"帰る場所を奪われた妻、4階で取り戻した人生" 第11話
しばらく無言でを見る。
そしてく言った。
「誠」
「……」
「兄さんの字だ」
夫がちがった。
「そんなの無効だ!」
「それに、おの署名もある」
私は義父のノートのコピーも並べた。
過の女性問題。
義父が肩代わりした。
夫が作った借。
叔母が元を押さえた。
「こんなに……」
夫がを奪おうとしたが、叔父がで止めた。
「触るな」
声が変わっていた。
りを含んでいる。
私は続けた。
「今回、誠さんは私をから締めしました」
「……」
「そしてさんという女性と暮らすため、マンションを売ろうとしていました」
叔父が夫を見る。
「本当なのか」
夫は答えない。
その、部の隅にいた義母がゆっくりちがった。
「本当よ」
全員が振り向いた。
義母の目は赤く腫れていた。
「誠は私を騙していた」
声が震えている。
「私を奥のい施設に入れて、このマンションを売るつもりだったの」
「母さん!」
「黙りなさい!」
義母が初めて息子へ鳴った。
「お父さんの遺産の通帳も勝に持っていった。私は何もらずに、全部あんたを信じてた」
叔父の顔が真っ赤になった。
「誠、おというやつは!」
「違うんだよ、叔父さん!」
「何が違う!」
叔父がちがった。
「父親ので何度も女の問題を片づけてもらって、今度は嫁を追いして母親まで捨てるのか!」
「俺だってをやり直したいんだよ!」
夫も鳴り返した。
「母さんの面倒ばっかり見てられるか!」
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その言で、完全に終わった。
叔父は夫をたく見た。
「おが被害者だというから、私たちは集まったんだ」
夫が黙る。
「恥をれ」
そして、はっきり言った。
「今限り、私たち親族を頼るな」
夫の顔から力が抜けた。
それでも反省はしなかった。
突然、狂ったように笑いした。
「いいよ」
スマートフォンを握る。
「全員俺を敵にするなら、それでいい」
画面には母の病の扉。
「ゆみ、今すぐサインしろ」
「嫌です」
「俺は本当に病院へくぞ」
「どうぞ」
夫が瞬止まった。
「何?」
「きたければ、けばいいわ」
「がるな!」
「がってません」
私は自分のスマートフォンを取りした。
画面に写真を表示し、夫の目のへ向けた。
そこには母が写っていた。
病院のベッドではない。
差しの入る4階の部。
ソファへ座り、穏やかに笑っている。
「な……何だ、これ」
「母は今の午、無事に退院しました」
夫の顔から表が消えた。
「あなたが病のドアを撮した、もうは空っぽだったの」
私は母の状態が良くなった点で医師と相談し、退院を倒しできる能性を確認していた。
佐藤にも協力してもらい、4階へ最限の具を運んだ。
母はすでに全な所にいる。
夫は何もいない病の扉を撮り、勝に勝ち誇っていたのだ。
「嘘だ!」
夫はそので病院へ話した。
やがて受話から事務な声が聞こえた。
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『佐藤様でしたら、本午にご族と退院されました』
夫のからスマートフォンが落ちた。
乾いた音がリビングに響いた。
親族。
マンション。
母を使った脅し。
全て失った。
私はテーブルの婚届を引き寄せた。
自分の名をいた。
そして印鑑を押す。
「慰謝料やそのの請求については、加藤先を通してください」
夫は呆然と私を見ていた。
「それから3階についても、権利関係を理します。もう私を脅してここに居続けられるとわないでください」
その、玄関のインターホンが鳴った。
モニターに映っていたのは、加藤先だった。
その隣に、見らぬ女性がっている。
黒いスーツ姿。
夫が画面を見た瞬、顔を張らせた。
私は玄関へ向かい、扉をけた。
「佐藤さん、突然申し訳ありません」
加藤先がをげた。
「こちらは警察の方です」
リビングの空気が変わった。
女性は警察帳を示した。
「佐藤誠さんですね」
夫がずさった。
「何ですか」
「と名乗っていた女性について、お話を伺いたいことがあります」
夫の顔が真っになった。
女性刑事は1枚の写真をテーブルへ置いた。
化粧を落とし、なを着たの姿だった。
「この女性は別件の詐欺容疑で捜査対象となっています」
「詐欺?」
夫の声が裏返った。
「は俺と結婚するんだぞ」
「という名自体についても確認です」
刑事は淡々と続けた。
「複数の男性へ結婚や妊娠を匂わせ、まとまった銭を用させていた疑いがあります」
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