札鋏の痕が一つもなかった――。ミステリー|真相|行方不明1.6万字5 734 -
完結第10話
独身だから介護しろ
「来月で店を辞めろ。父さんの介護は、独身のお前がやれ」 父の退院祝いで、兄は私の名前だけが並んだ介護予定表を置いた。 朝食、服薬、入浴、夜間の見守り――月曜から日曜まで、休みはない。 姉も「あなたには守る家庭がないでしょう」と言った。 だが要介護2の父は、歩行器を使えば動けるうえ、介護サービスを利用する意思も示していた。 それでも兄姉は費用を惜しみ、私へ仕事を辞めさせようとした。 私は予定表を破り、「本人の前でもう一度決めよう」と告げた。 父は震える右手で、机を2度たたいた。 その意味が分かったのは3か月後だった。 ケアマネジャーから見せられたのは、私を主介護者とする《家族同意書》。 署名日は、私が北海道へ出張していた日だった。 そして費用管理者の欄には、父の通帳を預かる姉の名前が書かれていた――。兄弟姉妹|親不孝|親子関係|介護1.5万字5 460 -
完結第11話
退職したら、双子を任された
「お義母さん、来月から双子を毎日お願いします」 38年間勤めた図書館の退職祝いで、嫁は私の前に銀色の合鍵を置いた。 認可保育園はすでに辞退すると連絡したという。 平日の朝8時から夕方6時半まで、3歳の双子を週5日預かれ――それが家族の決定だった。 夫も「退職したら暇だろう。孫の世話なら張り合いになる」と笑った。 誰一人、私の予定を尋ねようとはしない。 「断るなんて、孫がかわいくないの?」 長男に責められた私は、黙って鞄を開けた。 そして鍵の隣へ、家族には知らせていなかった1年間の雇用契約書を置いた。 勤務先は、北海道の小さな町の図書館。 開始日は来月1日。 「私は来月、北海道へ行きます」 凍りついた家族の前で、嫁が契約書をつかんだ――。嫁姑|裡の顔|親子関係1.6万字5 3276 -
完結第10話
「忘れ物」で夫の嘘がばれた日
「あなた、健一さんから何も聞いてないの?」 母が「薬を忘れた」と言い、空港へ向かうタクシーを引き返した。 ところが自宅へ戻っても、母は何も探さない。 代わりに差し出したのは、私名義の土地と家を売るための査定書だった。 現地確認は今日の午後3時――私たちがハワイにいるはずの時間だ。 夫は「結婚25周年のプレゼント」として、1週間の母娘旅行を用意してくれた。 だが書斎からは、私の通帳、身に覚えのない委任状、さらに偽造された離婚届まで見つかった。 午前10時23分、玄関の鍵が開く。 帰宅した夫は、見知らぬ女と笑いながら言った。 「1週間もハワイに追いやるなんて、よく考えたわよね」 「家を売るための必要経費だと思えば安いもんだ」 襖の陰で録音を続ける私たちに、夫はまだ気づいていない。 そして午後3時、この家には不動産会社だけでなく、私の弁護士もやって来る――。夫婦|親不孝1.5万字5 3394 -
完結第12話
「貧乏人」と笑われた男
「片親育ちで施設出身って……普通に無理なんだけど」 合コンの席で、頭取令嬢の玲奈は俺を見て笑った。 父は幼い頃に家を出て、母は俺が5歳の時に亡くなった。その後、俺は児童養護施設で育った。 会社名も資産も明かさず、「決済関係の仕事です」とだけ答えると、彼女は俺を貧しい会社員だと思い込んだ。 「人間の価値は、家柄と学歴と収入で決まるでしょ」 俺は静かに、父親が頭取を務める銀行から預金を移すと告げた。 「どうぞ。100万でも500万でも、好きにすれば?」 翌朝、俺は自社の財務責任者へ取引銀行の見直しを指示した。 復讐ではなく、600人の社員と会社の資金を預ける相手として、本当に信頼できるのかを再検討した結果だった。 そして銀行へ届いた資金移管の通知には、法人と個人を合わせて100億円を超える数字が記されていた。 3日後、俺が古いリュックを背負って銀行本店へ入ると、頭取本人が応接室で待っていた――。人生逆転|真実|金銭問題1.8万字5 2736 -
完結第10話
月8万円の町工場社長
俺は34歳の町工場社長。 肩書だけなら立派だが、役員報酬は月8万円。工場を守るために作った800万円の借金まで抱えていた。 そんな俺に、大手機械メーカー・白石精機の社長令嬢との見合い話が舞い込んだ。断られるつもりで貯金もないと正直に話したのに、琴子さんは微笑んだ。 「三浦さん。あなた、合格です」 ところが数日後、白石精機の幹部が工場へ現れた。琴子さんとの関係を断てば、年間数千万円の仕事を回すという。 工場には、治療を続ける妻を持つ職人も、子どもの学費を抱える社員もいる。断れば皆の生活に影響する条件だった。 さらに白石精機から、他社がすべて断った緊急部品の依頼が届く。材料は15本、必要数は12個。しかし6本を加工した時点で、合格品は一つもなかった。 残り9本では、どう計算しても足りない。 追い詰められた俺が開いたのは、亡き父の黒いノートだった。その中には22年前、まったく同じ部品を削った記録が残されていた――。職場逆転|人生逆転1.6万字5 944 -
完結第11話
卒業3か月前に消えた娘
1995年11月、卒業まであと3か月だった富山大学4年生・大山蓮子が、突然消息を絶った。 家には財布も読みかけの本も残されていた。ところが、半年以上かけて集めた卒業論文の取材資料だけが、すべて消えていた。 蓮子は都市開発で土地を手放した住民たちを訪ね、補償金の記録を調べていた。失踪前、友人には「土地のお金を調べていたら、生きている人たちの話が出てきた」と漏らしている。 下宿に残された地図には、土地買収が行われた3つの地域を示す赤い丸。そして古い行政資料から浮かんだ担当者の名前は、失踪前夜に蓮子と口論していた叔父・達夫だった。 達夫には完璧なアリバイがあり、捜査はやがて縮小される。しかし6年後、赤い丸がつけられた土地の工事現場から、二重の袋で守られた2枚の書類が見つかった。 余白には蓮子の筆跡で、こう記されていた。 《単価に不自然な変更あり》 そして最後に――《担当者 大山達夫》。ミステリー|真相|行方不明1.6万字5 1479 -
完結第11話
夫が書いた私の退職届
「母さんの介護のため、明日これを会社へ出してくれ」 夫が食卓へ置いたのは、56歳の私の名前が印字された退職届だった。定年まであと4年。けれど夫は、骨折した姑を自宅へ迎え、私が仕事を辞めて世話をすることを一人で決めていた。 私は退職を拒み、姑本人の希望を聞くよう求めた。しかし夫は「家族なら本音を分かってやるものだ」と言い、和室を介護部屋へ変える準備まで始める。 その夜、病院から一本の電話がかかってきた。姑が家族会議へ必ず私を呼び、先に確認してほしい書類があるという。 翌日、その書類から姑の口座より30万円が夫名義へ移されていたことが判明する。さらに和室の改修申込書には、姑の署名と280万円という金額が記されていた。 そして病院の家族会議で、夫が「妻は退職予定です」と説明した瞬間、姑は私を見ずに言った。 「私は、この家には帰らない」――その手には、息子がまだ知らない一枚の契約書が握られていた。嫁姑|夫婦|介護1.7万字5 1095 -
完結第12話
母親ではないと言われた日
「あの人は本当の母親ではありません」 小学5年生の授業参観で、姑・光江は教室中に聞こえる声で、継母の佳奈恵を否定した。 理子が5歳で実母を亡くしてから、佳奈恵は6年間、食事や通院、学校生活を支えてきた。それでも夫の俊一は「母さんに悪気はない」と繰り返すだけだった。 翌朝、佳奈恵は学校から一本の電話を受ける。理子の緊急連絡先が佳奈恵から光江へ変更され、その書類には俊一の署名まであった。 さらに姑は、英語教室や私立校への転校まで、本人に黙って決めようとしていた。 家族会議の日、11歳の理子は青いノートを抱えて現れた。表紙には《勝手に決められたこと》――そこには、祖母だけでなく父が娘へ強いてきた「我慢」が、2年分の日付とともに記されていた。因果応報|嫁姑|親子関係1.7万字5 1201