1989年夏、小笠原諸島を訪れた大学生カップル、桜と健太が観光中に忽然と姿を消した。 当時、警察は海難事故として処理し、二人の行方は分からないまま事件は終わったかに見えた。だが十五年後、父島近くの無人島の洞窟で、二人の遺骨と古いフィルムカメラが発見される。 カメラに残されていたのは、幸せそうに笑う二人の写真。そして、失踪直前に撮られた不気味な一枚だった。 健太の日記に記されていた「桜の秘密」。証言を変える漁師。何かを隠している民宿の主人。さらに、桜の口座には失踪前から不自然な大金が振り込まれていた。 二人は本当に事故で消えたのか。 それとも、誰かに無人島へ連れて行かれたのか。 十五年間、海の底に沈んでいた真実が、一台の古いカメラによって静かに暴かれていく。