"帰る場所を奪われた妻、4階で取り戻した人生" 第4話
私は子に座り、細くなったを両で包んだ。
「もうしだからね」
声にすと、胸の奥がくなった。
「退院したら、静かなところで暮らそう」
もちろん母は眠っている。
返事はない。
それでも温かな体温が、えた私のへゆっくり伝わってきた。
午、佐藤から連絡があった。
登記など必な続きが順調にんでいるという。
私はそのの夕方、誰にも言わずマンションへ向かった。
3階には目を向けない。
階段をがり、4階へ向かう。
しい鍵を差し込むと、「カチャリ」とさな音がした。
扉をけた先には、具のない広い空があった。
くが暮らしていなかったため、空気はしたい。けれど議と嫌なじはしなかった。
ここには義母の嫌もない。
夫のため息もない。
私は窓をけ、夜の空気を入れた。
そのだった。
のから、かすかに声が聞こえた。
古い建物のため、の階の音がなほど響く。
私はしゃがみ、を澄ませた。
義母のい笑い声。
続いて夫の声がした。
「あいつを追いせたんだから、これでやっと自由になれるな」
った以に楽しそうな声だった。
「でも誠、あの女の荷物、本当に全部捨ててよかったの?」
義母の言葉に、私は呼吸を止めた。
荷物は実へ送る。
夫はそう言っていた。
嘘だった。
私の。
仕事関係のもの。
そして、くなった父の写真。
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度とに入らない切な品まで、勝に処分したというのか。
りで指が震えた。
しかし、議なほどは静だった。
もう何をされても、驚かないとっていた。
それでも2は、簡単にその像を超えてくる。
私は静かにちがった。
の向こうから笑い声が続いている。
彼らはの弁護士事務所で、私に婚届を突きつけるつもりだろう。
自分たちの勝利を疑っていない。
私は暗い部の央でさく息を吐いた。
「好きなだけ笑っていればいい」
誰にも聞こえない声で呟いた。
翌の朝、佐藤からメッセージが届いた。
『所権移転の続きが完しました。4階は正式に奥様名義です』
私はその文章を何度も読み返した。
これで、私はただ追いされた嫁ではない。
あの建物の権利者の1になった。
夫が偽った同は、もう単なる怪しいではない。
正式な所者のを無して作られた、自然な証拠として残る。
私はすぐ佐藤へ話した。
「本当にありがとうございます」
「奥様、実はもう1つあります」
の声がしかった。
「偽造された同の名について調べたところ、興いことが分かりました」
「何ですか?」
「ご主が最頻繁に入りしている賃貸マンションの契約者、その関係者と同じ姓でした」
私は無識に背筋を伸ばした。
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「契約者の名は、です」
その瞬、散らばっていたものが1つにつながった。
1かほど。
夫の自然さに初めて形を与えたのも、という名だった。
その夜、義母は々に寝へ入り、夫は浴へっていた。
ダイニングテーブルには夫のスマートフォンが置かれていた。
私は普段、夫の携帯話を見ることはなかった。
夫婦であっても、越えてはいけない線はある。
そう信じていた。
しかしその夜、マナーモードの端末が何度も振した。
暗い部で画面がるくる。
そこに表示された送信者。
『』
そしてプレビューにい文章が見えた。
『次の、私たちだけで見にくの、お義母さんには内緒で丈夫?』
私は固まった。
浮気。
最初にへ浮かんだのは、その2文字だった。
しかし、それだけでは説できない違があった。
「次の」
「お義母さんには内緒」
夫は私だけではなく、義母にも何かを隠している。
私は震える指を落ち着かせ、自分のスマートフォンで画面を撮した。
それが、最初の証拠だった。
翌から私は、夫と義母をより注く見るようになった。
休の朝、夫が義母へ妙に優しい声をかけた。
「母さん、このマンションも古くなっただろ。は寒いし、もっと設備のいいところに移った方がいいんじゃないか」
義母は目を輝かせた。
「まあ、誠ったら。
私のために?」
「級な施設とかさ。事もるし、何かあったもだろ」
義母は完全にんでいた。
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