"帰る場所を奪われた妻、4階で取り戻した人生" 第10話
10。
義父がくなるしのことだった。
病で、義父は私を1だけ呼んだ。
「ゆみさん」
ったで、さな鍵を差しした。
「誠はのありがたみが分かっていない」
私は黙って聞いた。
「いつか、あいつがおを苦しめるが来るかもしれない」
「お義父さん……」
「4階に、私が個に使っていた収納がある。その鍵だ」
義父は息をえながら続けた。
「もしもの、おとお母さんを守るために使いなさい」
当はが分からなかった。
義父がくなったも、私はその鍵を母の宝箱の奥にしまっていた。
4階そのものの権利関係はその変わったが、鍵がけるさな収納だけは残っていた。
私はその古い鍵を、収納の奥にある属箱へ差し込んだ。
カチャリ。
蓋がいた。
には1冊のノートと、茶い封筒があった。
ノートをいた私は息をんだ。
夫が結婚から繰り返していた借の記録。
義父が肩代わりした額。
そして、その理由。
女性関係。
交際相との銭トラブル。
慰謝料のような支払い。
義父は何度も、退職や貯を削って息子の尻拭いをしていた。
義母は何もらない。
「誠は優秀な子」
「誠は族い」
そう信じていた。
実際には義父が、息子の問題を全部隠していただけだった。
さらに茶い封筒には、夫自が署名押印した古いが入っていた。
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今、再び女性関係でな銭問題を起こした、義父から受け取る財産について定の権利を主張しない。
そんな趣旨の内容だった。
私はを持ったまま、しばらくけなかった。
義父は予していた。
夫がまた同じことを繰り返すと。
だから、自分がんだにまで証拠を残した。
私はノートとをバッグへ入れた。
その夜。
夫から、母の病のドアを撮した写真が送られてきた。
『今すぐ3階に来い。親戚を集めてある』
続けて、
『10分以内に来なければ、おの母親に全部話す』
私は画面を見つめた。
『娘が親戚全員から見放されて婚されるってったら、臓のい母親はどうなるかな』
りでが震えた。
夫はとうとう、母まで脅しの具にした。
けれど私はバッグのの茶い封筒を握った。
そして3階へ向かった。
3階の扉はいていた。
リビングには夫の叔父と叔母が座っていた。
義父の弟である叔父は親族のでも発言力がく、夫はそこを利用したのだろう。
私が入ると、叔父は険しい顔を向けた。
「ゆみさん、お母さんの介護で疲れているのは分かる」
い声だった。
「だが、いくら何でもやりすぎじゃないか」
「何のことでしょう」
「勝に4階を自分の名義にして、誠たちを追いそうとしているそうじゃないか」
やはり、夫の説しか聞いていない。
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「男の嫁として、もうし考えられないのか」
叔母も続いた。
「誠さんは、お義母さんのむ所を守ろうとしているだけなんでしょう?」
夫はしそうな顔を作っていた。
「叔父さん、もういいんです」
目元を押さえる。
「ゆみも限界だったんでしょう。俺はただ母さんを守りたかっただけなのに」
あまりの演技に、逆にしそうになった。
夫はテーブルへ2枚の類を置いた。
婚届。
もう1枚は、4階について夫側へ権利を譲ることを求める類だった。
「ゆみ、サインしろ」
夫は勝ち誇った顔をしていた。
「そうすれば慰謝料は請求しないでおいてやる」
叔母も頷いた。
「誠さんが譲歩してくれているうちに、判を押した方がいいわ」
私はしばらく類を見た。
普通なら、これだけの数に囲まれれば怖かったかもしれない。
しかし今は違う。
「誠さん」
私は顔をげた。
「あなた、本当にれなですね」
夫の笑みが消えた。
「何だと?」
「自分がどんなか、まだ分かっていない」
夫はスマートフォンを持ちげた。
「がるなよ。おの母親の病に俺がってもいいのか?」
義母が部の隅で肩を震わせた。
私はバッグから茶い封筒を取りした。
「これは、お義父さんがくなるに私へ預けたものです」
叔父が眉を寄せた。
私は古いをテーブルへ置いた。
「誠さんが今、再び女性問題でな銭トラブルを起こしたの取り決めです」
夫の顔が変わった。
「嘘だ」
「署名を確認してください」
叔父は老鏡をかけた。
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