"帰る場所を奪われた妻、4階で取り戻した人生" 第6話
私は翌朝、10ぶりに事務所へ話した。
受付を通じて名を伝えると、しばらくして懐かしい声が聞こえた。
「佐藤さん、お久しぶりです」
「加藤先……」
「お母様はお元気ですか?」
その言で胸が詰まりそうになった。
「実は今、入院していて」
私は母のことから、今回の事まで簡潔に説した。
夫が私をから締めしたこと。
マンション売却を勝にめていること。
4階の売却同に自然な点があること。
とわれる女性がいること。
そしての夜、夫から加藤先の事務所へ来るよう指定されていること。
話の向こうで、しばらく沈黙が続いた。
「佐藤さん」
加藤先の声がしくなった。
「ご主から伺っている話とは、かなり違います」
「夫は何と?」
先はため息をついた。
「あなたが若い男性と関係を持ち、自分からをていったと」
私は目を閉じた。
「そして財産をく求しているため、マンションを売らなければ対応できないと説されました」
ここまで来ると、るより呆れた。
自分が倫している。
その方で妻を倫したことにしている。
「先、の夜まで、私が全てっていることは夫に言わないでいただけますか?」
「分かりました」
加藤先は静かに答えた。
「ただし私は、ご主だけの方をすることはできません。虚偽の説や自然な類があるなら、事実を確認する必があります」
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「もちろんです」
「、資料を全て持ってきてください」
話を切ると、胸の奥がし軽くなった。
その直、義母からメッセージが届いた。
『あんたの荷物は全部ゴミにしたから、度とうちの敷居をまたがないでちょうだい』
予通りの文章だった。
だが、そのに続いた文面を見て、私はわず目を見いた。
『それから誠の机の奥にあった古い通帳と印鑑は、私が預かっておくわ。あんたが勝に持ちさないようにね。これでお父さんの遺産は全よ』
私は数秒、画面を見つめた。
そして、わず笑いそうになった。
義母は自分が嫁から財産を守ったつもりなのだ。
だが夫の部にあった古い通帳こそ、夫が義母の資を勝にかそうとして隠していたものだろう。
義母は息子からを守るために必な通帳と印鑑を、自分ので確保したことになる。
本は何も気づいていない。
夫には通帳がない。
義母は息子を疑っていない。
自分たちで互いの計画を邪魔している。
私は返信しなかった。
午にはへき、自分名義の座の暗証番号と届印の扱いを変更した。
夫は昔、私の暗証番号をっていた。
夜の副業で10貯めたまで奪われるわけにはいかない。
窓の担当者は、私の表から事を察したのか余計なことを聞かなかった。
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「これで、ご本確認なしにかすことは難しくなります」
「ありがとうございます」
しい続きを終えた通帳をバッグへ入れた。
母の治療費。
退院の活費。
私自がきていく。
もう夫には触らせない。
病院へ戻る途、佐藤から話が入った。
「奥様、ご主がかなり焦っているようです」
「何かありましたか?」
「売却を依頼されている産会社にがおりまして。し確認したところ、さんがく現を用するよう急かしているようです」
「現?」
「居の購入資だそうです」
佐藤はし言いにくそうに続けた。
「それと、ご主はさんが妊娠していると聞かされているそうです」
私はを止めた。
驚きはした。
けれど、嫉妬は湧かなかった。
「そうですか」
自分でも驚くほど、それだけだった。
く連れ添った妻を追いし、母親の老資まで奪って、しい女と子供のためにを売る。
そこまで勝になれる男を、もう夫とはえなかった。
その夜、私は正式に自分のものとなった4階へ向かった。
さな寝袋を広げ、何もない部で横になった。
3階からは、折物をかす音が聞こえてくる。
通帳や印鑑を探しているのかもしれない。
しばらくすると、義母から話が来た。
「あんた、体どういうつもりなの!」
た瞬から鳴られた。
私はスマートフォンをからしした。
「夜分に声をさないでください。ご所迷惑ですよ」
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